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通行人A  作者: ゆか
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帰り道




そこからも順調に撮影は進み、夜の7時には撮影が終わった。



「友梨ちゃん、今度ライブ一緒に行こうね!そして、また現場で会ったらよろしくね。」



「ゆかちゃん、みなちゃん、今日はありがとう!また現場で会ったらよろしくね。」




みんなそれぞれ帰っていく。私もそのまま家に帰ろうと思ったが、明日は休みだしご飯をどこかで食べて帰ることにした。






ときどき来るカフェに来た。


「いらっしゃいませ!ご注文をどうぞ」


「ハニーミルクティーとたまごサンドお願いします。」




店内は空いている。閉店間近だからかな…


エキストラのバイトをした日はいつも疲れているけど、今日はそこまで時間が長くなかったせいか少し元気な気がした。




カバンからスマホを取り出してみる。




Eternal 5thAnniversaryアリーナツアー決定


通知が届いていた。



5周年か…



私がEternalを知ったのは、約3ヶ月前。

前職で色々とあり、退職し転職活動期間に知った。

もう頑張れない。仕事も人間関係も投げ出して何もしなくていい世界に行きたいと思っていたところ、太智くんがダンスを全力でしている姿を見て私も頑張ろうと思えた。



きっと、今こうして仕事をしながらたまにエキストラやって普通に生活できているのはEternalのおかげ、太智くんのおかげだと思う。




ハニーミルクティーを飲みながら過ごしていると、隣のテーブルにお客さんが座った。視線を感じて隣をみると、目が合った。



「たまごサンド美味しいですよね。僕いつも頼むんですよ。」



眼鏡をしているため、気づかなかったけど奏汰だ。撮影終わりで帰りなのかな…ここは気づいてないふりをして会話すべきだろう。


「たまごサンド、美味しいですよね!私はいつもハニーミルクティーとたまごサンドを必ず頼むんです。」



「僕もハニーミルクティー頼んでます。お姉さんと気が合いそう。なんか突然話しかけてすみません。怪しいものではなくて…もしかして、今日ドラマの撮影来てませんでした?違ってたらすみません。」



同業者だと思って話しかけてきたのかな…

だから警戒心がこんなにないのか?



「はい。エキストラでいました。でも、女優とかではなくて…エキストラ事務所に登録してる感じです」



「そうなんだね。なんか、すごくいい笑顔してたから印象に残ってるよ。」




「いい笑顔なんてそんな…まだまだ演技力とかもないし、自分ではちょっと引きつってる感じしてました。でも、ありがとうございます。」




こんな有名な人に褒めてもらえるなんて、これからすごく悪いことでも起きるのかなとか夢かなとか疑ってしまう。




「僕のことは知ってる?東條奏汰。アイドルだけど俳優もしてる。自分では俳優業に力入れたいけどなかなか上手くいかなくて、でも今が楽しいしもっと勉強したいと思ってる。」



「奏汰さんのこと知ってます。演技もお上手だと思いますよ。もっと勉強したいと思えるなんてすごいです。」



もっと勉強していきたいと言える奏汰さんが羨ましく思えた。私自身、年を重ねるにつれて目標や夢を作ること自体逃げている気がするから。





「お姉さんは、演技をもっと勉強したいとか思わないの?エキストラの仕事何でしてるの?」



「私は、小さい頃見たドラマがきっかけで女優になりたかったけど、オーディションに受からず年齢的にも厳しいかもって思って演技の勉強とかも辞めて普通の会社員。昔、少しだけ演技の勉強してました。エキストラは、仕事のお休みの日に趣味程度にと思ってやってます。」





「年齢か…でも、年を気にして諦めるとかもったいなくない?人生楽しまなきゃ」




「いろいろとあるんですよ。私も正直何でこんなつまらない人間になったのか分かりません。」




「そっか…」




沈黙の中、たまごサンドを食べる。



しばらくすると



「間もなく閉店のお時間です」



店員さんの声が聞こえた。


私は席を立った。



「待って!もし、お姉さんがまた本気で演技したいと思うなら、僕は応援するから。だから諦めないでほしい。いつか一緒にドラマを作ってみたい。」




きっと彼なりにすごく考えて言った言葉だなと思う。私が空気を重くしてしまい申し訳ない。



「奏汰さん、ありがとうございます。そして、暗い空気にしてごめんなさい」



そう言って店を出た。















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