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第55話 ロゼリールの巣作り

第55話掲載させて頂きました。


毎週月水金の18時~19時頃に掲載を予定しております。


ブックマークも40件を超え、評価も180PTを超えました。本当にありがとうございます。


レビューや評価、感想などを頂けると今後の創作意欲に繋がります。

またご指摘や、こうした方がいい等、助言も頂ければなと思います。

 冒険が終わって家に帰ってきて、数日が経った。

 冒険から帰ってきて忙しくなるだろうなぁ…と思っていたら案の定忙しい。

 日々の生活サイクルになんら変化はなかったが、ロゼリールが巣を作り出した。

 ロゼリールがやってきて3日が経った頃に俺の元へ向かってきて、巣を作りたいと言い出した。

 それについては生態的にも当たり前なので良いのだが、問題は俺達の生活リズムだ。

 まず平日はゴトウッドの街に行くので日中ロゼリール1匹で留守番をすることになり、来訪者が来たり、空き巣のような犯罪者が来ないかと心配したのだが…

 その辺はリナさんが、


「ずーっとこの辺りに住んでいるけど、大丈夫よ。スイトは心配性だなぁ。」


 と、言っていたので俺は心配なのだが…大丈夫なんだろう。

 しかし、ロゼリールは外からの出入口の他に屋内からの出入口を作りたいと言い出した。

 となると、家を改造しなければいけない訳で…それもリナさんに聞いたら、


「いいわね! それならロゼちゃんも行き来しやすいし。なんか秘密基地っぽいじゃない!」


 と、こちらも乗り気である。

 という訳で出入口を自分が寝ている部屋の空いているスペースに作ることにした。

 幸いにも家具等はまだ最小限しかないし、スペースも広々と空いている。

 空いているスペースに最低限ロゼリールが通れるぐらいの幅…まぁ、何かあったときに俺たちが入れた方がいいので2メートル四方で床を開けた。床材が木材なのですんなり開けられたが少々不格好だ。


「ビビビッ!」


 床を開けるとロゼリールが鳴く。どうやらあとは自分でやるとのことだ。

 これだけで良かったのか?ともかく俺の仕事はひと段落したようだ。


 そして俺はリナさんとゴトウッドの街へ行き、冒険で得た素材をギルドに持っていった。

 ドリルボアの毛皮とフォレストディアの毛皮をアレイラさんがいる受付に持っていく。


「あら今日はドリルボアの毛皮が2匹分とフォレストディアの毛皮ね。少し遠出をしたようね。」


 俺はアレイラさんにスライズのアイナさんとグランさんと1泊の冒険をしたことを告げる。


「そういうことね。昨日グランさんがドリルボアの肉とフォレストディアの肉を持ってきたもの。ということはスイト君の冒険デビューだったのかしらね?」


「そうなの!フォレストディアが狩れたのは大きかったわ!」


 フォレストディアの肉も毛皮も高級品とグランさんが言ってたしな。肉も美味しかったし…また機会があれば食べてみたい。


「リナも嬉しそうだし、冒険は滞りなく進んだみたいね。良かったわね。スイト君。」


 アレイラさんはにっこりと笑って俺に話しかける。

 まぁ色々あったが初めてにしては概ね成功…なんだろう。大きな問題もなかったしなぁ。


 アレイラさんは素材の毛皮を受け取ると、裏へ持っていき貨幣を持って戻ってくる。


「今回の代金よ。ドリルボアの毛皮が2匹で大銅貨8枚、フォレストディアが銀貨4枚ね。」


 おぉ!結構な額になるんだな。それにしてもフォレストディアの毛皮が高額だ。


「今月フォレストディアを持ってきたのは貴方達が初めてじゃないかしらね。」


 確かにグライアがいなければ狩れなかっただろう。逃げ足も速く魔法の通りも悪いってグランさん言ってたしな。


 俺達はアレイラさんにお礼を言い、ギルドを後にする。

 午前中は働き、昼食を兼ねてスライズへ行く。

 いつものようにリフルはカウンターで寝ており、店に入ると美味しい焼きたてパンの匂いがする。

 アイナさんが奥から出てきて、世間話をしているとグランさんが出てきたので4人で昼食を摂りながら報酬について話す。

 今回はギルドで得た報酬を4等分ということになった。グランさんは店で使用するドリルボアの肉の分を考慮して少し多めに俺とリナさんに渡そうと提案してきたが、俺もいい勉強になったし色々勉強もさせてもらったので、リナさんと話してきっちり4等分で。ということになった。

 朝、俺達がギルドで換金した分とグランさんが換金してきた分を4等分し、1人頭銀貨2枚いかないほどの収入を得た。

 やはりフォレストディアの毛皮と肉が高額なのでこの金額になったとグランさんは言う。フォレストディア様様だなぁ。


 そしてロゼリールが巣を作り出して家の中に出入口を作るという話題を出したら仕事終わりにグランさんが見てくれるらしい。

 確かに巣と家の床を抜いた部分をどう接合するか悩んでいたので願ったり叶ったりだ。本当にお世話になりっぱなしだ。


 俺とリナさんはスライズで昼食を摂った後、またリナさんの店に戻り午後の業務が始まる。

 リナさんはエマにもらった薬草などの書物を読んで新商品開発に勤しんでいる。

 俺はもっぱら雑用をしたり、ハルの相手をしたり…していると時間は過ぎていくわけで閉店の時間になる。

 閉店作業をし、店を出るとちょうどグランさんとアイナさん。グライアの背に2匹のスライムを乗せてきてくれた。そしてスライズで話した通りリナさんの家へ向かう。

 道中ハルはグライアの背に乗り、3匹のスライムはぴょんぴょん跳ねている。グライアも何故か楽しそうだ。


 家につき早速出入口の改修を…と思ったら、ロゼリールがやってきた。

 …後ろにソルジャービー2匹を連れて。

 そして1通の手紙を渡される。どうやらエマが書いたものらしい。要約すると『ロゼリールと親しかったソルジャービーをロゼリールの配下として送ります。近々またお会いできることを楽しみにしております。』とのことだ。

 配下のソルジャービーに食事を与えることはしなくてもいいとのこと。花の蜜や木の実などを採取してそれを自分の食事やハチミツに換えるので、特に必要はないらしい。

 まぁどの巣にも女王蜂が1匹だけ。ということはないだろうからな。そもそもがロゼリールはお付きを連れて巣作りをする道中に襲われたわけだし。

 アイナさんの見立てではこの2匹のソルジャービーの戦闘力もなかなか高いとのこと。ロゼリールにの話では、この2匹を連れしょっちゅう巣を抜け出していたらしい。部下というよりは幼馴染でありながら悪友という立ち位置なのだろう。それをわかってエマもこの2匹を送ってきたんだろうな。実際エマの巣からここまで2匹で飛んできた訳だし。


 家へ入り俺の部屋に入ると巣は掘り進められていた。結構巣作りも捗っているようだ。

 しかし床をぶち抜いただけなのでここの改修が必要だ。なのでグランさんが手伝ってくれると言っていたのだが…


「これくらいならすぐ綺麗にできるな。」


 とグランさんは言う。木材はこの辺の木を倒していいかと聞かれたのでリナさんは大丈夫とのこと。

 まぁ中くらいのサイズの木を1本切り倒して加工するだけらしいので、それほど時間はかからないらしい。


 グランさんは斧を持ち、手ごろな木をサクッと1本切り倒す。切り倒したものを俺とグランさんで運び加工をし、手際よく床を抜いたところと巣穴の入り口に取り付けていく。

 およそ3,4時間で部屋とロゼリールの巣の入り口が綺麗に完成した。グランさん手際が良すぎる…

 ロゼリールと2匹のソルジャービーは巣の中を作っていたが、この出入口を見てご機嫌な様子だ。

 どうやらこの出入口はロゼリールが住む女王蜂の部屋と直結しており、この通路はロゼリールと俺達しか使わないようにするらしい。

 外の出入口はソルジャービーが出入りするためのものと通訳したアイナさんが言っていた。


 巣の出入口が完成し、俺はグランさんとアイナさんに晩御飯を勧める。

 さすがにこれだけのことをしてもらって、ただで帰すのは人としてどうなのか。お礼としてもささやかなもので申し訳ないが…


 2人はそれを快諾してくれて、俺はいつも以上に料理に精を出す。

 いつもは俺とリナさんとハル、ロゼリールの2人と2匹だが、それに加えアイナさん、グランさん、グライアに2匹のスライム。そして今日はソルジャービーの歓迎も兼ねてソルジャービー2匹と賑やかな夕食だ。

 さすがにリビングじゃ入りきらないので庭に出て賑やかな夕食を楽しむ。


「こんな賑やかなの初めてだなぁ…」


 とリナさんも言っていたが表情は実に楽しそうだ。

 俺も初めての賑やかな夕食を楽しみ1日が過ぎていった。

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