第80話 私はハルと申します。
ハル目線の話を作ってみました。
これはこれで…ありでしょうかね?
皆さん初めまして。私はハルと申します。スイトさんのお供?です。
ハルって名前はスイトさんがつけてくれました。すっごく気に入ってます。
突然ですが私は今、空を飛んでます。
スイトさんの頭の上でうとうとしてたら急にロゼリールさんに抱きかかえられ…空を飛んでいます。
ロゼリールさんはどこかへ向かって飛んでいるっぽいので、それまで私の事でも話しましょうかね。
えーっと…私はすっごく大きな樹の上で生まれました。スイトさんとか他の方は世界樹って呼んでますね!
でも…いつからそこにいたとかってのは分かんないんです。それでもずーっと大きな樹…世界樹の上にいました。
数匹、私と同じゴッデスティア?っていうスライムと一緒に。そういえばイエルム師匠のお仲間のアイナさんって方も私は珍しいって言ってましたね!スライムに物凄く詳しいらしいのに!どうやら私は珍しいらしいです!どや!
世界樹の上っていっつも晴れてるんですけど、少しひんやりしてて…でも凄く穏やかで暮らしやすいんです。
で、たまーに。ごくたまーに雨が降るんです。原理とかは知らないんですけど…
その次の日に元気にぴょんぴょん跳んでたら葉っぱが濡れていてつるっと…えぇ。落ちました。だけど私スリムな女子なので!急降下って訳ではないですけどなかなかのスピードで落ちました。
それで何分か落下し続けてて気が付いたら知らないところでした。
でも!たまたまいたウサギさんがクッションになってくれたので私は無傷で済みました。が、ウサギさんは怒っていました。
どうやら家族連れでいたようで2匹の両親、それに子供が2匹いて、その子供のうちの1匹に落ちたらしく、クッションになってくれたウサギさんが気絶していました。
3匹のウサギさんは敵意むき出しで私に襲い掛かってきます。が、世界樹の上は平和で戦うということをしてこなかったので私は逃げましたが…ウサギさんはなかなかのスピードで、私に追いついては突進をしてきました。それまではギリギリで避けてかすって…の繰り返しでしたがもろに一撃を喰らい私はコロコロ転がっていきます。
そんな敵意を向けられたのは初めてのことです。私は一撃を喰らって怖くなってぷるぷる震えていました。が…そんな時にスイトさんが!傷だらけの私を抱きかかえ、先ほどのウサギさんを倒してくれました。その時の真剣な眼差しを見て、私はずっとこの人についていきたいなー…この人に恩返ししなきゃ。と思っています。もちろん今も!
という訳でスイトさんにテイムされ…どうやらスイトさんはモンスターテイマーという、私みたいな魔物を使って敵を倒す職業のようです。そして!私がスイトさんの仲間の魔物1号らしいです。えへへー。
そして地上に落っこちてきてから私も少しは強くなりました。ウサギさんも倒せるようになったし、この間は猪さんを倒しました!どや!
で!今日はスイトさんがなにやら知り合った女の子たちとクエストを受けることに。スイトさんは初クエストだって言ってたし私もお役に立たなければ!
目的地につくまでうとうとー…としてたらロゼリールさんが私をガシッ!と抱き…今に至ります。
いきなりどうしたんだろなー?と思って表情を見ますが、いつもよりも真剣な表情をしています。少し怒ってるかもしれません。
あ。どうやら目的地についたようです。とはいえ、スイトさん達の場所からはそんなに離れていませんが。
「もう!いきなりどうしたんですか!びっくりしたでしょ!」
私はロゼリールさんに怒ります。そりゃそうです。せっかくお気に入りの場所。スイトさんの頭の上でまったりしてたのに…
何も言わず掴まれて、飛んでいきましたからね。そりゃ温厚な私でも怒りますよ。まったく…
え?バイトラビットにぼろ雑巾のようにされたのが悔しくて、帰り道に敵意剥きだしで黒のバイトラビットを倒した?その後、鬱憤を晴らすかのように…いや、練習がてら道行くスライムを手あたり次第倒してた?
……
まぁ、温厚な中にも静かに燃える一面があるってことですよ。そういうことです。
さて、ロゼリールさん。なぜ私を掴んで飛んでいって…で、ここで何をするんですか?
「なでなでされておった…」
「え?」
「あのピグミィとかいうバイトラビットがスイトになでなでしてもらっておったのじゃ!」
「…なんと。なでなでは私達の特権かと思っていましたが…」
「我々もなでなでしてもらうのじゃ!それには奴より成果を上げるのが手っ取り早いと考えたわけじゃ!」
なるほど…そうじゃなくてもスイトさんはなでなでしてくれると思いますが…
まぁでも頑張った後にされるなでなでもいいものです。あの満面の笑みも素敵なんだよね…
「ロゼリールさん!頑張りましょう!」
「おぉ!ハル!お主もやる気じゃな!」
俄然私もやる気が出てきましたよ!スイトさんに褒められるって何回あっても嬉しいものです。
「…で、何やるんでしたっけ?」
そうだった。私はロゼリールさんに搔っ攫われてここにいるんでした。
何をやるかも聞いていません。ただ、ピグミィちゃんがなでなでされていたと聞いてアツくなっただけです。
まだまだダメですね。もっと、冷静に物事を進めないと…
「えーっと…じゃな。ちょっと待っておれ。」
そう言って、ロゼリールさんは上空に飛んでいきます。いいなぁ。私も翼や翅があれば飛べるのになぁ…
そしたら便利だし…それに…ロゼリールさんに抱えられて飛ぶのは嫌いじゃないんです。
高いところから色々なものが見れて新鮮で、風が気持ちいい。
ロゼリールさんは上空から草むらを見つめ、降りてきました。
そして草むらをなにやらガサガサしています。
1本の植物を持ってこちらに戻ってきました。
「これじゃ!このガーショという植物をたくさん採るのじゃ!」
ふむふむ…なるほど。ガーショという植物の採集がクエストと言っていましたがこれがガーショですね。こいつをどれだけ採ればいいか分かりませんが…まぁたくさんあって困ることはないでしょう!
「分かりました!2人でたくさん採りましょう!」
「おぉ!ハルもやる気じゃ!我々でたくさん採ってスイトに献上するのじゃ!」
よーし!頑張るぞ!そして、私とロゼリールさんはガーショを見つけては手あたり次第掘っていきます。
ロゼリールさんが上空から指示をして、私が掘る。その間にもロゼリールさんはガーショを見つけては自分でも採集しています。
なかなかいいペースで採集できているんじゃないでしょうか!
私達は草むらからちょっと外れた平地に摘んだガーショを積んでいきます。
結構な量が採れてきました。1時間くらいで終わらせたいってスイトさん達が言ってましたが…
採集している間に、なにやら小さくて尾が長い魔物や、細長い魔物などが現れてちょっかいをかけてきましたが…
邪魔です!こっちはガーショの採集をしてるのにちゃちゃいれてきて…
光の矢とスライムブローで2種類の魔物をサクサク倒していきます。
どうやら、ロゼリールさんにも見えているようで空中から魔法を放ったり、急に空から降りてきて魔物を倒しています。
小さい方の動物は素早くこちらに移動してきて噛みついてくるワンパターンな攻撃なので苦にはなりませんが…細長い方は急に接近してくるかと思ったらお尻を向けなにやらガスのようなものを吹き出してきます!私は当たらないように避けていましたが…だって敵に向けて発射されるガスなんて絶対良いもんじゃないですもん。
当たる前に避けていたので効果は分かりませんが…ロゼリールさんは、何やら油断をしていた隙にガスを受けてしまったようで、見つけると中距離から魔法を放っています。
……
ふぅ…ガーショもなかなか採集できたんじゃないでしょうか。
こんもりガーショの根が積まれています。
その隣には小さな尾の長い魔物が18体。細長い魔物が9体、積まれています。
だって私は索敵ができるし…ロゼリールさんは飛んでいるので視認したら魔法でドーン!って感じで…
「あの悪臭を放つ奴は駆逐するのじゃ!根絶やしにしても構わないのじゃ!」
と言いながら倒してました。
ちなみに1発悪臭ガスを喰らったロゼリールさんは物凄くクサいです。
ある程度ガーショを採集し、敵のちゃちゃも入らなくなって落ち着いてきました。
「ハル。休憩にしないかの?ガーショも大方取りつくしたしの。それにしても臭いがこべりついておる…」
良いタイミングです。私も一息入れたいところでした。
ロゼリールさんが私に近寄り…クサい!
あーあ。せっかくの美人なのに…
スタイルがよかろうが、美人だろうが臭いが壊滅的なまでに最悪です。
「休憩する前に…えいっ!」
私が状態回復魔法をかけると、臭いがきれいさっぱり取れました。
だってこのあと抱えられて飛ぶ可能性があるんですもん。我慢できません。
「おぉ!臭いが嘘のようにとれておるぞ!ハル!感謝するぞ!」
実はレベルが上がって、治癒魔法の他に状態異常を治す魔法も覚えました。
魔法の名前は“リフレア”というそうです。
「しかし、この山盛りのガーショはさておき…魔物はどうしましょうか?燃やしますか?」
「そうじゃなぁ…ま、スイト達が様子を見にこちらに来るであろう。その時スイトの指示に従うとしようかの。持ち運ぶにしては量が多すぎるしの。」
それもそうですね。この魔物も魔物で、何かスイトさんの役に立つかもしれません。
ここらのガーショはほぼ取りつくしましたしね。少しくらい休憩してもいいでしょう。
ふぅー…短い時間ではありましたが。2匹で頑張りました!
スイトさん。たくさん褒めてくれると嬉しいなぁー。
仕事が落ち着きいつものペースで書けるようになってきました。
肉離れもだんだん良くなってきましたしね…
問題は暑い日が続くことぐらいですね。皆様も体調にはお気を付けください。




