第51話 これがテイム…ですのね。
第51話掲載させて頂きました。
毎週月水金の18時~19時頃に掲載を予定しております。
ブックマークも40件を超え、評価も180PTを超えました。本当にありがとうございます。
レビューや評価、感想などを頂けると今後の創作意欲に繋がります。
またご指摘や、こうした方がいい等、助言も頂ければなと思います。
…っとその前に一応テイムだけしなければ。まぁ形上ではあるが、テイムしたところをエマが見れば正式な契約と見て取れる訳だし、安心するだろう。
「その前にテイムさせてもらいますね。」
俺はエマにそう告げ目を閉じ、手のひらに魔力を溜め、クイーンビーに向けて飛ばす。
「テイム。」
そして手のひらからクイーンビーに向けた魔力がクイーンビーに向かって飛んでいき、徐々にクイーンビーを包んでいく。
そして手のひらから魔力が出なくなり、クイーンビーを纏っていた魔力も徐々に収まって消えた。
「よし!ちゃんと受け入れられたようだな。エマ。これでこいつはスイトの仲間になったぞ。」
グランさんはエマに向かって説明する。
「これがテイム…ですのね。こうやってモンスターテイマーの方々は魔物を仲間にしていくのですね。初めて見ました。スイトさん。今日からこの娘をよろしくお願いしますね。」
エマは再び向き直り、にこりと笑って一礼をする。
俺も長の一礼を受け焦りながら、こちらこそ…とエマに礼をする。
隣にいたクイーンビーは嬉しそうに飛んでいる。
ハルの新しい仲間が増え喜んでいるように見える。
ピッピッと鳴きながら跳ねているし喜んでいる…のだろう。
あとはこいつの名前だが…なにか種族の法則というかしきたりというか…みたいなものはあるのかな?
「エマさん…名前ですが、なにか法則のようなものはあったりしますか?こうしなければいけないというか…」
「忘れていましたわ…最後にリールがつく…というのが代々受け継がれておりますわ。」
危ねぇ。聞いといて良かった。ってか先に言ってくれよ…
色々考えてから、あ。そういえば…って言われたらまた考え直さなきゃならんとこだった。
とはいえ…うーん。こいつと出会ってまだ1日を過ぎてない訳で印象に残っているのは…
紅茶を好いて飲んでいたくらいか。あれはロゼマーリの葉だったっけか。
ロゼ…ローズ…薔薇…薔薇ってなんかエレガントなイメージもあるし、紅茶を飲んでいる様子は実に気品があったな。
それにグライアが帰ってきた時に真っ先に表に立ってくれてたっけか。よし。
「そうですね…"ロゼリール"…というのはどうでしょうか?」
「まぁ。どんな意味がおありで?」
「一番に浮かんだのはこの子が飲んでいた紅茶です。どうやら与えたら美味しかったみたいで…それの名前から。それと飲んでいるときの姿が上品で気品があったので、美しい薔薇のようだな。と…いかがですか?」
「いい名前ですわね!ロゼリール…」
「ビビッ!」
クイーンビー…いやロゼリールは更に嬉しそうに飛んでいる。なぜかハルを抱えて…
まぁハルも嬉しそうだしいいか。
「その由来となった"紅茶"というものを飲んでみたくなりましたが…今準備することは可能なのでしょうか…?」
エマは申し訳なさそうに俺に尋ねる。
「茶葉はまだありますから大丈夫ですよ。火を使ってもいいのであれば…」
「構いませんわ。この巣には外の空気を入れるための穴もありますし、万が一引火しても飲み水として豊富に貯水しているので大丈夫ですわ。」
うん。なら窒息の心配も何かに燃え移っても大丈夫か。見渡す限り引火しそうなものはないが。
「分かりました。まぁ火の手に関してはごく小規模なものですし…リナさん。茶葉使ってもいいですよね?あとティーポットとティーカップを貸してください」
俺はリナさんに尋ねる。一応リナさんの茶葉だし…断りはとらないとだ。
「もちろん!美味しいのを淹れてよね!」
思った通りの返事が返ってくる。グランさんとアイナさんの方を見ると2人とも頷いている。
恐らくまだ時間に余裕はあるし、予定もないので断ることもないのだろう。
俺はリナさんからティーポットとティーカップ、茶葉を受け取る。
火はどうしようか…
「エマさん。湯を沸かしたいので火が欲しいのですが…」
一応エマに確認をとる。
するとエマはお付きのソルジャービーに枯れ葉を用意させる。そして水も汲んできてくれたのだろう。水も用意されている。
「水も燃料もこれくらいでいいのかしら?」
うん。湯を沸かすならこれくらいで十分だろう。
「それで…これに火をつければいいのですね。はいっと。」
そう言ってエマは指先を枯れ葉に向け、いとも簡単に枯れ葉に火をつける。
凄いな。これがこの森の長、エマリールか。
「火をつけるくらい造作もないですわ。まぁ…私の力の一部を皆様に見せられるいい機会になったかしら?」
「エマさんありがとうございます。俺もまだ火魔法を覚えたてで、火をつけるのに結構苦労してるんですよ…今度色々教えてもらってもいいですか?」
「えぇ!もちろんですこと!また楽しみがひとつ増えましたわ。」
エマは嬉しそうに俺に答える。実際にいとも簡単に低級ではあるものの火魔法を瞬時に発動させれたのはリナさんとエマだけだ。
俺はまだ低級の火魔法しか扱えないし、リナさんやエマは魔力をコントロールしたりもできるのだろうか?
魔法に関してはリナさんかエマに聞くのが確かだろう。
「エマ。俺はモンスターテイマーとして、魔物についての知識は豊富だと思っていたが…まだまだ知らないこともある。現に蜜蜂族に関しては何も知らなかったからな。色々興味がある。」
「私が持っている知識であればお教えいたしましょう。そこ代わりと言ってはなんですが、グランさんの出会った魔物の話など、私が知らない事も多く貴方は知っているでしょう。それを聞かせて頂けませんか?」
「エマちゃん。この子達がエマちゃんに聞きたいことがあるみたいなの。後で話を聞いてもらえるかしら?」
「えぇ。いいですわよ。イエルムにリフルに…ハルでしたわね?特にリフルは…グリーンゼリーですか。グリーンゼリーはこの界隈でもたまに見ると兵士達が言ってますが、アイナさんのリフルは鍛えられているようですわね。兵士達も呼んで、模擬戦を行うのも面白そうですわ。野生のグリーンゼリーとリフルの違いを体感してもらういい機会のなるかもしれません。」
「あらあら!いいわね!早速イエルムとリフルを案内してもらっていいかしら?」
「えぇ。私の部下に案内させましょう。」
そう言うと1匹のソルジャービーがエマの元へ颯爽と飛んでくる。
「アイナさん達を修練場へ案内して差し上げて。模擬戦?えぇ。構わないわ。」
そういってアイナさん達はソルジャービーの案内の元、修練場へと連れていかれる。
「エマ!あたしはこの辺りの薬草や木の実、薬になるものが知りたいわ!」
「リナさんは薬屋さんを営んでおられたと言っておりましたわね。この周辺の薬の原料になりそうな薬草や木の実、魔物などの素材や効能なども把握しております。今後ゆっくりお話しできたらいいですわね。」
グループの面々がエマと話す。打ち解けているようだし、こちらのグループもエマに聞きたいことがあり、もちろんエマも俺達に聞きたいことがあるようで、楽しそうに会話が進んでいる。
俺はもちろん他種族と話すのは初めての機会だがグランさん達も珍しいことなのだろうか。
と、気が付くと湯が沸いている。
俺はティーポットとティーカップを温め、少ししたらロゼマーリの葉を入れる。
そして湯を捨て、ロゼマーリティーと言えばいいだろうか。をティーカップに淹れていく。
みずみずしい爽やかな香りが湯気と一緒に上っていく。
「これがロゼリールが飲んだ"紅茶"ですか。爽やかですっきりとした香りがするものなのですね。」
確かにロゼマーリティーはスッキリとして爽やかなのが特徴だが、飲みづらさを感じる人も少なくないだろう。
とりあえず、淹れたてのロゼマーリティーをまず、エマに渡す。そしてグループの面々にも、ティーカップを渡していく。
「ビビッ♪」
もちろんロゼリールにもカップを渡す。ずーっと飲んでたもんなぁ。
少々癖があるロゼマーリティーだがロゼリールにはハマったようだ。
「これは…なんとも言えない味わいですが、落ち着きますわ。そして香りと一緒でスッキリして…爽やかな味ですわ。」
エマはロゼマーリティーを飲み、感想を述べる。
「なかなか癖があるのだけれど…朝に飲むとスッキリするのよね。他にも、血液の流れが良くなったり、疲労回復や冷えにも効くわ。」
「なるほど…薬草としての意味合いも強い紅茶…ともいえますわね。確かに寒い朝だったり、寝起きにスッキリしたいときに飲むと良い気分になれそうですわ。」
エマはリナさんの解説を聞き、納得したようにリナさんに感想を述べる。
「それに薬草や薬という物は体に良いものの飲みにくかったりするでしょう?その…苦かったりとか、渋かったりとか。」
「そうね。だからこうやって紅茶にしたり、効能はそのままで薬を飲む人が飲みやすいように工夫をしたり、色々お店で考えたりしてるわ。でも…紅茶っていうのは、紅茶を飲みながら色々な人とお話をしたりリラックスしたり…休憩したりどっちかというと趣味の時間というか…なんて言えばいいのかしら…」
リナさんはどう説明していいかわからないようだ。
確かに俺も説明しろと言われても難しいな。うーん…
「そうですわね。皆さんとお話する時に、ただ話してるだけじゃ手持ち無沙汰だったりするから、有意義な時間を演出するためにも必要なものってことかしら?」
エマはリナさんに続けてそう返す。
確かにそれもそうかもしれない。
雑談の場での紅茶、逆に紅茶があるから話も盛り上がる。というのもあるかもしれない。
「それもあるかもしれないわ。でも、あたしってスイトが来るまで一人暮らしだったの。その時は…気持ちいい風を感じながら、小鳥の囀りを聞いてゆっくり紅茶を飲んでいたし…なんていうかリラックスするアイテムというか…」
まだリナさんは悩みながらエマに返している。
確かに紅茶の飲み方は人それぞれだし、説明がつかないのだろう。
「うーん…そうね…本来は紅茶と一緒に紅茶に合うお菓子や食べ物などもあるけど…なんていうかあたしの中では紅茶に合うお菓子を選ぶというか…おやつを食べる際に合う飲み物を選んだら紅茶だった。って言う人もいるかも。」
確かに。おやつのお菓子に合う飲み物としてのアイテムが紅茶。と言うのもあるなぁ。
でも俺が紅茶を飲む時って誰かと一緒に他愛もない話だったり、雑談をするときに飲んでばっかだなぁ。
ただ、話してるだけでは喉が渇いてしまうし…うーん。紅茶とは何か。か…難しいなぁ。
日曜日(2024.3.10)草野球で、太ももと膝をやりました…
年々怪我が増えてる気がするなぁ…




