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第22話 食い意地が"張る"。それにさっきはおでこが"腫る"…

第22話掲載させて頂きました。


12/28~1/10の間出張のため、投稿ペースが、1日間隔の18時に掲載を予定しておりましたが、暇を見つけ次第の投稿になるかと思います。


上記の日にちの間は不定期になると思いますが、ご了承ください。


感想やご指摘など頂けるとありがたく思います。

それではよろしくお願いします。

 店に帰り、カウンターに座る。

 カウンターにバスケットを置くとゴッデスティアは、店の中をぴょんぴょんと動き回っている。

 目で追っていると俺に向かいピッ!と鳴く。呼んでるのだろう。

 俺はゴッデスティアの前へ行き持ち上げる。ゴッデスティアはポーションの棚を見てピッ?と鳴く。

 ポーションが気になるのだろうか?

「青いのが体力回復のポーションで、赤が魔力回復のポーションだ。分かるかな?」


「ピー…ピッ!」


 ちょっと考えた後に返事をしたんだろう。腕の中でぷるぷる震えているので分かったらしい。


「それにしても、人間の言葉が分かるのねー。賢いなぁー。」


 リナさんはゴッデスティアを撫でる。

 ゴッデスティアは嬉しそうに、ピィーと鳴く。そしてリナさんはゴッデスティアを両手で触っている。


「うん。アイナさんも言ってたけどやっぱりこの子、女の子だわ!」


 …やっぱり触り心地で分かるのだろうか?俺も触っているけどぷるぷるもちもちしているだけで分からん…


「さて…と、ポーションも作っちゃったし、裏でやることもないわね。薬草も乾燥させたしなぁ…」


 リナさんの業務はとりあえずはないのか。とはいえ俺もやれることは限られてるしなぁ…。


「1時間くらいお店にいて、そしたら今日は閉めちゃおっか。朝にギルド行ったときにアレイラには今日は早く閉めるかもと伝えといたし、よっぽど来ないでしょ。」


 そうか。アレイラさんが来る可能性もあったのか。

 じゃあ少ししたら閉店準備をして今日は帰るって感じになるかな。


「じゃあ俺ポーションとかの賞味期限を一応確認しておきますね。」


「そうね。お願いするわ。」


 そして俺は瓶を確認しながら製造日と今日の日付を照らし合わせていく。

 うん、よっぽど期限が近いものはないな。一番近いもので約1週間程度といったところだろう。


「ピーッ?」


 ん?他にも気になるものがあるのかな?

 ゴッデスティアを見ると、今度は緑のポーションと紫のポーションを見ている。


「緑の方は解毒の効果があるんだ。紫は…えーっと幻惑魔法に効くんだけど…わかるかなぁ?」


「ピッ!」


 おぉ。分かるか。偉いなぁ…

 俺はゴッデスティアを撫でてあげる。撫でると相変わらずぷるぷる震えている。

 その後、製造日を見ながらゴッデスティアが気になったものを答えていく。結構好奇心旺盛なんだな。いつの間にかゴッデスティアは俺の腕から離れ頭の上に乗っている。

 イエルムもそうだったが俺の頭は乗り心地が良いんだろうか?


「ピッ!ピッ!」


 なんだか上機嫌なゴッデスティア。頭の上でぽんぽん跳ねている。よく落ちないなぁ…

 さて、ある程度の製造日も確認したし、あとやる事は…ないな。リナさん待ちだ。


「リナさーんこっちは大体終わりましたよー!」


「こっちも大丈夫よ!それじゃ今日は早いし、寄り道して帰りましょうか。」


 寄り道?遠回りでもして帰るのかな。

 リナさんはそう言うとエプロンを外し、ベルトをしている。

 あ、俺もベルトしなきゃだ。

 俺もベルトをして、バスケットを持つ。バスケットの中にゴッデスティアのフードは…よし。入るな。

 本人は頭の上に乗っているので大丈夫だろう。


 俺が先に出て、店の看板を寝ている猫の絵にひっくり返す。

 リナさんは後から出てきて施錠をする。


「さーてと。とりあえずミルクは…家にあるやつを使い切ってからでいいかしらね。」


 あ、そうだミルク。すっかり忘れていた。でもリナさんが家に置いてあるって言ってるから大丈夫だろう。


「リナさん。寄り道ってどこに寄るんですか?」


「そうねぇ。いつもは西の門から出ているけど南の門から出てみましょう。南の門を少し歩くと池があるわ。その池を1周ぐるっと回って川沿いに行こうかなって思ってるの。大丈夫、脅威になる魔物はいないわ。」


 それなら安心だ。こいつもいることだしな…

 バイトラビットにやられてたところを見ると、まだ戦闘に出すには早い気もするしな。


「南の門をくぐったら、その子を降ろして、後ろからついてきてもらいましょ。ずっと頭の上では体力もつかないでしょうし。」


 なるほど、寄り道をして、なおかつ自分で歩かせることによって体力をつけさせるってことか。

 確かに毎日の往復もなかなかの距離があるし、日頃から習慣づけておくのはいいことだ。


「分かりました。門を出たら俺の後ろをついてきてくれ。できるか?」


「ピッ!」


 元気のいい返事が聞こえる。これなら大丈夫だろう。

 まぁ初日だし、疲れたら頭とかに乗っててもらえばいいか。

 南の門に着き、リナさんが門番に今日は南の門から帰ると西の門のダルカさんに伝えといてもらえるかどうか聞いている。

 門番は分かりました!と返事をし、もう1人の待機している門番に伝言を頼む。

 これでダルカさんへの連絡は大丈夫だろう。

 門を通るとゴッデスティアは、自ら俺の頭から降りる。

 なかなかやる気だ。


「さ、行きましょう。まずは池を目指して歩きましょうか。」


 そう言って歩き出すリナさんの後ろをゴッデスティアがぴょんぴょん跳び、その後ろを俺が歩く。

 ゴッデスティアが周りをきょろきょろ見ながらぴょんぴょん跳んでいるところを見ると、好奇心が旺盛なんだなぁ。と思った。


「やっぱりこいつ周りが気になるみたいですね。」


「そう?じゃあやっぱり世界樹の上から落ちてくるってのは本当なのかもしれないわね。見たことない物ばかりなのでしょう。」


 あぁ、世界樹から落ちてきたって『世界スライム大全』にも書いてあったな…確かに気になっているところを見ると、そうなのかもしれない。

 知らないところで急に1匹になって…さぞ寂しいし怖かっただろうに。


 少し歩くと西門と同じように木々に囲まれた道に出る。

 道沿いに歩いて行くと二手に分かれる道がありそれを左に行く、そして少し歩けば池に着くとのこと。


「池についたら少し休憩して帰りましょう。スイト。鑑定も忘れずにしていくのよ。」


 俺も、はい分かりましたと答え歩いて行く。

 歩いているとチゴの実がなっている木があった。

 ゴッデスティアはチゴの実を見上げてぴょんぴょん跳んでいる。

 …届かないのか?


「ピー…」


 ちょっと落ち込んでいる。チゴの実俺はチゴの実を1個採ってやり、ゴッデスティアにやる。


「ピッ!ピッ!」


 ぴょんぴょん跳んで嬉しそうだ。

 いつかこいつもジャンプ力とか増して自分で採れるようになるのだろうか?


「この子チゴの実が好きみたいね。ちょっと多めに持ち帰っておやつにでもあげましょうか。」


 リナさんは立ち止まって振り返ってそう言う。

 間食もそうだし、なにか良いことやできるようになったときにご褒美にあげるのもいいな。


「お前も自分で採れるようになったらたくさん食べれるぞー?」


「ピッ!」


 ゴッデスティアは元気に返事をする。そしてぴょんぴょん跳んでいる。

 俺はチゴの実を多めに採取しポケットに入れる。これだけあれば十分だろう。


「さぁ行きましょうか!」


 リナさんが先を歩く。それを見てゴッデスティアはリナさんに付いていく。

 また少し歩くとチゴの実が生っている木がある。ゴッデスティアはまた立ち止まり、チゴの実を見る。

 そして木の幹をじーっと見ている。そして何やらやる気だ。

 なんで木の幹を見ているんだ…?さっきより細い幹だが…

 なんか嫌な予感がしてきた。


「ピー…ピッ!」


ドンッ!


 あぁ…やっぱり…

 ゴッデスティアは木に体当たりをした。しかし木は少し揺れた程度で、実は落ちてこない。


「ピー…」


 どれどれ、痛かっただろうに…俺はゴッデスティアを持ち上げるとゴッデスティアは少し涙目だ。

 確か目のちょっと上辺り…おでこって言えばいいのかな?その辺をぶつけていたが…特に変化はないな。大丈夫そうだ。

 俺はゴッデスティアが打ったであろう部分をさすってあげる。


「ピッピッピッ!」


 ん?…なにかを訴えている。やっぱり自分の力で採ってみたいのか?


「なんか言っているわね?うーん…自分でチゴの実を採りたいのかしらね?まぁ時間も十分あるしやらせてあげたら?」


 リナさんもそう言っているし、納得するまでやらせてみるか。負けず嫌いというか…食への執念が強いのか…

 俺はゴッデスティアを置き、様子を見る。


「いいか?ダメそうだと思ったら無理はするなよ?」


「ピッ!」


 元気な返事をゴッデスティアは俺にした後、また木と向き合う。じーっと見て、木に向かって体当たりをする。


ドンッ!


 ゴッデスティアは後ろに飛びコロコロ転がる。

 やはりチゴの実は落ちない。

 大丈夫か…見ているこっちはハラハラだ。

 しかし、ゴッデスティアはまた木に向き直り、木の幹をじーっと見ている。

 そしてまた体当たりをする。


ドンッ! ポトッ…


「ピッ!ピッ!ピッ!」


 おぉ!実が1つ落ちたぞ!やるじゃないか!

 ゴッデスティアも嬉しそうに跳ねている。そしてチゴの実を咥え、俺に近寄ってくる。

 ん?俺にくれるのか?

 俺はゴッデスティアを抱きかかえ、咥えたチゴの実を受け取る。


「ピッ!ピッ!」


 ゴッデスティアは満足そうに俺に鳴く。

 そうかー…ありがとうな。俺はチゴの実をひと口かじる。うん!甘酸っぱくて美味しい。

 俺は嬉しさも相まってすぐにチゴの実を食べてしまった。


「うん!美味しかったぞ!ありがとな!」


 そう言って俺はゴッデスティアを撫でてやる

 ゴッデスティアは満足そうにぷるぷる震えている。ん?ちょっとおでこの辺りが腫れてるような…


「リナさん。こいつのおでこの辺り腫れてませんか?」


 んー?と言って、リナさんもゴッデスティアのおでこの辺りを触る。


「あー…ちょっとぽこってなってるかな…頑張ったもんねー?痛くない?」


 リナさんがそうゴッデスティアに聞く。

 あーやっぱりちょっと腫れてるか。スライムなのに腫れるってどういう事なのか分からないが…

 どうしようか思案していると、


「ピィー…ピッ!」


 とゴッデスティアが鳴く。患部のおでこが淡い光に包まれる。

 何が起こったのか分からないがもう一度おでこを触る。

 あれ…?腫れが引いてる…


「腫れが引いてますね…」


「えぇ…この子治癒魔法が使えるのかしら…」


「ピッ!ピッ!」


 ゴッデスティアはそうだよ!と言わんばかりに返事をする。治癒魔法使えるのか…

 うーん…小川の水色のスライムや、森の緑のスライムは何もしてこないしな…

 スライムに寄って色々と特性があるのだろう。イエルムも光魔法が使えると言っていたし。


「この分なら少しの怪我は大丈夫そうね。お店に着いたとき元気だったのも、スイトの腕の中で治癒魔法を使っていたのでしょう。」


 なるほど。確かにバイトラビットに襲われていた時は弱っているように見えたが店に着いた時に元気そうだったもんな。どこかのタイミングで治癒魔法を使ったのだろう。


「あたし達人間は、魔法も使っていけばより強力な魔法が使えるようになるわ。スライムもまた例外ではないでしょう。」


 とりあえず森や、家と店の往復時は自分で歩き、傷ついたら治癒魔法をかけていく。それの繰り返しでもいい鍛錬になるだろう。

 俺はゴッデスティアにもう痛いところはないか聞くと、元気な返事が返ってきた。傷も治癒魔法でしっかり完治しているのだろう。

 リナさんは、さぁ行きましょうか。と言い歩き出す。

 それを見てゴッデスティアは俺の腕から飛び降り、リナさんに付いていく。

 俺は歩いているゴッデスティアを後ろから見ながら歩いて行く。

 最初見た時は大丈夫かと思ったが…今はリナさんと俺と一緒にいて楽しいのかもしれないな。

 そして負けず嫌いで好奇心旺盛だ。ちょっと目を離すと危なっかしいかもしれないからちゃんと注意していよう。


 少し歩くと木々がなくなり拓けた場所に出る。そして水が透き通った池が見える。

 池の周りには綺麗なピンクや白の花が地面を覆うように咲いている。

 昼過ぎで世界樹の木漏れ日もあって幻想的な風景だ。


「さぁ着いたわよ!休憩にしましょうか!」


 リナさんは花畑を避け、草むらに落ちている大木の丸太に腰を掛ける。

 俺もリナさんの隣に座る。

 ゴッデスティアは俺が座ったのを確認し膝の上に乗る。


「良く頑張って歩いたなー。疲れてないか?」


「ピッ!」


 1回鳴いてぷるんっと揺れる。

 30分くらい歩いたとは思うがまだまだ元気だな。

 俺はポケットからチゴの実を取り出し、ゴッデスティアに渡す。

 ゴッデスティアは美味しそうに食べている。


「さっき頑張ったからなぁ。ご褒美だぞー。」


 ゴッデスティアはチゴの実をもう1つ食べてしまった。早いな…食い意地が張っているのか、それとも大好物なのか…


「ピッ!」


 ん?まだ欲しいのか。まだ確か5つくらいあったから数的には全然大丈夫だ。

 俺はポケットからチゴの実をもう1個取り出し、ゴッデスティアに与える。

 ゴッデスティアはまた美味しそうにチゴの実を食べている。


「ピッ!」


 えぇ…まだ食うの?

 ゴッデスティアは早くもう1個ちょうだい!と目で訴えかけている。

 しかし晩御飯が食べれなかったらダメだしなぁ。


「晩御飯食べれなかったらダメだから今日はもうおしまい!晩御飯食べたらもう1個上げるからな。」


「ピィー…」


 なんだか納得してしないようだが晩御飯が食べれなくなってはダメだ。

 ゴッデスティアは花畑の方へ向き直りいじけている。

 うぅ…甘やかしてるばかりじゃダメだ。ここは俺も我慢我慢…

 そう言って俺も池の周りの花に目を向ける。

 しかし気温も丁度いいし、落ち着くなぁ…花の色もやはり綺麗だ。


「しかし池の周りの花も綺麗ですね。池も透き通ってて…いい風景ですね。」


「そうでしょう?あたしが好きな場所の一つなのよ。ちょうど春の今頃にしか咲かない花でね。ちょうど今が一番綺麗な時期じゃないかしらね。」


 ピンクと白の花…か、前世で言うと桜に近いものがあるなぁ。桜は木だけれど、桜の花びらが地面に咲いているように見える。


「前世にも数日しか咲かない薄ピンクの花を木が覆うように咲く木があったんですよ。それに似てます。」


「へぇー…それは綺麗でしょうね。あたしも見てみたいわね…」


 リナさんと何気ない会話をする。頭の上から膝の上にぴょんっとゴッデスティアが降りてくる。

 そして花畑をじーっと見ている。


「花畑で遊びたいのか?見てる範囲なら遊んできていいぞー。」


 そう言うとぴょんぴょん跳ねながらゴッデスティアは花畑へ向かって走っていく。

 …走るというか跳んでいるのか…そういえば歩くって表現もあれだけど。まぁいいか。

 俺とリナさんは花畑を駆けているゴッデスティアを静かに見ている。


「…いい子が来たわね。」


「えぇ…初めてテイムしたのがあいつで良かった気がします。」


「まぁスイトはテイマーとしてこれからだわ。あの子と一緒に…お互い強くなっていかないとね。」


「そうですね。あいつに飽きられないように俺も頑張らないと…リナさんこれからもよろしくお願いします。」


「そうね。分からない事があればなんでも聞きなさい。そして失敗をしなさい。フォローはあたしができる限りするから。」


「ありがとうございます。リナさんの元に転生できて俺良かったなぁー…」


 ぽろっと思ったことが口に出てしまった。やべぇ…

 リナさんの視線がゴッデスティアから俺に移っている。ヤバいよヤバいよ。何口走ってんの俺。


「そう…そう思ってくれるならあたしも嬉しいわ…」


「えー…あー…だってリナさんが俺を召喚しなきゃ俺は何者かにこき使われてた可能性が高い訳でしょ?俺、今のこういう時間もそうだし、お店で働いてる時とか、日常が幸せなんですよ。」


「あはは!そうね、あたしもずっと1人で生活していたから今は今で楽しいわね!これからもよろしくね!スイト!」


 リナさんは俺に向かってにっこり笑ってそう言う。

 うー…なんか恥ずかしいな。こういう経験ないから余計に、だ。

 ゴッデスティアはゴッデスティアでひらひら飛んでいるものを追っかけている。半透明の白な色合いも相まって、風景に馴染んでいる。


「それであの子の名前は考えてる?」


「えぇ。あいつが喜んでくれるかどうか分かりませんが…」


 食い意地が張っているし、さっきは木に体当たりしておでこが腫れていた。


「食い意地が"張る"。それにさっきはおでこが"腫る"…ハルにしようかと。」


「えー…そんな理由で?」


 リナさんはクスッと笑い俺に苦笑いをしながら向く。


「いいえ!そんな訳ないじゃないですか!今思いついたんです。花畑でぴょんぴょん飛び回るあいつが凄く風景に馴染んでいて…綺麗だったので…それにここの花って"春"にしか咲かないんでしょう?だからハルにしようかと。」


 リナさんはあー…と言い、ゴッデスティアの方に向き直す。


「いい名前じゃない。女の子だから"ハルちゃん"ね。」


 俺はえぇ。と返事をし、ゴッデスティアを見る。すると満足したのかこちらに向かってぴょんぴょん跳んでくる。

 そしてぴょんっと膝の上に乗った。

 俺はゴッデスティアを持ち上げ、ゴッデスティアに向かって言う。


「よし!お前の名前は今日からハルだ!…嫌じゃないか?」


「ピッ!ピッ!」


 ゴッデスティア…いや、ハルは持ち上げられた身体をぷるぷる揺らし返事をする。

 良かった。喜んでくれているみたいだ。


「良かったわねー!あたしもよろしくね!ハルちゃん!」


 ハルは俺の手からスルッと抜けてリナさんに寄る。

 リナさんはハルを抱き撫でてくれている。

 くそぅ…俺も撫でられたいっていうのに…

 しかしハルはメスだオスだったらちょっと嫉妬していたかもしれない。

 …いやスライムに嫉妬する俺ってどうよ…小さ過ぎやしないか…


「今年も綺麗だったわ。来年もまた一緒に見れると良いわね。」


 来年も…えっ!?来年も一緒にリナさんと一緒にいられるのか!?

 えへへへへ…なんか嬉しくなってきたぞ。


「そうですね。来年も再来年も…ハルも一緒にな!」


「ふふ。そうね。そうなると良いわね!さぁ、そろそろ帰ろっか!池をぐるっと周って歩いて行けばいつもの小川沿いの道に出るわよ!」


 リナさんはハルを置き、すっと立ち上がる。

 それを見て俺も立ち上がる。


「ピッ!」


 ハルが元気良く鳴く。ハルも準備できているようだ。

 俺もバスケットを持ち立ち上がる。

 さぁ、我が家へ帰ろう。今日から2人だけでなく2人と1匹だ。

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