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【紗環 第一話】

2008年  4月  紗環サイド




「あ、あの…」




まただ…


結局私は、同じことを繰り返している…


変わりたくて


強くなりたくて


この高校に入ったのに


もう一度


”あの人”に


もう一度だけ会いたくて


ちゃんと


聞きたくて


私は…―




「おい、聞いてんのかよ。」

目の前にいる人の声で、我に返った。

私は、数人の男に囲まれていた。

名前も知らない、見たことも無い。わかるのは、同い年だと言う事くらい。

「本当に、困ります。お金も、そんなに、持ってなんか、いません。」

「そんなこと言って~。持ってるでしょぉ?」

「そうそう。それに、遊ぶくらいいいじゃん。」


嫌だ。


言わなきゃ。


どうして私がこんな目にあわなくちゃいけないのですか?


言うんだ。


あなたたちに何の権利があるって言うんですか?


言葉に


やめてください!


言葉…に…




しても無駄なんだろうか。




「また黙っちゃったよ。連れてくか。」

男の1人に腕をつかまれた。


嫌だ


「やめてくださ…」

「何やってんのよ!!!」









何が起きているのか


理解するのに時間がかかった


”その人”は


風のように現れ


一瞬で男たちを追い払った



「大丈夫?!!!」

どんな強靭な人だろうかと思ったが、とてもキレイで華奢な女の子だった。

「あ…は・い…。」

「あいつら、入学式のときからマナー悪かったのよ。怪我無い?もう大丈夫よ。」

「はい…ありがとう、ございます。」

今時、こんな人もいるんだ。

彼女はニコニコ笑っている。

笑顔が素敵な人だと思った。髪は肩にかからないくらいのショートヘアで、キレイな茶髪だ。

顔は整っていて、目が大きく、まつげも長かった。もしモデルだと言われても、納得できるほどだった。

活発そうで、それでいて優秀そうな印象だった。

「一年生?」

凛としてよく通る声。

「はい。」

「じゃあ、タメだね。あたし、叶瀬柚月カナセユヅキ

驚いた。

すごく大人っぽいので、一つ年上だと思っていたから。

「えと、あたし、姫日向紗環ヒメヒナタサワ、です。」

「姫日向さん。よろしくね。」

違う。

叶瀬柚月さんが別段大人っぽいわけじゃなくて、私が子供なだけ―

高校生になったからって、何も変わらない。

さっきみたいに絡まれても、何も言い返せない。

1人じゃ何も出来ない。











『あんたなんて、1人じゃ何も出来ないじゃない。どうせあたしたちの腰巾着のくせに。』


言い返せなかった。

そのとおりだと思った。


でも


”あの人”は―


『何言ってんのよ!あんた達だって、集団の中でしか威張れないじゃない!』







「……さん?姫日向さん!」

「えっ?あ!はい!」

「どうしたの?ボーっとして。」

また、考え込んでしまった。

「いえ。なんでもない、です…。」

「そぉ?何か悩み事があったら、あたしでよければ聞くよ?」

この人になら、打ち明けても良いのかな…

「私…」





『あんたといると、苦しいのよ。守らなくちゃいけないって責任感に潰されそう。あたしだって、守られたいのに。』

『―ちゃん?私たち、友達じゃないの?』

『私は一度もそんな事思ってないわ。本当は見下してるくせに』















あんたなんて友達じゃない














「な、何も無いです。心配には及びません。」

つい、冷たく言い放ってしまった。

「そう。わかった。無理言ったみたいで…ごめんね?」

柚月さんは、歩いていってしまった。

どうしよう

傷つけた?

呆れられた?

せっかく助けてやったのにって


見放された?


「ご、ごめんなさい!私、深く考え込んじゃうの癖で。気持ち、本当に嬉しかったです!」

「え?やだ。全然気にしてないよぉ。言いたくない事もあるもんね。」

笑顔で返してくれた。

嬉しくて、泣きたくなった。

なれるのかな…




「あたしだって何も言えない…」



その時の柚月さんの言葉に、私は気づけなかった。



「あ、あの叶瀬さん!」

「へ?はい。」

ありったけの

勇気を振り絞って

言葉に―

「私と、友達になってください!!!」

しまった、思った。

柚月さんはきょとんとしている。

『力みすぎてしまいました!』

「いいよ。今日から友達ね。」

「あ、ありがとうございます!叶瀬さん!」

嬉しかった。

「あ、友達になるんだからあだ名で呼んでよ!敬語も頂けないなぁ。」

「あだ名…?」

「そ、あだ名。なんでもいいよ?」

戸惑いを隠せなかった。

私なんかがあだ名で呼んでも良いのだろうか。

でも、この人なら―

「ゆ…ユヅ、ちゃん…。とか、どうでしょう?」

またきょとんとした顔をされてしまった。

「あ、や、す、すみません!変ですよね!嫌ですよね!」

「ううん…」

その時―

「すごく気に入った。それで良いよ。紗環。」

なんだか、悲しそうに笑っていたような気がする。

でも、その時はとにかく、嬉しかった。

「はい!ユヅちゃん!」

「敬語!」

「こ、これは直りません…」

小さい頃からの、あたしの”証”だから。

「ま、いいか。可愛いしね!」



そうやってユヅちゃんは、私の不安や我儘、弱さを受け止めてくれてた。

いつだって、私の味方でいてくれた。


あの時から、ずっと―




「じゃ、一緒に帰ろうか!電車?」

「はい。ユヅちゃん…」

「ん?なに?」

「…やっぱり、なんでもないです。」

「へ?紗環ったら、変なの。」


私はそっと呟いた


ユヅちゃんに聞こえないよう








「ごめんね―」




それを伝えるのは、まだ、ずっと先の話。

リノです。

いかがでしょうか?(タイトル言うのも面倒になりました)

ついに登場しました。

天然セレブ・紗環ワールド炸裂!思考回路複雑!(笑)紗環ちゃんです!

この子は本物の令嬢です。唯李もだけど。唯李はいいとこのお嬢様。それに対して紗環は本物のセレブです。

父親は超有名高級ホテルチェーンの社長。母は有名ファッションデザイナー。

紗環は1人っ子なので、大事に大事に育てられてきました。

紗環はほんとうに考え込んじゃう子です。

過去にもいろいろありました。じつは柚月と…おっと。これ以上は控えます。(オヤクソク)

とりあえず6人全員登場しました。

次からは。残り3人から見たそれぞれの出会いです。

次回、【鈴 第一話】お楽しみに!

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