表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/20

2 夢か真か

2 夢か真か


事は一週間前に遡る。

いつも通りに出勤し、会社の倉庫で在庫を取っていたときの事だった。

グラグラっときて地震か?と思った瞬間ダンボールが崩れてきた。そこまで大きな揺れじゃなかったのにもかかわらず。

中身はカバンで4段に積んでありかなりの重さがあってしばらく体が痛みなかなか抜け出せなかった。

やっとの思いで抜け出したが、停電したのか暗い上に埃が舞っていて視界が悪い。



「いてて…ったく、なんだよもう…、前田の奴!ちゃんとバランスよく積めって言ったのに」

ようやく視界が慣れてきてブチブチ言いながら段ボールをどかそうとした時

「ヘンリエッタ様!!こちらにいらしてはいけないと何度も申しあげましたでしょう!!」


――は?


目の前にいるのは濃いグレーの髪をした、美人だが融通が利かなそうで、旦那は尻に敷きます!って感じの40代後半くらいのおばさんだ。

こんなパートさんいたっけか?…いやいや…ヘンリエッタってww 何言ってんだこのおばはん――

なんて思っていた私は目を見開いてしまった。

おばさん!チョ…チョットなんて格好してんの!!


パニエの入った膨らんだクリーム色のスカート、大きく開いた胸元、それを飾る深緑の大きなサテンのリボン。コルセットで引き締められたウエスト、それにあしらわれた淡い黄色の細かいドレープ。


ああああ…あの、ドドド、ドレス着てますけど?!!

おいおいおい…それもコスプレの域なんてとっくに越しちゃってるよ…


「――ヘンリエッタ様?さぁ、ダンスの先生がいらしてますよ、その後はボネール語を教えてくださるシャルバ夫人がいらっしゃいますよ。」

「あの…どちら様?」

「まぁ!そんなご冗談を!お戯れがすぎますよ。さぁさ早くクーレに参りましょう。」


ヘンリエッタ?クーレ?

疑問を解消することなくそう言われ強引に立たされた時気がついた。

あれ、この人超ノッポ――って!私ちっちゃくなってるやんけ!!


顔をペタペタと触ると小さい。慌てて頭を下げ自分の体を見てみると、紺の生地でUネックの部分にベージュの細かいレースがたっぷりとついている、目線が下に行くがパニエで膨らんだスカートで足元が見えない。すっと足先を出してみると、小さなリボンがたくさんついた青いシルクの靴を履いた小さな足がちらりと見えた。


え、私の足何センチ…?

一体どうなってんのよ~!!!!!とパニックを起こしかけた瞬間おばはんが私に話かけてくる。


「あら、お気に召しましたか?ジョン・ピエールの靴。さ、そんな物いつまでも眺めてると時間がなくなりますよ!」



ジョン・ピエールって誰やねん。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ