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第143話 な?結構するだろ?

 美味しい食事を終え、俺とグランさん、フロルが食器を片付け、その合間を縫い食後の飲み物の準備をしている。

 紅茶やコーヒー…のようなもの。それに、グランさんがいつも飲んでいる麦茶のようなもの…など。色々と準備をしていく。

 出来上がったものは厨房の外にいるミリー達が手分けして運んでいってくれている。

 ついでにハル達の食器も洗い、ふとそっちを見るとメルを囲みなにやら賑やかだ。

 可愛い妹分ができたからか全員興味津々である。メルもメルで、臆さずに色々なテイムモンスターの元へ寄って匂いを嗅いだり、前脚でつんつんしたりしているところを見ると今後、しっかり馴染んでいけそうだ。


「さ。こっちは終わりだな。俺達も座ろう。」


 グランさんにそう言われ俺達3人もテーブルへと戻る。


「うむ。3人ともお疲れさま。それにご馳走さま。さて、今日の予定を話そうと思うが――」


 そう切り出すマイクスさん。

 予定としてはこのまま世界樹を反時計回りに周っていくという予定のはずだが…


 マイクスさんの話では、今日イースルーウッドの街を出て、反時計回りに進む。

 道中それぞれのリーダー、副リーダーに従いダンジョンなどに潜ったり、村などに寄ったりする。

 で、最終的な目的地はイースルーウッドと次の街の間の小さな町だそうだ。

 全体での流れはそんな感じで、あとはマイクスさんとグランさんの方針に任せる。本日はこんな流れだそう。


 ちなみに今日のグループの編成は変わりなく、昨日と同じメンバーで進むそうだ。

 じゃあロゼリールは今日も向こうのグループか…

 寂しそうな顔をしているが…リナさんのいう事をちゃんと聞く事。メルもいるから注意して。

 ロゼリールは強いし、頼りにされているからそっちのグループなんだよ?と伝えると少しは分かってくれたようでこくっと頷く。

 まぁ俺もできれば一緒にいたいが、しょうがない。


「では、各々準備してまた食堂に戻ってくるように。解散!」


 マイクスさんの号令と共に俺達は各自部屋へ戻って冒険の準備をする。

 部屋では昨日と同じように俺の後ろでリナさんが着替えたり…くぅー朝からムラムラするなぁ。

 準備をし終わったあと俺とリナさん。それにテイムモンスターとネルモルで1階へ。

 リナさんとロゼリールに別れを告げ、俺とハル、ネルモルはグランさん達の元へ。


「よし。揃ったな。さて、今日はフィーズの町が目的地だ。真っすぐ行けば半日もあればたどり着くだろう。」


 結構近い距離にあるんだな。察するにゴトウッドとマルスーナくらいの距離か…

 しかし、俺が思ってた異世界は何日もかけて街から街へ…という感じだったんだが、ちょっと違うみたいだ。隣町まで1日かからない事が多い。

 これに関してはリナさんやルナリスにでも聞いてみようかな。

 しかしこちらに来て約4ヵ月ほどが経ったが、まだイーガマック家、ゴトウッド、マルスーナぐらいの地図が頭にしかない。一度ギルド等に行って確認した方が良い気もするな…


「全員準備もできたことだし一度ギルドに行ってから街を出ようと思う。」


 お。ギルドに行くのか。その際に地図などがあればいいのだが…

 地図はあるだろうか?ゴトウッドのギルドでもマルスーナのギルドでも気にはしていなかったが。


「グランさん。俺まだこの辺りの地理を把握していないんですが、地図って持っているものなんですか?」


「私も…買っておいた方がいいですよね?」


「お?スイトもミリーも地図持ってないのか。まぁ、ギルドに売ってるから買っておくといい。」


 ほう。ならイースルーウッドのギルドならばイースルーウッド領内の地図しかないってことかな?

 それなら行く先々で地図を集めれば世界樹の木陰内の地図が完成するわけだが…


「世界樹の木陰内全域の地図とかってないんですか?」


「そうだな…あるっちゃあるが、そっちは高額になる。領内の地図が一番安く、地域が広がる毎に割高になるんだ。」


 なるほどなぁ。ギルドで無料配布しているのはあくまでその領地の地図ってことだな。

 ってことならマルスーナのギルドに行った時に地図を貰えば良かった…今度行った際にまたギルドを訪ねるとするか。


「サリオは大丈夫かと思うが…その土地にギルドがあった際には地図を買うといい。行動がしやすいからな。スイトとミリーはちゃんともらっておけよ。じゃ、ギルドに行こう。」


 グランさんがそう言って歩き出し、俺達は後ろをついて行く。

 カウンターで宿屋のおじさんに礼を言い玄関を出る。

 少し歩くとギルドに到着し、グランさんは真っ先にカウンターへと歩いて行く。


「すまない。地図を2枚ほど頂きたいんだが…」


「はい分かりました。少々お待ちください。」


 受付の女性がにこやかに対応し、カウンターから離れてすぐに戻ってくる。

 手には2枚の羊皮紙が持たれており、俺とミリー。それぞれに渡してくれる。


「はい。では地図1枚で、中銅貨5枚ですね。」


 おぉ結構するんだな。A3用紙ほどの羊皮紙いっぱいにイースルーウッド領の街などが描かれている。

 が、余白も結構あり、ダンジョン等の記載はないので、訪れた先のダンジョンや、出現した魔物の事を書くのもいいな。

 俺とミリーは受付の女性に中銅貨を5枚渡し、俺は女性に質問する。


「ちなみにどんな地図があるんですか?」


 俺は受付の女性に尋ねる。

 すると女性はちょっと待ってくださいねー…と言ってまた席を離れる。


「えーっと…こちらが世界樹の木陰内の地図になります。これで銀貨1枚ですかね。」


 …値段に差が開きすぎじゃないか?

 確かに細かに街などは描かれているが、羊皮紙は同じサイズだ。これじゃ色々と書き込むスペースがなく、実用性は購入した地図の方が使い勝手がいいか。


「分かりました…ありがとうございます。」


 そう言うと受付の女性はにっこり笑い、地図をしまいに行く。

 わざわざ出してもらったのに申し訳ない…


「な?結構するだろ?それに色々な情報などを書き込むのにもこっちの方が適しているんだ。アイナ。俺が書き込んでいった地図って持ってるよな?」


「えぇ。えーっと…これね。」


 アイナさんはポケットを探し、束になっている羊皮紙を取り出す。

 俺達が買った羊皮紙より、色も濃く少しくたくたしており、使用感が出ている。これはこれでかっこいいな…

 アイナさんがその羊皮紙をテーブルに広げ、中を見せてくれる。

 どうやら俺達と同じイースルーウッド領の地図のようだが色々なところにマーキングがされている。


「どうだ?スイト達が買ったものより、色々と書き込まれてるだろ?」


 この印はダンジョンで、ここが、こういう地形になっていて…

 などと説明をしてくれる。

 確かにこうやって書き込んでいけば再度訪れた時に迷わないし、ダンジョンの情報も一目で分かるわけか。

 よし。俺もグランさんの地図を参考に自分でアレンジしてみるか。

 ミリーも真剣な眼差しで地図を見て、うんうん頷いているし、サリオもなるほど…と言いながら自分の地図と見比べている。

 やはりサリオみたいに俺よりしっかり冒険者をやっている人にとっても、グランさんの地図は参考になるようだ。


 さて、地図を貰い俺達はイースルーウッドの東門を出て、フィーズの村を今日の目的地として2日目の旅を始める。


「さて、今日は地図のマッピングを練習がてらしながら進んでいこう。まずはここのダンジョンに行こうと思う。」


 グランさんが指を指す場所は、イースルーウッドの街から一番近い場所。

 改めて思うがこの印のところ全てダンジョンなのかな?1つの地図にいくつか書き込んであるし、イースルーウッド周辺にはダンジョンが多いのでは…と思ってしまう。

 俺達3人は地図と印をつける筆記具を片手に道沿いに歩いて行く。

 道中、ネルモルが指を指すので、草むらをかき分け歩いて行くと、目的地のダンジョンへとたどり着く。

 看板を見るに、そう大した魔物もおらず階層も3階。

 俺達は難なくクリアし、出口へ戻り休憩をとる。


「ダンジョンのマッピングも必要なんだが…次からやってみるか。羊皮紙は人数分あるしな。」


「ダンジョンのマッピングの方が大事だと私は思うわ。複雑な地形だったら迷ったりする可能性もあるもの。ギルドにも攻略済みのダンジョンの地図はあるけれど、そう何回も行き来する場所でもないし、お金がかさんでしまうもの。」


 確かに逐一ダンジョンの地図を買っていたらお金もかかるし、無駄にかさばりそうだ。

 ダンジョンの地図は使い捨て…再度訪れる予定があるのならば、残しておいては良いとは思うが、低レベル、低階層のダンジョンの地図をいちいち買うのは愚策かもしれないな。


「まだ昼まで少しあるしな。練習がてら次のダンジョンでマッピングをしながら進んでみようか。」


 そう言ってグランさんは立ち上がり、歩いて行く。

 1日目は1つのダンジョン。夕方にまた別のダンジョンへ潜ったが、今日は結構な数のダンジョンへ潜ることになりそうだ。

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