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天国への帰宅難民

作者: 龍源寺直介

百代の帰宅難民 前世は人斬り浪人

浮浪する石鹸 異臭を放たない腐乱死体


排気ガスを吸う だから酸素も吸わせてくれ

「強く生きろ」って誰に吐いた台詞だ?


捨てられて俺に拾われたのは狩猟犬


一度も故郷を振り返らなかった


睾丸を摘出され鋸で牙を切断されても


その本能を損失していても


あのいぬは俺に忠誠を尽くした



永代の帰宅困難者 後世も嘲笑する穀潰し

腐敗する精神 異彩を放つ轢断死体


溜息を吐く だから吐瀉物も吐かせてくれ

「死にたくない」って誰に甘えた弱音だ?


捨てられて俺に貰われたのは愛玩犬


決して故郷に立ち戻らなかった


睾丸を摘出され鋸で牙を切断されても


その煩悩を損失していても


あのいぬは俺に忠誠を尽くした


死んで裏切っても


在宅難民は彷徨える堕天使たち

天国に在りながら遭難している


さようなら天国

俺は地獄へと旅立つ時がきたようだ



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