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第95話 やっぱり…そうですよね…

第95話掲載させて頂きました。


毎週月水金の18時~20時頃に掲載を予定しております。


ブックマークも100件を超え、評価も400PTを超えました。本当にありがとうございます。


レビューや評価、感想などを頂けると今後の創作意欲に繋がります。

またご指摘や、こうした方がいい等、助言も頂ければなと思います。

「い…いや俺は別に…」


 ヘイルは誰とも目を合わせずにそわそわして、顔は真っ赤になっている。

 あっちをみたりこっちをみたり…鈍感な俺でも分かる。分かりやすすぎる。


「察するに草原で、ミリー君を発見。だけど、あれ?誰だあの男。めっちゃイケメンじゃん…くそっ…ってヤキモチを妬いて、とりあえずミリー君にちょっかいをかけた流れで、スイト君にもちょっかいを…って感じじゃないのかな?で、2人が林に入っていったあと私が現れたと。」


 ヘイルの心情は分からないが流れはおおむね合っている。

 俺に悪態をついたのもそのような感情があるのなら納得はいくが。

 どこの世界でも気になる女の子にちょっかいをかける男ってのはいるんだなぁ。俺は恋人はおろか、女性とすらあまり交友関係がなかったから良く分からないけれど。


「うんうん。青春だねぇ。分かる!分かるけどね。ヘイル君はやりすぎたよなぁ。まぁ私が2人をこってり絞ったし、ミリー君も許してくれたが、明らかにマイナスからのスタートだ。それも相当なマイナスだろう。」


「やっぱり…そうですよね…思い返してみれば、ミリーには酷い事をたくさんしてしまいましたから…」


「え?ヘイル、お前やっぱり…ミリーのこと…」


「あっ!!」


 完全に墓穴を掘ったな。

 とはいえ、今までの事を考えたら不安になる気持ちも分かるが…まぁ、自業自得だ。

 こればっかりはヘイルの努力次第。って感じなんだろうなぁ。


「ところでスイト。君に聞きたいこともたくさんあるし、まだ礼も言っていなかった。林の中の一件は本当に助かった。スイトもミリーもいなければどうなっていたか…」


 サリオは改めて俺に頭を下げる。

 でも、頑張ったのはガウリスが必死にサリオを守っていた。

 ガウリスが持ちこたえていたからこそ、俺達がスティンカーの群れの相手ができた。


「俺達だけじゃないよ。俺達が到着した頃には、君のテイムモンスターのガウリスが必死になってサリオを守っていたんだよ。ガウリスが必死になって粘っていてくれたから、サリオは助かったんだ。」


「そうか…ガウリスがね…それでなんだけど、その…こういう時って素直に礼を言えばいいのか?なんというか、テイムモンスターへの接し方がいまいち…」


 サリオは何か言葉を迷っているようだが、恐らくガウリスとの接し方を変えたいのだろう。

 林の中でもマイクスさんにこっぴどく叱られていたしな。


「うーん…とはいえ俺はまだまだ経験も少ないから偉そうなことは言えないんだよなぁ…」


「そうか…でもマイクスギルド長にも色々言われたし、スイトとテイムモンスターの付き合い方を見てたらなんか変えなきゃなぁって思ってね。ただどうすればいいか…」


「そうだなぁ…まず俺は手下とか、言い方は悪いけど道具とかって思ってないんだよ。なんていうか…ハルやロゼリールがいるから俺は冒険者として成り立ってる。感謝だってしてる。どっちが上でどっちが下って考えはあるならやめたらいい…とは思うよ。俺の師匠達も言ってたし…」


「確かにな。ガウリスがいなけりゃ僕も冒険者としてある程度は成り立ってないもんな…ただ…その…恥ずかしい話、接し方が分かんないんだよ。」


 うーん…難しいな。俺はまず怒ることはないし、威圧的になることは全くないし…ただ褒められるような事をしたときは褒めているが、意識して褒めるってことはないんだよなぁ。あくまで自然に。という感じだし。

 しかしサリオは今のままではダメだと。自分が変わらなければ。と思って俺に質問を投げかけてきているのだろう。


「単純に俺は2匹の事をパートナーだと思っているよ。信頼して、時には感謝して。対等にね。もちろん成果を出したら褒めたりはするけれど…俺は意識はしないなぁ。俺の手柄に見えがちだけれど、それはテイムモンスターが頑張ってくれた成果だしね。」


「そうか。感謝か…感謝ってのは…その…どうすれば…」


 やっぱりテイムモンスターを()()()()()という意識があるせいか、今はどうしても下に見てしまいがちなんだろうな。だからサリオはガウリスへの接し方に困っているんだろう。


「ハルとロゼリールは言葉で褒めると喜ぶし、それに撫でたりかな。ガウリスも撫でたりスキンシップをとってあげたら喜ぶんじゃないか?」


「なるほどな…僕はそんなことしてこなかったからな…成果は出して当たり前。失敗はしっかり躾ける。テイマーはテイムモンスターを従えて1人前。そう教わってきたからスイトの話を聞いていると違和感があるよ。」


 まぁそれがこの世界のテイマーの常識っぽいし、それは仕方ないのかもしれない。

 が、サリオは変わろうとしている。実はこれはダメな事なんじゃないか?と、疑問に思っている。

 まぁどっちが正解かは分からないが…俺は2匹をパートナーだと思っているしな。この世界の常識がどうあれ、その常識に沿うというのは全く考えてない。


「撫でる…か。最近してなかったな…いきなりで、驚くだろうなぁ。ありがとうなスイト。僕も試してみるよ。」


 サリオは薄っすら笑ってそう俺に答える。


「それにミリーもピグミィに対して同じ考えを持ってると思うよ。ミリーに聞くのもありなんじゃないか?」


「おいおい…昨日の今日でそれはハードルが高すぎるわ…」


 ヘイルは小さな声でそう呟く。

 既にマイクスさんに絞られ、現実を突きつけられているヘイル。もうライフは無いのかもしれない。


「そうだなぁ。ヘイルはミリーに嫌われてるしなぁ。あはは。」


 意地悪く俺はヘイルにそう告げる。

 まぁ俺も草原で馬鹿にされたんだ。これくらい言っても罰は当たらないだろう。ヘイルは更に項垂れてしまった。さっきの反省してた頃より、落ち込んでいるが…気のせいか?

 どうあれ、ヘイルもサリオもテイマーとして、変わろうとしている。同い年で切磋琢磨できる相手が出来ると言うのは嬉しい事だ。


「ま、過去のつけが回ってきたんだ。ゆっくり返していこう。な?ヘイル。」


「そうだな…俺もテイマーとしてしっかりしていかないと…ありがとうなスイト。俺も頑張ってみるよ。」


「ヘイル君は大変だね。ミリー君との関係も修復せねばならないしね!あっはっは!」


 マイクスさんにまたからかわれヘイルは項垂れている。

 それでも俺達の歳くらいではこのマルスーナで1,2を争うテイマーの2人だ。実力はあるし、マイクスさんも目をかけているのだろう。


「私がなんだってー?」


 いつの間にか、ぽかんとした表情のミリーがテーブルの脇に立っている。

 ヘイルは顔を赤くして慌てているし、それを見て俺達はにやにやしている。


「なんでもないよ。テイマーとしての資質があるって話をしてたんだよ。」


「えぇー…そんなことないよ!私はなんにもできないし…ピグミィがいてくれたからどうにかなっただけで…」


「そのピグミィ君を育てたのはミリー君だ。ピグミィ君が勝手に強くなった訳ではないだろう?」


「うーん…そうですけれど…」


「テイマーになる上で、一番大事な事はテイムモンスターとの付き合い方だよ。ミリー君はそれがしっかりできている。あとは自身がレベルアップするだけだからね。色々相談したいことがあれば、ギルドにいつでもおいで?」


「そうですね…何かあったらよろしくお願いします!」


「あの…!そ…その…なんかあったら俺も手伝えることがあれば手伝うしさ…」


「えっ?」


「その…今までの罪滅ぼしって訳じゃないけど…俺にでも手伝えることがあれば手伝わせて欲しいなって…」


「え…あ…うん…その時はよろしく…ね?」


 なんともぎくしゃくとしたミリーとヘイルの会話。

 まぁそりゃあぎくしゃくもするわなぁ…まぁでもミリーが同い年のテイマーや冒険者と仲良くなれればそれに越したことはない。


「かぁー…いいねぇ…青春だ。」


 マイクスさんはボソッと呟く。

 うーん…これは青春?なんだろうか…


「さて、そろそろ良い時間じゃないか?お開きとするか!」


 向こうのテーブルでパウドさんが、そう声をかける。


「うむ。明日もあるし…な。で、スイト君。明日は何時頃ギルドに寄る予定だい?」


「そうですね。暗くなる前には家に帰りたいので、お昼過ぎにはお伺いすると思います。」


「そうか。分かった。その時にミリー君も一緒に来てもらってもいいかい?」


「え?私もですか?」


「あぁ。すまないがよろしく頼むよ。」


「ギルド長!最後に一言お願いします!」


 締めの挨拶にポドルさんからマイクスさんの名前が呼ばれた。

 確かにもういい時間だしなぁ。ハルもロゼリールもうとうとしている。今日は色々と大変だったしな。


「コホン…えぇー。今日は皆お疲れ様でした。今日はしっかり休んでまた明日から頑張りましょう。そして今日を乗り切れたのはスイト君とミリー君達の若い冒険者による力が大きかった。今後また何かあればお願いすることだと思います。その頃にはヘイル君もサリオ君も、もちろん勢力になってくれるでしょう。ここにいる皆様も色々と街のために厄介になるかと思います。これからもマルスーナのギルドをよろしくお願いします!今日は一日ありがとうございました!」


 マイクスさんが締め、周りからは拍手が飛び交う。

 思い返せば色々と大変だったが、充実した1日だったように思う。

 さて、あとはゆっくり寝て…そういえば…宿取ってないや…どうしよう…

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