表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
炎の末裔  作者: ワイルダー
8/12

結界

「言っとくけどね。危険なんだからね」

「はい」

「奴らのとこに行ったら絶対にあたしから離れないでよ。もし、とっ捕まってしまったら、 即祭壇の前で殺されるんだからね」

そう言いながらもあたしの顔は笑っていた。


「それって追加料金取られません?」

しばらくこの台詞を思い出すだけで、あたしは吹き出してしまいそうだ。

追加料金を取らないことを説明すると、セアラさんは落ち着いた声で言ったのだ。

お願いします、と。


「なんだかミアさん、楽しそうですね」

「まあね。久しぶりにどきどきしてる」

前にこんなにどきどきしたのはいつだったかな。

 前方30メタに奴らの姿を見つけた。

「黒き炎解き放たれし

 冷たく熱い地獄の業火よ」

 流れるような魔法言語(マジックワーズ)。喉の奥と言うよりも心の奥から湧き出てくる音。気分が高揚し、頬がピリッと震える。

「≪黒色縛炎≫!はっ!」

 前方に二本の火柱があがる。

 それはまるであたし達を迎え入れる地獄の門のようだった。


 やつらの本体は(瀕死の追っ手から聞き出した)ありがちのパターンに乗っ取り、山の麓。

 白い壁の一見清潔そうに見える大きな家々。その周囲にはわずかに腐臭と結界のにおいがする。神の家とは思えない淀んだ空気(ここは山麓なのに、どうしたらこんな空気をまとえるんだ!?)そして入り口には「神の声に従いましょう」と書かれた看板が立てられている。

「いかにも怪しい団体ですうって感じね。セアラさん、アンザリアの神殿がこんなんじゃないといいね」

あたしは思わず嘆息してしまう。

「こんなのを神殿と思わないで下さいね」

申し訳なさそうに、セアラさんがつぶやいた。

「中の人はあたし達にまだ気が付いていないわね――」

 ここに来る間に向かってくるものは全てなぎ倒してきた。逃げ帰ろうとするものも全てのしてきたため、あたしたちがここにいることを彼らは知らない。

「ま。正面から入れてもらいましょうか。セアラさん。もう一度言うけど離れないで」

「ええ」

 あたしは《カオスポケット》から例によって錫杖をだしセアラさんに渡す。

「護身用に。でも、自分から向かっていったりなんてしないで」

 小さく頷いてセアラさんは錫杖を受け取った。

「いい、絶対にあたしのそばを離れないこと。自分からやつらに向かっていこうとしてもダメだからね。あたしから離れて、一人で逃げようとするのもダメ。安全なのは私のそばだということを忘れないで」

「わかりました。でも、ミアさん、建物には結界が張られています。魔法は使えませんわ」

 さすが巫女。結界はちゃんと視えている訳だ。だけど、

「こんなオモチャな結界なんぞ、中から破るわよ。力技なら負けない。あたしはミア様なのよ《爆炎風》」

 結界もろとも、入り口のドアどころか、玄関が吹きとんだ

「さぁ、行きましょうか」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ