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第3話 俺、悪役サイドに転生したのか?

第3話掲載させて頂きました。


当面の間、1日間隔の18時に掲載を予定しております。

拙い文章かとは思いますが、よろしくお願いします。

ご指導、ご指摘など頂けるとありがたく思います。

ちょっと褒められるとやる気が爆発的に上がります笑

――――目が覚めるとそこは見知らぬベッドの上。そして周りには自分が寝ているベッド以外に小さな木製の机。壁も木でできており、天井ももちろん木製だ。そして窓からは暖かな日差しが入り込んでいる。


 

 なんか久々にゆっくり寝たな…

 周りを見渡してみたことのない空間。無事に異世界に転生できたのだろう。

 思えば、前世ではゆっくり寝るなんて久しくなかったことだ。非常に気持ちがいい。

 上半身だけ起き上がり、背伸びをする。転生してからどれくらい寝ていたんだろうか。身体はけだるくないので何十時間も爆睡…というわけではないだろう。

 そして今から俺はなにをすれば?ここはどこなの?って感じだし。


「お!やっとお目覚めかな?」


 聞いたことのない女性の声。そういえば女性から声を掛けられるなんて前世から数えて数年ぶりだ。


「初めまして!あたしは"リナ・イーガマック"。そしてここは世界樹の加護を受ける街。"ゴトウッド"…の近くのあたしの家。君をこの世界に呼び寄せた…と言っていいのかな。詳しいことはルナリスから聞いていると思うんだけど…」


 腰ぐらいまである綺麗な赤い髪をした整った顔立ちの女性にそう言われる。

 真っ赤ではなく、深紅。といったところだろう。そして瞳も綺麗な深紅だ。見つめていると見惚れてしまう。そんな綺麗さが彼女にはあった。あとおっぱいが凄いです。


「初めまして。香月 翠斗って言います。えーっと…懇意にしている信者の元に送る…としか聞いてませんが。」


「翠斗くんね。これからよろしく!…と、本当にそれだけなの?あの子は本当に、色々シンプルに話そうとして大事なことも端折っちゃうからね。よく女神が務まっているわね…」


 リナさん…と言った女性は苦笑いを浮かべる。しかし本当に嫌でダルそうな感じではなく、しょうがないなぁ…といったような感じだ。ルナリスはそういう女神なんだろうな。


「じゃ、あたしから詳しいことは話した方が良さそうね。ルナリスがどこまで話したかはわからないが、重複してしまったら申し訳ないけど…ここは剣と魔法の世界。そして魔王もいれば当然勇者もいるわ。」


 リナさんは、テーブルの傍に置いてあるこれまた木製の椅子に座りこちらをじっと見て話しだす。


 なるほど。よくある異世界って感じだ。ということは勇者が魔王を討伐する旅に出て…という感じなんだろう。普通のRPGなら俺自身が勇者なはずなんだけどね。まぁそこまで美味しい立ち位置は得られないか。

 しかし剣と魔法の世界…か。リナさんはこの世界の住人なのに、それは当たり前のことではないのだろうか?と疑問に思う。


「ルナリスからも聞いているからね。翠斗くんのいた世界は剣も魔法もなければ、魔王も勇者もいないんでしょ?」


「その通りです。前世では普通に朝起きて、働き、寝る。の繰り返しでした。…まぁ自分は労働に全振りしてた…って感じでしたが…」


「そして、不意に夜道を襲撃された。その魂を匿ったから面倒を見てほしい。そう聞いているわ。」


「匿った?ルナリス様とリナさんで俺をこの世界に呼び寄せたと。」


「大まかにいうとそんな感じかしら。ルナリスが翠斗くんの魂を保護し、私が召喚した。といったところね。」


「なるほど。しかしなぜ俺はルナリス様に保護されたのでしょうか。」


「今はまだ詳しくは話せないけれど、あなたは本来ならこの世界の別の者の所に召喚され、転生するところだったのよ。あなたがその者の所に転生したら世界は各地で争いが起き人族、魔族、他の種族にも大きな被害をもたらす可能性が高い。それを見越してルナリスに頼み、あたしの元に召喚する準備をする。そしてあたしがあなたを召喚する。そんなところかしら。」


 要するに俺の魂をルナリスとリナさんで本来召喚するはずだった者から横取りしたと。

 …結構あくどいことしてね?俺、悪役サイドに転生したのか?

 ふとリナさんの顔を見ると「え?なにか問題でも?」という表情だ。


「今はとりあえずこの世界で生活して、この世界の暮らしに慣れていくのが一番ね。召喚された理由やら色々ないざこざやらを今あなたに話しても気が重くなるだけでしょ?変に気負わせるのもあたしが嫌だから。あ、ライフカードも作らないとね。どうせルナリスのことだからそういうものがあるって伝えただけでしょ?」


 確かに、一応見た目は成人だがこの世界での暮らしはまだなにもわかっちゃいないからなぁ。

 リナさんに言われた通り、しばらくこの世界の摂理や暮らしについて学び、慣れないと。

 ライフカードってステータスを確認するものだっけな…そこらへんも聞いておかないと。


「ライフカードってどうやって出すんですか?ルナリス様はライフカードというものが存在していると言ってましたが。」


「ライフカードはね、この世界に生を受けたら両親が教会に行って神に仕える者から、子供の分のライフカードを貰うのよ。そこで名前も登録するの。ただ転生者はこの世界に生を受けた訳でもなく転移してきた。もちろんこちらに親もいない。そして転生者っていうのは凡そが召喚で呼び出されるの。そして召喚術が使える高位な魔術師はごく僅かに限られているから、その国の王や教会にも顔が利く。だから、転生者でもライフカードを所持できるって訳。まぁ召喚って個人ではせずに、国の王や教会に依頼されて召喚するケースがほとんどなんだけどね。」


「じゃあとりあえず俺は教会に行く必要があるってことになりますよね。」


「その辺は大丈夫。あたしルナリスに仕えてるようなもんだから。あたしでも作ることができるわ。」


 ニコッと微笑みながらリナさんは言う。笑顔もまた綺麗だ。

 しかしまぁなんというか、仕えてるって割にはなんていうかこう信仰心がないような。それにしても国や教会を挙げての召喚か。

 なんか色々根が深そうだな。国とか教会ってゲームとかケータイ小説とかしがらみが多いイメージだし。


「それでは早速ライフカードを作りましょう。名前はスイト・カヅキ…か。やっぱり追っ手がいたら狙われるよなぁ。よし!イーガマックをとりあえず名乗りなさい。そしたら身の危険はほぼ安心されるでしょう。」


 リナさんはうーむ…と思案した後はっとした表情をし、微笑んだ。感情が出やすいのかな?でも綺麗な人に愛嬌がプラスされると凄い破壊力だ。

 しかし、転生して数十分で改名することになるとは…やっぱり気にはなるな。


「改名ってしなければいけませんか?なんかリナさんみたいな綺麗な方と同じ名を名乗るのは少し恥ずかしいんですが…」


「あらー。嬉しいこと言ってくれるじゃない!こんな可愛い子にストレートに言われると、照れちゃうじゃない!あ…えーっと…ごほんっ。それはともかくとして、あたしとルナリスは翠斗くんの魂を召喚しようとした奴らから横取りした。それはさっき言ったわよね?」


 可愛い?生まれてこの方異性にそんなこと言われたことないんですが…、お世辞と分かっていてもなんかくすぐったいな。こんな綺麗な人に言われたら余計にだ。


「はい。なので今俺はリナさんの前にいるってことですよね。話聞いてる限り、リナさんが横取りしたとか言ってるので完全にルナリス様とリナさんは悪役サイドですけど。」


「うぅー…まぁ仕方ない理由が色々あるのよ…ただ、翠斗くんを悪いように利用はしない。それだけは神に誓えるわ。」


 神に誓うっつっても、その神様らしき人がガッツリ共犯者なんですが…

 信じて大丈夫なんだろうか?まぁでも現状はこの人しかこっちの世界で頼れる人はいない。

 後々この世界のことが分かってから自分で判断する。それでも遅くはないだろう。

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