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第98話 え?何?最終手段だったの?

第98話掲載させて頂きました。


毎週月水金の18時~19時頃に掲載を予定しております。


先週金曜日(7/20)は急な日帰り出張。で翌日に謎の発熱…

一応熱は下がりましたが、恐らく室内と外の寒暖差が原因かと…

外はめちゃくちゃ熱いですが、中はキンキンにしてるところも多かったですからね。

キンキンだと気持ちいいですが、これだけの寒暖差があると体調も崩してしまわれるかと思います。皆様もお気をつけください…

……ピッ……


……ピッ……ビッ?


 うーん…なんか聞こえる…

 この声はハルとロゼリールか…?


…ビッ!…ビィーッ…


 これは夢だろう。2匹の声が遠く聞こえる。しかし夢にまで出てくるとはなぁ。

 俺もあいつらのことをちゃんと考えているってことか。


…ピッ!



ぽよん!



 え!?顔にいきなり少しひんやりしたぷるっとしたものが落ちてきた!なんだ!?

 ガバッと起き上がり、目を開くと目の前で飛んでいるロゼリールと…飛んでいくハルが。


「…おはよう…ハル。ロゼリール。…なんかした?」


「ビッ!」


 ロゼリールは元気に返事をし、飛んでいったハルをまた掴む。そのまま部屋の天井付近まで上がり…


「ビッ!」


 …ベッドの上に落とした。なるほど2匹で俺を半ば強制的に起こそうとしたわけか。実際起きたが…なにが起こったかと思いびっくりした。


「ハルもロゼリールも…びっくりするから最終手段でお願いしたいんだけど…」


「ピッ!ピピッ!」「ビーッ!ビッビッ!」


 え?何?最終手段だったの?

 じゃあガッツリ寝ちゃってた訳か…


「…まさか起こしたけど、俺が全然起きなかった?」


「ピッ!」「ビッ!」


 あ…そういうこと…そりゃすみませんでした。

 俺は起き上がり背伸びをする。んーっ!良く寝た!

 寝覚めはあれだが、陽の光も心地良い。

 窓から外を見ると…ポドルさんが牧場内で牛の世話をしている。

 やっぱり牧場の朝は早いんだなぁ。俺も十分寝たし、着替えて降りていこう。



――身支度を整え、1階へと降りていくと、美味しそうな匂いが…

 匂いの元をちらっと覗くと、アドリーさんが朝ご飯の支度をしていた。


「おはようございます!」


「あら!スイト君!おはよう!もっとゆっくり寝てても構わなかったのに。昨日は大変だったからね。相当疲れてたでしょ?」


「いやー…目が覚めちゃって。それに疲れも全然ないです!何かお手伝いできることはありますか?」


「そうかい!若いっていいわねぇー。お客さんをこき使う訳にはいかないからね!朝ご飯まで時間があるから、ゆっくりしてて!」


「分かりました!何かあれば呼んでください!」


 アドリーさんに挨拶をし、ミリー家の台所を後にする。良い匂いだったし、朝食が楽しみだ。

 俺は玄関を出て、牧場へと足を運ぶ。窓からポドルさんの姿が見えたからなぁ。


「ポドルさん!おはようございます!」


「おぉースイト君。おはよう!早いねぇ。」


 額から汗をかきながら笑顔でポドルさんは答えてくれる。

 朝早くから仕事か…大変だなぁ。


「俺に何か手伝えることはありますか?」


「今コツコツ雑草をむしってるんだ。こういう形の雑草なんだけどね…」


「ポドルさんの牧場は広大ですもんね…1人じゃ大変でしょう?俺もお手伝いを…」


「ビッ!」


 俺の言葉を遮って、ロゼリールが何かを主張してくる。

 え?ロゼリールがポドルさんのお手伝いをするって?


「ピッ!」


 ハルも?邪魔にならないといいけれど…まぁ2匹はやりたがっているし、ポドルさんの邪魔にならないなら任せてもいいか。


「ポドルさん。ハルとロゼリールが手伝うって言ってますが…邪魔にならないですかね?」


「おお!本当かい!?助かるよ!えーっと…こっちのスライムがハルで、クイーンビーがロゼリールだったな。」


 ハルとロゼリールはポドルさんに抜く雑草の種類を教えてもらっている。

 ロゼリールもハルもじーっと雑草を見た後ハルは勢いよくぴょんぴょんと飛び出し、ロゼリールは上空へと飛んでいった。


「こっちはあの2匹が手伝ってくれるなら大丈夫だ。牛舎の方に行ってくれるかい?ミリーとピグミィがいるはずだからそっちを手伝ってやってくれ。」


「分かりました!じゃあちょっと行ってきます!」


「うん!こちらこそ2匹を借りるよ!」


 俺は牧場を離れ、牛舎へ向かう。

 …恐らくこの大きな建物が牛舎だろう。

 あ、今ピグミィが牧草が入った大きな台車を引いて、建物に入っていった。牛舎はここだろう。


 牛舎に近づくにつれて独特な匂いがする。

 …小学生くらいの時だろうか、社会見学で牧場へ行った時に嗅いだ匂い。

 あの時は鼻がひん曲がるかと思ったが、ミリーの牛舎はそこまで臭くない。手入れが行き届いているのだろう。

 牛舎を覗くと、ミリーが三つ又の鍬みたいなもので敷いてある古い草などを取り除いている。


「ミリー!おはよう!」


「あ!スイトー!おはよー!」


「良ければなんか手伝うけれど…」


「ありがとう!そうだねー…ピグミィが運んできた草とかを敷いてもらえるかな?道具はあそこにかかってるから!」


「分かった!」


 俺は壁を見るとミリーが使っている道具と同じような物がかかっている。

 さらに、ミリーが取り除いた古い敷料は既に避けてあり、何も敷いていないところがある。ここにピグミィが持ってきた新しい敷料を敷いて行けばいいんだな。


「おはよう。ピグミィ。分かんない事あったら聞くからね?」


「ぶぃー」


 ピグミィはいつもと同じ様子で答える。さて、結構な敷料があるが…とりあえずこれをほぼ均等に敷いて行けばいいんだな。



……



 結構重労働だ…

 均等に敷くのも技術がいるし、敷料がなかなかの重さだ。

 ミリーは別の台車に古い敷料をぽんぽん積んでいっている。


「はい!ピグミィ!お願いねー!」


「ぶぃー」


 ピグミィも古い敷料がたんまり乗った台車を表情も変えず引いて行く。

 これを毎日…なのか?だとしたらミリーも相当な体力があると思うのだが…


「ミリー?これ、毎日やってるの?」


「うん!毎日変えないとねー。カウビーも気持ちよく過ごせないでしょ!」


 毎日なら相当体力がついていると思うが…ミリーは疲れ一つ見せずにこやかに返事をしている。


「結構大変…だよね?」


「そう?うーん…慣れだよ慣れ!」


 ミリーはそう言ってあははーと笑っている。慣れ…か。

 ミリーと話しているとピグミィがとことこと新しい敷料を持って歩いてくる。さぁ、あと少しだ。



……



 終わった…ふぅー。結構疲れたな。

 力仕事なんてこっちの世界に来てから久しくやってないし。

 そもそも前世でも全くだったしな。ずっと机に座ってパソコンとにらめっこだったからなぁ。


「はいスイト!お疲れ様!冷えてるよー?」


 ミリーの手には2本の瓶牛乳が。そのうちの1本を俺にくれる。

 瓶を受け取るとなかなかに冷たい。

 しかし汗もかいたし冷たい牛乳は身に染みた。


「くぅー…ありがとうミリー。生き返ったよ!」


「あはは!そんなに疲れたの?体力ないなぁー。そういえば普段スイトは何してるの?」


「そうだなぁー。平日は薬屋の手伝いだね。一緒に住んでる人が店主でそれを手伝ってる感じ。」


「へぇー…女の人なの?」


「うん。すっごく綺麗な人。」


「ふぅーん…」


 話しているとミリーの機嫌がだんだん悪くなるように感じた。俺なんか不味いこと言ったか?

 それとも年頃の男子が女性と2人暮らしってところが良くなかったのか?

 あぁ!俺とリナさんだけじゃなくてハルだっているしそれにロゼリール…は、自分の巣で寝ているか。


「…まさかスイトの恋人とか?」


「ははは。俺に恋人なんていないよ。えーっと…従姉に当たる人だよ。その人を頼って引っ越してきたんだ。」


「なぁーんだ。従姉かぁー。」


 さっきの暗い雰囲気とは打って変わってミリーはぱぁーっと笑顔になる。

 相変わらず表情が忙しいというか…ミリーは見ていて飽きないし、そう言うところがミリーの良いところだと思う。裏表がないっていうかね。


「冒険者になるにあたって色々教えてくれた俺の先生みたいな人だよ。」


「へぇー。尊敬してるっていうか…スイトもその人の事凄く大事なのね?」


「へ?」


「顔に出てたよー?スイトって意外と分かりやすいんだから!」


 まさか表情に出てたとは…確かにリナさんは大事な人だし、尊敬もしてるし、感謝もしてるが。

 表情に出してたかなぁ?俺も実は分かりやすいのかも…もしくはミリーの洞察力が鋭いとか?


「うーん…まぁ、大事な人ってのは間違いじゃないけどなぁ。」


 俺は納得がいかないが。

 しっかし、朝はまだ涼しいので力仕事をした後は気持ちいい。

 風も涼しいし、なにより座って飲む牛乳が非常に美味しい。


「スイトは恋人いないのかぁ…」


「なんか言った?」


「ううん!なんにも!そろそろご飯の時間よ!さ、早く行きましょ?」


 ミリーが何かボソッと言った気がしたが…それよりもう朝ご飯の時間か。

 ピグミィと一緒に駆けていくミリーの後ろを俺もついて駆けていく。

 台所からは良い匂いがしてたなぁ。どんな朝ご飯が出てくるのだろう?

 普段は俺が作ってるから、久々に朝ご飯が何か気になる。これもまた冒険の楽しみなのかもしれない。

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