お互いに
カフェは少し空いてた。
やはり閉店間際だからだろうか。
この前と同じ席に座った。
奏汰さんはいない。偶然会えることなんてそんなないよなと思った。
奏汰さんは、有名人だしとても忙しいと思う。
撮影終わりに出会えたのはきっと奇跡だ。
しばらく会っていないし、忘れられている可能性もある。
「友梨さん。こんばんは。」
声をかけられ、顔をあげると、奏汰さんがいた。
「奏汰さん、こんばんは。お久しぶりですね。お元気ですか?」
「本当に久しぶり。忙しいけどなんとか。今度ツアーもあるし。」
奏汰さんに言われ思い出した。もうすぐツアーがある。そして、私はチケットが当たっているので行くつもりだ。
「5周年ですよね。おめでとうございます」
「友梨さん、知ってたの?ありがとう。ファンの皆さんのおかげでここまで来れた。本当に感謝してる。でも…」
そう言って、奏汰さんは少し悲しげな表情をした。
「でも?どうかされました?」
「いや…なんでもない。」
少し言いにくいことなのかも。
しばらく沈黙が続く。
「そういえば、私今度オーディション受けるんです。セリフがある役で、それを伝えようと思ってました」
「そうなの。頑張って、応援してる。友梨さん、敬語で話してるけど、もっと気を楽にしていいんだよ。僕は、友達だと思ってる。」
「友達って…奏汰さん、有名な方なのにそんな私なんて…」
「なんか、友梨さんと話してるとホッとする。ずっとこの時間が続けばなんて…」
「間もなく閉店のお時間です」
店内声が響きわたる。
「そろそろ帰りましょう。」
私はそう言って席を立った。奏汰さんも席を立つ。
「友梨さんと話せてよかった。また話そうね。今度会う時はライブも終わってるかもな」
「忙しいと思うけど頑張ってくださいね。私も頑張ります。」
私達は別れた。




