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第25話 ハルカ、外の世界へ 冥医編2

 ハルカside


 ホワイトホスピタル二階へと歩を進めた、僕とナナさん。ナナさん曰く、悪趣味な敵を出してくるとの事。そして、それは正しかった。


 魚の身体に人間の手足と顔を付けた、水陸両用の生体兵器。両生魚。クトゥルフ神話に出てきそうなデザイン。ちなみに素材はルーナさんが捕らえた下級転生者。同情はしない。そんな意味も価値も無い連中だし。


 前回の三角コーン頭戦では、手足を切断。行動不能にしたけど、その事でナナさんから叱られた。初手で殺せたはずだと。


『敵は殺せる時に速やかに、確実に、完全に殺せ』


 ナナさんの教え。殺せる時に殺しておかなかったせいで、逆に殺された奴は後を絶たないと。


 故に、今度は殺す。この程度殺せないようで、下級転生者抹殺などできるはずがない。







 しかし、いざ殺すとなると、やはり厳しかった。こんな化け物でも一応、命。こいつらは動くゴミ、ゴミは処分と、自らに言い聞かせながら戦う。深手を負わせる事はできたけど、それでも一撃で殺すには至らない。


 ……焦るな。一撃で殺すのが理想だけど、今はとにかく殺す事に専念。弱らせてから、とどめを刺す。確実に殺す。


 僕には死神ヨミとの契約が有る。いつまでも遊んではいられない。それにナナさんとの契約も。


『無能と判断したら追い出す』


 結果を出さなければならない。その為にも斬る! そして遂にその時は来た。両生魚の一体が弱って動けなくなった。そいつに対し、鉄扇を横薙ぎ一閃。ミスリル製の扇の刃は、両生魚をあっさり一刀両断した。不味そうな切り身だな。ちなみに血は青かった。そこまで改造されているのか……。


 ともあれ、僕は初めて、誰かを斬り殺した。







  ……そりゃ、蚊やゴキブリといった害虫は殺した事が有る。しかし、今回はそれとはまた違う。曲がりなりにも元、人間。どうしようもないクズとはいえ、元、人間。しかし、感傷に浸っている暇は無い。


 両生魚達は仲間が一体殺られたからといって、引き下がりはしなかった。仲間意識は無いらしい。構わず、攻撃してくる。


「……上等。全て斬る」


 一体殺すまでは、色々複雑だったけど、一体殺した事で、踏ん切りが付いた。後戻りはできない。ならば、進むまで。とりあえず、目前の敵は全て斬る。


 踏ん切りが付いてからは早かった。三角コーン頭よりは強いけど、十分、対処できる範囲内。攻撃を鉄扇で捌き、フットワークで躱し、隙有らば、斬る。そして動けなくなった奴を仕留める。さほど時間を掛けず、全て切り身にしてやった。


 向こうも事態を把握しているらしく、不味そうな切り身は全て炎に包まれ、燃え尽きる。つくづく惨めだな。下級転生者の末路は。







 両生魚を片付け、二階の探索を再開。両生魚は雑魚キャラ。ボスじゃない。ルールによれば、ボスは頭上に『フロアボス』の表示が有るらしいから。


 しかし、出るわ出るわ、雑魚キャラが。しかも悪趣味なデザインの。こいつらは下級転生者が素材。一体、どれだけの数を捕らえたのか?


「『便器人間』ですか……」


 和式便器、洋式便器に人間の手足と顔を付けた生体兵器と交戦中。こいつらも雑魚キャラ。ちなみに便器の中に顔が有る。どこのホラーゲームのキャラだ。夜中にトイレで見たら怖過ぎる。


「ルーナからすれば、下級転生者なんぞ、糞尿同然って事の表現だろうね」


「いっそ、前衛芸術家になれば良いと思います」


 下級転生者なんぞ、糞尿同然という事には全面的に同意するけど、この悪趣味なデザインは無理。斬るのも嫌だなぁ……。物理的にではなく、精神的にダメージを与えてくる辺り、本当に嫌らしい。


 でも倒さない訳にはいかない。向こうは殺意満々。世の理不尽を感じる。


「頑張って倒せハルカ。でないと死ぬよ?」


「ナナさんは戦わないから良いですね!!」


「文句言わずに倒す」


 何が悲しくて便器の化け物と戦わないといけないのか? 本当に世の理不尽を感じる。しかし、嘆いても事態は変わらない。


 接近戦はしたくない。しかし屋内戦。大規模破壊は不味い。……水を使うか。


 接近戦以外だと水、風が有るけど、水を選んだ。一番相性が良いし。それと、狐月斎さんに感謝。良い技を見せてもらった。


「見様見真似。狐月剣」


 先日出会った『金毛九尾』夜光院 狐月斎の技。恐るべき技だった。凄まじい切れ味の三日月を無数に放ち、それでいて余計な物には一切当てず、標的のみ斬る、精緻極まる絶技。


 それを水で再現して放つ。といっても、所詮、見様見真似。出せた三日月は三つ。本家本元の足元にも及ばない。しかし、今はそれで十分。


 三つの三日月を操作。二つで牽制し、残る一つで斬る。そもそも便器の中に顔が有るから視界が悪いらしい。死角から来る三日月にあっさり斬られる。じきに全滅した。しかし、三つの三日月を各個操作するのは疲れる。試しに使ってみたけど、要改良だな、これは。


「終わりました」


「……じゃ、行こうか」


 ナナさん、何か間が有ったな……。まぁ、ナナさんにはナナさんなりの考えが有るんだろう。僕如き未熟者が関与する事じゃない。







 ナナside


 ……弟子が優秀なのは、師として喜ぶべき事ではあるが……。しかし、これ程までとはね。


 二階に進み、六回目の襲撃。出てきたのは、便器に人間の手足と顔を付けた悪趣味な生体兵器。便器人間。和式便器の『闘々』と洋式便器の『理奈津苦酢』。


 ハルカもさすがに便器相手に接近戦は嫌だったらしい。私でも嫌だ。となれば、遠距離戦。飛び道具な訳だが、ここで問題。屋内戦だって事だ。下手に飛び道具を使って流れ弾で周囲を壊したら不味い。しかもここは二階。あと、ここはルーナの領域。壊したら怒りを買う。あいつ、自分勝手だからね。


 さて、ハルカはどうするのかと思っていたら、どえらい事をやりやがった。


 鉄扇を振るい繰り出したのは、三つの水の三日月。本家本元と比べたら、稚拙極まりないが、あれは狐月斎の狐月剣。見ただけの技を真似した。三つの水の三日月は自在に宙を舞い、便器人間達をバラバラに切断した。


「ふぅ……。やっぱり本家本元には遠く及ばないな。三つが限界か」


 おいおい、並列思考までやったよ。私、教えてないんだけど? 教えていない事までやってのけるとは……。改めて、ハルカは天才だと実感。異世界転生という異常事態がハルカの才能を引き出したか。


「まさか、狐月斎の技を使うとはね」


「便利そうな技だったので」


 しれっと言うハルカ。……あのさ、普通、見ただけで真似できないからね? ゲームじゃないんだから。しかし、ハルカは真似した。本家本元と比べたら遠く及ばないにしろ、だ。恐ろしい才能。模倣の天才。


 単なる模倣なら、猿真似に過ぎない。下級転生者によくいる。この手の馬鹿は調子に乗って、自分の手に負えない術、技を模倣し、負荷に耐えられずに死ぬのが毎度のオチ。模倣するのと、使えるのは違うという事を理解していないが故に。要は馬鹿。所詮、下級転生者。身の程知らず。


 対し、ハルカは見た術、技を自分なりに取り込み、我が物とする。実際、本家本元は無属性に対し、ハルカの狐月剣は水の刃。それを可能としているのが、ハルカの優れた身体、絶大な魔力、そしてそれらを十全に活かす才能。繰り返すがハルカは天才だ。


 恐ろしい子だよ。下手に術、技を出したら真似される。ハルカ流にアレンジされて返ってくる。単なる猿真似なら対処できるが、ハルカ流にアレンジされて、別物になって返ってくるんだ。敵に回したら、厄介極まりない。


「行きましょうか、ナナさん。こいつらもボスじゃなかったので」


 あと、敵を殺す事にも、急速に適応しつつある。事務的、作業的に処理していくね。


 ハルカに聞いたら、カタギならともかく、下級転生者が素材なら遠慮する理由が無い、だそうだ。ゴミは処分一択だと。冷酷、苛烈な面が有る事は知っていたけど……割り切りが凄い。年寄り臭くて嫌だけど、今時の若い子はこうなのかねぇ?


 …………お出ましか。


 ハルカも身構える。そういえば、ハルカは『魂の熱』を感じ取れるんだっけ。明らかに雑魚とは違う気配。二階のボスか。


 直後、即座にその場から飛び退く私とハルカ。横合いの壁を破り、振り下ろしの赤い大剣の一撃が白い床に突き刺さる。ジュウジュウという音。煙と焦げ臭い匂いが立ちこめる。


『痛いぃいぃぃぃぃ!! 痛いぃいぃぃぃぃぃ!!』


『殺してくれぇえぇぇ……。殺してくれぇぇぇぇぇ……』


 聞こえてきたのは若い男女の声。痛いと訴える女の声と、殺してくれと哀願する男の声。


 壁をぶち壊し、そいつは姿を見せる。


「ひっ!!」


 これまでルーナ作の悪趣味な生体兵器を殺してきたハルカだが、出てきた奴のあまりにグロテスクな姿に短い悲鳴を上げる。……ルーナの奴め。


 現れたのは男女二つの首。四本の腕と足を持ち、全身の皮膚が無く、体内組織が剥き出しのグロテスクな怪物だった。


『痛いぃいぃぃぃぃ!! 痛いぃいぃぃぃぃ!!』


『殺してくれぇぇぇ……。殺してくれぇえぇぇ……』


 男女の顔には見覚えが有った。女は貴族の令嬢で二十年程前に、とある小国の王子と結婚した奴。男はその王子。ちなみに女は下級転生者。その美しい顔立ちと強力な氷魔法から、『氷の人形姫』って呼ばれていた。


 もっとも、美しいのは見た目だけ。下級転生者だけに、性根は腐り切っていた。物欲、金銭欲、権力欲、支配欲に塗れたクソ女。


 よく有るパターンさ。周囲から愛されないと荒んでいた王子にクソ女が優しく接し、とどめに暗殺者に襲われた王子を颯爽と救い、殺し文句。


『私はあなたの味方。私があなたを生涯守り続ける』


 この殺し文句に、愛情に飢えていた王子はあっさり陥落。完全にクソ女に依存。婚約発表からの、結婚。流れるように事は運んだ。


 はなっから、これがクソ女の目的。王子をたらし込み、輿入れ。最終的に国の実権を握る。決定打となった暗殺者の襲撃は、クソ女の自作自演さ。


 ちなみに私はこの王子と知り合いでね。先代国王である、爺さんが飲み友達だったんだ。で、久しぶりに会ったら、『彼女は自分を愛してくれる唯一の人だ』なんて寝言を言うから、忠告してやった。


『馬鹿。あれは『愛情』じゃない。『愛玩』だ。あのクソ女はあんたの事なんか、これっぽっちも愛していない。便利で可愛いペットとしか思っていない。あんたを利用して、最終的に国の実権を握る気だ』


 私は事実を述べただけなんだけど、王子は激昂。私としても忠告を聞かない奴なんか、どうなろうが知ったこっちゃないから、それっきりだったけど……。まさか、こんな形で再会するとはね。


 どうせ、クソ女がやらかしたんだろう。下級転生者だからね。ルーナに捕まって生体兵器に改造されたか。馬鹿が。爺さんが飲み友達だったから、忠告してやったのに、無駄にしやがって……。


 しかし、今更だ。それにハルカには関係ない。何より、こいつが二階のボスだ。間違いない。頭上に『フロアボス』の表示が有る。そこへ聞こえてきたのはルーナの声。


『二階のフロアボス。両面宿儺が現れた! 戦えハルカ・アマノガワ! 醜いモンスターに正義の鉄扇を振るえ!』


 あいつめ……ノリノリで遊んでやがる。なんて場合じゃないね。


 二階のボス。両面宿儺。厄介なのが、四本の腕。


 四本の腕それぞれが、刃渡り二メートルは有る大剣を持ち、振り回してくる。まず大剣故に、攻撃のリーチが長い。そして重い。大質量はそのまま破壊力となる。下手に打ち合うのは自殺行為。何より、四本の大剣は赤熱しており、触れただけで致命的。


 更に四本腕を活かした、絶え間ない攻撃。次々と灼熱の大剣がハルカを襲う。


 しかし、ハルカは流れる水のような流麗な動きで襲い掛かる大剣を全て躱す。その上で、冷徹な眼差しで両面宿儺を観察していた。ふむ。お手並みといこうか、ハルカ。







 ハルカside


 遂に出てきた二階のボス、両面宿儺。とにかくグロテスクな外見。皮膚の無い、体内組織剥き出しの姿。女の顔が痛いと叫び、男の顔は殺してくれと哀願する。しかも意地の悪い事に男女の顔は後頭部で融合しており、お互いの顔を見る事ができない。


 そりゃ痛いだろうし、殺してほしいだろうね。皮膚が無く、体内組織が剥き出しなんだ。ほんのそよ風すら、激痛をもたらすだろう。その割には、容赦なくこちらを殺しに掛かってきているけど。どうも、本人達の意思とは無関係に攻撃しているらしい。まともに戦える精神状態じゃないからね。


 感想は悪趣味の一言に尽きる。素材となった男女が何者かや、関係性は知らないけど、わざわざこんな姿にした上、苦しめ続けている辺り、本当に悪趣味だ。


 だが、油断はできない。四本腕から繰り出される赤熱した大剣攻撃は恐ろしい。当たったら、ひとたまりもない。まずは回避、そして観察。続いて分析。勝利に向けての解を導き出す。


 振り下ろしの一撃。速いが見切れなくはない。クローネさんの見えない拳と比べれは遅い。横に躱す。床に突き刺さった赤熱した刃による焦げ臭い匂いが鼻をつく。間髪入れず、薙ぎ払いが来る。バックステップで回避。また振り下ろし。回避するが、両面宿儺は次々と大剣を繰り出し、僕を執拗に狙う。


 見た目は弱点剥き出し。何せ、皮膚が無い。体内組織が剥き出しだ。故に激痛に苦しみ続けている訳だけど。


 ……だからといって、安直に攻撃するのは危険だ。単なるモンスターならともかく、こいつは生体兵器。こんなあからさまに、『皮膚が有りません。体内組織剥き出しです』と見せ付けてくるなんて、どう考えても怪しい。探りを入れるか。







 鉄扇を振るい、指向性を持たせた突風を放つ。さすがに四本の大剣では実体の無い風は防げない。直撃する。


『痛いぃいぃぃぃぃっ!!』


『殺してくれぇえぇぇ……』


 体内組織剥き出しな身体。そよ風でも激痛を感じるだろうそこへ、突風が直撃。男女の首は更なる悲鳴を上げる。しかし、攻撃に対する反応は早かった。


『『アァアァァァァァッ!!』』


 全身から、長く鋭いトゲが飛び出してきた。危ない。下手に触れたら串刺しにされていた。やっぱり罠か。皮膚の無い剥き出しの状態だからと下手に攻撃したら、トゲのカウンターで串刺し。


 さて、どうするか? 二十四時間以内に院長室に着くという制限が有る以上、いつまでも戦ってはいられない。


 答え。さっさと殺す。以上。


 しかし、そうは問屋が卸さない。現実はアニメやゲームみたいに都合良く運ばない。


『痛ぁあいぃいいいいいいっ!!!!』


 一際、甲高い声で悲鳴というか、絶叫を上げる女の首。すると、辺りの気温が急激に下がり始めた。不味い! 何か仕掛けてくる!


『ギャアアアアアアアアアアッ!!!!」


 汚い高音の絶叫と共に女の口から吐き出されたのは銀色の太いビーム。飛び退いて躱すが、ビームの軌道上の全てが凍り付いた。冷凍ビームか!


「ハルカ! その女は強力な氷魔法の使い手だった! どうやら、移動砲台に改造されたみたいだね!」


「詠唱抜きで発射できると」


「そういうこった!」


 難易度が上がったぞ。四本の大剣を振り回す上に、冷凍ビームまで撃ってくる。これは時間を掛けるのは不味いな。更に何かしてくる可能性が有る。


 半端なダメージは駄目。飛び出すトゲのカウンターが来る。一撃で殺さないと。


 一、遠距離戦で大火力の攻撃を放つ。


 二、接近戦に持ち込み、一撃で殺す。


 …………二、かな。まだ、遠距離からの大火力攻撃は実戦レベルじゃない。何より、下手な小細工は役に立たない。


『本当に強い奴は、小細工抜きで純粋に強い』


 ナナさんの言葉。


「御津池神楽。やはり頼りになるのは、これしかないな」


 鉄扇を開き、構える。少なくとも、奴の攻撃は既に見切った。やるか。







 ナナside


「ハルカの奴、両面宿儺の攻撃を見切ったか。ならば、あとは始末を付けるだけだね」


 両面宿儺の四本腕が持つ、大剣四本による攻撃。絶え間ない攻撃だったが、ハルカは既にその攻撃を見切っていた。最初の時点より洗練された、最低限の動きで躱している。


「四本腕による大剣四刀流。だけど、あれじゃ駄目だね。四刀流の意味が無い」


 手にする大剣を振り下ろし、ハルカを唐竹割りにせんとする両面宿儺。しかしハルカは軽くサイドステップし、大剣を躱す。そこへ別の大剣による薙ぎ払い。これはバックステップで躱す。今度は突き。またもサイドステップで躱す。また振り下ろしの一撃。当たる前に、低空タックルで反対側に抜け、背後に回る。


 ちっとも攻撃が当たらない両面宿儺。そんな両面宿儺をハルカは冷ややかな眼差しで見ていた。ゴミを見る目だね。


「ハルカ、両面宿儺の攻撃を見切ったみたいだね」


「はい。大剣四刀流。見た目は派手でしたが、よく見ればまるで駄目ですね。目先の事しか見えていない。あれじゃ四刀流の意味が無い。簡単に避けられます」


「その通り」


 大剣四刀流は確かに脅威。赤熱した大剣四本で攻撃してくるんだ。しかし……単に四本の大剣を振り回すだけじゃね。


 相手が今いる位置を攻撃するだけ。目先の事しか見えていない。相手の動きに対する先読みができていない。例えば、一手目、牽制。ハルカの初動を潰す。二手目、誘い。あえて避けられる攻撃を仕掛け、ハルカを誘導する。三手目、とどめ。誘導したハルカの移動先にタイミングを合わせた一撃を入れる。複数の大剣が有るんだから、それぐらいやれ。


 ぶっちゃけ、単なる見かけ倒し。つまらない奴だ。……ま、あっさり見切るハルカも凄いんだけど。恐るべき成長速度。これが、数日前まで素人だったと言って、誰が信じるだろうか?


 無駄に大剣四本を振り回すだけの両面宿儺。冷凍ビームを当てたくても、女の顔の前には立たない位置取りをするハルカ。冷凍ビームを吐けるのは女の顔だけだからね。


「御津池神楽、蛇尾薙」


 鉄扇による横薙ぎ一閃。両面宿儺の上半身と下半身を泣き別れにする。更に……。


「御津池神楽、八岐(やまた)(はらい)


 瞬時に鉄扇を八閃。細切れにした。反撃の間など与えず、速やかに、確実に、完全に殺し切る。


『敵は殺せる時に速やかに、確実に、完全に殺せ』


 私の教えを忠実に守る辺り、感心感心。それと……。


「馬鹿が。私の忠告を聞かなかったからだよ」


 床に転がった、男の首。かつての王子の成れの果てに私は呟く。本当に馬鹿だよ、お前は。先代国王である爺さんに抱かれていた、小さなガキを思い出す。爺さん、『儂の可愛い孫だ』って笑ってたっけ。


 馬鹿が。あんたはちゃんと愛されていたんだ。きっと他にもいただろう。だが、あんたはそれを見ようとしなかった。聞こうとしなかった。勝手に全て敵だと決め付けた。挙げ句、下級転生者に騙されてこのオチ。全ては手遅れ。王子の首は炎に包まれ、跡形も無く燃え尽きる。


 その間、ハルカは油断せず、鉄扇を手に残心を解かずにいた。燃え尽きたのを確認し、ようやく残心を解く。……本当に数日前まで素人だったとは思えないね。


「……知り合いだったんですか?」


「昔、ちょっとね」


「そうですか」


 それ以上は聞いてこないハルカ。こういう辺りもできる子なんだよ。馬鹿は無神経に聞いてくるからね。







 二階のボス。両面宿儺を倒した事で、私達の前に階段が現れた。三階への道だ。


「現状、普通に殺せる相手ばかりでした。しかし、これからもそうだとは限りませんね」


 階段を昇りながら、ハルカはこれまでの戦闘を振り返り、そして今後の戦闘を危惧した。さすがだね。勝ったからと浮かれない。むしろ気を引き締めて掛かる。何せ、あの悪趣味なルーナ主催のリアルゲームだからね。


「確かにね。ルーナは悪趣味だからね。さっきも言ったけど、絶対に勝てない相手は出さない。それじゃゲームが成り立たない。だけど、正しい攻略法でなければ倒せない。そういう奴は出すだろうね」


「よくいる奴ですね。特定の攻撃しか効かないとか、弱点を狙えとか、何らかのアイテムが必要とか。あと、ギミックを発動させろとか」


「そういう事。ルーナはやる。絶対やる。ヒントはくれるはずだけど、それ以上はしない。つまらないからね」


「悪趣味なゲーマーですね」


「同感だよ」


 ルーナの仕掛けてくるであろう、悪趣味なゲームにうんざりしつつ、私達は三階へと歩を進める。







 ルーナside


「両面宿儺もやられたか〜。まぁ、馬鹿王子とクソ女の組み合わせじゃね〜。中々面白いおもちゃだったんだけどな〜」


 二階のボスとして送り込んだ両面宿儺だけど、割とあっさりやられた。せっかくの四本腕による大剣四刀流なのに、目先の事しか見えない下手くそっぷり。挙げ句、攻撃を完全に見切られた上、瞬時にバラバラに切り裂かれて終了。反撃のトゲを出す暇さえ無かった。


「ナッちゃんの教え。『敵は殺せる時に速やかに、確実に、完全に殺せ』を忠実に守っているね。一切の油断、慢心が無い」


 本当に逸材。単に強いだけじゃない。その強さを律し、制御する意思。理性。これが凄い。異世界転生して数日なのに。


 対し、下級転生者。理性の欠片も無い。力に溺れ、暴走、破滅が定番。そもそもが、人として最低限のラインにすら届かない出来損ないのクズだからね〜。毎度、不様な最期で笑いを提供してくれる。最近だと、『異世界行ったら本気出す』とか言ってた無職のクズ。


 頭悪過ぎて草。元の世界で無職のクズが、どうして異世界で本気出すのさ? 絶対無理。


 わかりやすく言えば、元の世界は難易度イージー。それでも無職の負け組。


 そんなクズが難易度ベリーハードの異世界に来て、通用する訳ない。


 こういう奴は異世界に来ても何も変わらない、変えようともしない。ひたすら自己正当化と周囲への責任転嫁。定番の台詞。


『明日から本気出す』


『まだ本気を出していないだけ』


 馬鹿過ぎて、本当に草生える。マジ無能。


 当然、こんな馬鹿は異世界に来ても無駄。あっさり死ぬ。異世界に来て生き残る奴は、元の世界でも優秀。この世は適者生存、弱肉強食。無能、馬鹿の居場所なんかどこにも無い。誰からも必要とされてないし、邪魔だから、さっさと死ねば? 自殺がオススメ。







「さてさて、次は何を出そうかな〜?」


 それはそれとして、三階のボスを選ばないと。一階、二階と割とあっさりやられちゃったからね〜。三階はちょっと捻るか。


「…………よし、君に決めた!」


 三階のボスとして送り出す奴を、下級転生者を素材に作った生体兵器(おもちゃ)の中から選ぶ。


「頑張ってね〜♡」


 ……どうせ、やられるんだけどね。ハルカ・アマノガワ。彼女は本物の天才。この僅かな期間で急激に成長している。確か、当初の時点でレベル十二だった。


 それが先程、両面宿儺を殺した時点で、五十以上を計測。この短期間で四倍以上。とんでもない成長速度。


 ナッちゃんも気付いているはず。本当に上位転生者は凄いね。滅多に現れないレア物だけはある。


「観察し甲斐が有るね〜。さて、次の生体兵器(おもちゃ)がお相手するよ。今度の奴は簡単には殺せないよ〜(笑)」


 次の奴の素材は、『これまで二回過労死したから、三回目こそはスローライフを』とか言っていた馬鹿。同じ失敗を二回もやるな、無能。


 通常、転生は一度きり。だけど、稀に何度も転生を繰り返す奴がいる。


『輪廻者』


 死んでもすぐに転生する。何度も人生を送る。それが輪廻者。


 死んでもすぐ転生し、何度も人生を送れる。素晴らしい。……馬鹿はそう思う。事実、輪廻者になるのは救いようの無い馬鹿。


 通常、死者の魂はあの世。冥界に行き、浄化されて新しく生まれ変わる。輪廻転生。


 例外が幾つか有り、上から上位転生者、下級転生者、輪廻者。


 上位神魔に選ばれた、エリートの上位転生者。


 下級神魔が自らの強化の為の餌として選んだ、使い捨てのクズ。下級転生者。


 下級転生者にも劣るクズ中のクズ。輪廻者。


 こいつらはあまりにもクズ過ぎて、輪廻転生から外された存在。そしてこいつらにはある罰が科せられている。それが『無限輪廻』。


 死んでもすぐに転生するのは、これのせい。最初は死んでもすぐ転生できると浮かれるが、じきに無限輪廻の恐ろしさを知る事になる。何せ……。


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 悲惨な死に方をしては転生。また悲惨な死に方をしては転生。また悲惨な死に方をしては……。


 これが永遠に続く。こんな恐ろしい罰はそうそう無い。


 今回の生体兵器(おもちゃ)の素材にした奴もそう。既に二回過労死。今回は、ハーちゃんに殺される。どんな悲惨な死に方をするのかな〜? 楽しみ〜♪ ま、死んでもまた転生して、また悲惨な死に方をするだけなんだけどね。頑張って死に続けてね。(笑)


「輪廻者の無限輪廻を応用した、再生能力。そう簡単には殺せないよ。でも、ハーちゃんなら殺すとルーナ様、確信!」


 モニターに映る、ナッちゃんとハーちゃん。早く会いたいな〜♡


 ……馬鹿(下級転生者)には、うんざりだから。おもちゃ(実験材料)としては便利なんだけど、馬鹿だから、話しても面白くないんだよね〜。チート、最強、ハーレム、成り上がりといった定番台詞しか言わないし。他に言う事無いの? 馬鹿だからボキャブラリー貧困。可哀想〜。プッ! (失笑)


「……まだ時間が掛かりそうだし、解剖で遊ぼうっと」


 愛用のメスを始めとする手術器具一式を手に、手術室へ。素材(下級転生者)はたくさん有るし。







 ハルカside


 ホワイトホスピタル三階へと来た。相変わらず、白一色の不気味な病棟。今度は何が出てくるのか? ……悪趣味なデザインである事だけは確か。


「ハルカ。ここまで割と順調に来た。だけど油断するんじゃないよ。ルーナの事だ。更に悪趣味で、ろくでもないのを出してくる」


「ですよね」


 既に十分、悪趣味な敵と戦ってきたのに、更に悪趣味な敵が出てくるのか。気が滅入るよ……。


「ほら来たよ。雑魚だけど」


「……わかりました」


 また、変なのが出た。数は三体。


「ツイホー!」「ツイホー!」「ツイホー!」


 一応人型。ただし、頭がメガホン。ツイホー! ツイホー! とうるさい。


「……なろう系の定番。追放物の主人公(笑)の成れの果てかな?」


『その通り! 自分の無能さを理解せず、追放された自意識過剰の馬鹿の成れの果て。『ツイホン』。頑張れハルカ! 馬鹿に正義の鉄扇を振るえ!』


 また、ルーナさんのナレーション。本当にノリノリで遊んでるな。


「下級転生者に限らず、この手の自意識過剰の馬鹿は後を絶たないからね。ハルカ、雑魚だし、さっさと殺せ。うるさくてかなわない」


「はい」


「ツイホー!」「ツイホー!」「ツイホー!」


 本当にうるさいな! 無能だから追放されたんだろ! 他人のせいにするな! 全く、こういう自意識過剰な奴は不愉快極まりないな! さっさと殺すに限る。ナナさんの言葉を借りれば『無能は死ね』。


 しかし、油断はしない。曲がりなりにも生体兵器。しかも作ったのは、悪趣味極まりない『冥医』。何もさせるな。する前に殺せ。


「ツイ」


 何かしようとしてみたいだけど、させない。即座に一体目の首を刎ねる。続けて二体目、三体目も首を刎ねる。……良い鉄扇だな。斬首は有名だけど、実際にやると難しい。


 首には硬い骨。頚椎が有るから、そう簡単には切れない。だからこそ、専門の処刑人がいる訳だ。


 僕は処刑人じゃない。にもかかわらず、あっさり斬首できた。自分の実力と驕る気は無い。死神ヨミから与えられた鉄扇有ればこそ。ありがとう、死神ヨミ。役立っていますよ、この鉄扇。


「終わりました」


「あんた斬首の才能が有るね。ここまで綺麗に首を刎ねる奴は久しぶりに見た。良い処刑人になれるよ」


「実際、処刑人ですからね。下級転生者に対する」


「そうだね。頑張りな。敵は下級転生者だけじゃないよ」


「肝に銘じます」


 ……我ながら、急速に殺しに慣れていくな。転生したからか。正直、複雑。しかし、後戻りはできない。それが自分の選んだ道だから。少なくとも、クズを殺す事に躊躇は無い。改めてナナさんの言葉を借りる。


『無能は死ね』







 ナナside


 本当に恐ろしい子だよ。とんでもない速さで異世界に適応、成長していく。出発時点ではレベル十二ぐらいだったのが、今や五十以上。この短期間で四倍以上に。


 怪植物トライフィート騒動。『金毛九尾』夜光院 狐月斎。『死の聖女』クローネ。大事件に巻き込まれたり、超一流の実力者に会い、その戦いを見たり、それらがハルカの糧となった。


 何より、ハルカ自身の向上心の賜物か。ハルカは異世界の恐ろしさを理解している。異世界において、自分は異物。身分を持たない根無し草。そんな奴に世界は容赦しない。だからこそ、自己研鑽に余念が無い。最後に頼りになるのは自分だけだからね。


『明日から本気出す』


『まだ本気を出していないだけ』


 こんな戯言を抜かす奴は、生涯何も変わらない。邪魔だから、さっさと首を吊れ。飛び降りはするな。人迷惑だからね。


『無能は死ね』


 さて、現れた雑魚。『ツイホー!』とうるさい、頭がメガホンの『ツイホン』とやらが三体。ハルカは鉄扇を振るい、あっさり三体の首を刎ねて終了。本当に躊躇なく首を刎ねるね。しかも上手い。ミスリル製の鉄扇の性能を加味してなお、見事。斬首の才能が有る。


 余談だけど、後々ハルカは『断頭蛇』とか、『首刈り蛇』と呼ばれる事になる。本人は嫌そうな顔をしていたけどね。


 その後も雑魚が出てきては、ハルカに斬られて終わりを繰り返していたけど……。不気味な呻き声が聞こえてきた。


「ハルカ」


「はい。三階のボスですね」


 明らかに雑魚とは違う気配。そして通路の先から現れたのは、巨大芋虫型の怪物。大腸がモチーフか。この時点で既にグロいが、更にその全体に大量の人間の顔と、腕が生えていた。悪趣味にも程が有るだろ……。間違いない。三階のボスだ。頭上に『フロアボス』の表示が有る。


『エンカウント! 三階のボス、その名も『百面瘡』! 圧倒的再生能力を持つ怪物を相手にどう戦う? ハルカ・アマノガワ!』


 またしてもルーナのナレーション。相変わらず遊んでやがる。しかし、情報もくれた。圧倒的再生能力か。こりゃ厄介だね。だけど、倒せない相手ではないはず。ゲームである以上、攻略法は必ず有る。


 既に鉄扇を手に戦闘態勢のハルカ。ルール上、私は手出しできない。


「ハルカ、まともに戦うな。 私ならともかく、今のあんたじゃ、火力が足りない。でも攻略法は必ず有る。 何せゲームだからね。情報なり、何なり、どこかに有る」


「わかりました。 とりあえず、探りと足止めをします」


 醜悪な怪物、百面瘡。全身に有る顔が怨嗟に満ちた呻き声を上げる。


『スローライフガァアアア……』


『ナリアガリィィィィ……』


『ザマ〜……ザマ~……』


『サイキョオオオオオ………』


『ハァレ〜〜ムゥウ〜〜』


 ……くだらない事ばかり抜かしているねぇ。ハルカも呆れ顔。下級転生者の寄せ集めか。


「とりあえず、どれぐらいの再生能力か見てみますか」


 倒さねばならない敵。そして、くだらないクズの寄せ集めである以上、ハルカは一片の慈悲も掛けない。容赦なく攻撃する。


 鉄扇を振るい、三つの水の三日月を放つと、百面瘡を四分割。さっきより三日月が大きくなっている。


「……やはり、効きませんか」


 四分割された百面瘡。これまでの奴は、斬れば死んだ。だが百面瘡は、死ななかった。それどころか、断面から無数の手が生えると、お互いに掴んでくっついてしまった。じきに元通り。なるほど、大した再生能力。


 しかも反撃とばかりに全身の顔の口から白い液体を放つ。飛び退き、更に風で防ぐハルカ。液体がかかった床や壁が、ジュウウと音を立てて溶ける。溶解液か。


「戦略的撤退です」


 一切の躊躇なく、その場から逃げるハルカ。こういう辺り、判断が的確かつ、早いね。私もその後を追う。百面瘡もその後を追おうとするが、巨大芋虫型だけに遅い。その辺は幸い。


 さて、どうやって不死身の怪物を殺すか? 頑張れハルカ。



ホワイトホスピタル二階のボス、両面宿儺。男女の顔、四本腕、四本足の怪物。四本腕それぞれに赤熱した大剣を持ち、四刀流でハルカを襲う。


しかし、ハルカの成長はその上を行った。四刀流の攻撃を躱し、更にまるで先読みができていない、目先の事しか見えていないと、弱点を看破。


更に狐月斎の技。狐月剣を見様見真似で再現。本家本元には遠く及ばないにしろ、見ただけの技を真似てみせた。しかも単なる真似ではなく、自分なりに取り込む形で。


ナナさんをして、驚愕せしめる、模倣の才能。下手に術や技を見せたら、ハルカなりに取り込み、使ってくる。敵に回したら恐ろしい。


最終的にハルカにバラバラに切り裂かれて死んだ両面宿儺。舞台は三階へ。







一方、その様子を見ていたルーナ。三階のボス、百面瘡を投入。大腸をモチーフにした巨大芋虫型の怪物。全身に大量の人間の顔と腕が生えた、不気味な怪物。素材にした『輪廻者』由来の圧倒的再生能力が武器。そう簡単には殺せない。四分割されても死なず、元通り再生する怪物相手に、ハルカはどう戦う?







おまけ。


『両面宿儺』ルーナが下級転生者のクソ女と、クソ女に騙された馬鹿王子を素材にして作った生体兵器。ルーナの持つ財産欲しさに、クソ女が夫の馬鹿王子改め、馬鹿国王をそそのかし、喧嘩を売ったのが運の尽き。捕らえられて生体兵器に改造された。


挙げ句、ハルカに殺された。下級転生者は所詮、品性下劣なクズでしかなく、そんなクズの本性を見抜けなかった時点で、馬鹿王子の程度も知れる。


要は、なるべくしてなった結果に過ぎない。


『百面瘡』下級転生者よりも下。『輪廻者』を素材にルーナが作った生体兵器。大腸をモチーフにした巨大芋虫型の怪物。全身に大量の人間の顔と腕が付いている、醜悪な怪物。『輪廻者』は無限輪廻の罰を科せられていて、死んでもすぐに転生する。ただし、絶対に悲惨な最期を遂げる事が約束されている。某有名作品の、無限に死に続けるボスみたいなもの。


では、また次回。



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