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第142話 みんな仲良くしてあげてね?

 気づいたら寝てしまっていた。よほど疲れでも溜まっていたのだろうか…

 目を覚ますと隣には寝ているリナさん。可愛い。

 というか目を覚まして一番最初に目に入るのが美女って…たまらん!

 さて、反対側に目を向けるとハルとロゼリールが布団を乱して寝ている。

 うん。昨日と変わらないところを見ると、ぐっすり眠れていたようだ。

 ネルモルも自分のカゴの中で爆睡してるな。昨日は大変だったから少しでもゆっくりさせてあげないと。


 俺はリナさんを起こさないように静かにベッドから降りて着替える。

 今日の朝食からグランさんとフロルの3人でつくる事になってたしな。時間を見るとちょうどいい時間である。

 そーっとドアを開け食堂へ向かうと、キッチンには既にグランさんとフロルが。


「おはようございます。遅かったですかね?」


「おう。スイトおはよう。なに少し早いくらいだよ。」


「おはよう。今日からよろしくね。」


 フロルの足元を見ると昨日のミケラビットも一緒についてきたようだ。


「起こさないように静かに出てきたつもりだったんだけど…ついてきちゃったし、部屋に置いて、起きた時独りぼっちだと可哀そうかなーって。」


 グランさん達の見解では親とはぐれた魔物だって言ってたしな。1匹だと可哀そうだし…ま、連れてきても良いんじゃないかな?グランさんもダメとは言ってないようだし。


「よし!少し早いが作っていくとするか。まずは、昨日スイト達が獲ってきたスライミーウーパーを――」


 グランさんは慣れた手つきで料理を作っていく。フロルもさすがは料理屋の娘なだけあってグランさんの指示に従いそつなくこなしていく。

 俺はというと…グランさんの指示に従い慌ただしく動く。さすがに料理スキルを獲得したとはいえ、いつもは俺とリナさんの2人分の食事を作る事ばかりだったからか。

 色々な種類の料理を9人分となると色々と不慣れな面が出てきた。今回の冒険で改善したいところだ。

 素材によっての調理法なども会得できればいいんだが…


「よし。完成だな。」


 並べられた大量かつ様々な種類の料理。冒険者は体が資本と言われたが…結構ガッツリだ。

 俺が作るものなんて、パンとサラダ、それに煮込み料理かスープのどちらかの3品目くらいだが、それに比べてパンにサラダ、スープに煮込み料理、それに肉を焼いたものなど朝からガッツリなメニューである。

 しかし、朝一で食欲がないかと言われるとそうでもなく、どれも美味しそうな匂いで食欲をそそる。

 スライミーウーパーの肉も見た目はグロテスクだったものの、身は新鮮な鶏肉のような色をしており、煮込み料理に使用されている。


 俺とフロルはできた料理を各々の席に配膳し、メインとなるスライミーウーパーの煮込み料理は大鍋に入っており、各自でよそっていくスタイルだ。

 朝食の準備をしているとまずマイクスさんが降りてきた。その次にミリー、ヘイルとサリオ、最後にリナさんとアイナさんが降りてきた。


「スイトおはよ!今日の朝ご飯も美味しそうだなぁー。」


 ミリーは厨房を覗き、元気に挨拶をしてくれる。

 牧場にいる時よりはゆっくりだからだろうか?もっと早くに起きていたのかもしれない。


「ふぁーぁ…スイトおはよ…」


 眠たそうに寝ぐせがついているリナさん。朝のリナさんはなんら家にいる時と変わりはないが、他の人もいるんだから…


「おはようございます。はい。これ。」


「あぁー…ありがと…朝はこれを飲まないとねぇー。」


 寝起きが悪いリナさんの為に朝はアイスティーなるものを用意している。ロズマーリティーなので冷たさと爽やかさで目が覚める。

 試しに出してみたところ好評だったので毎朝出しているんだが…


「うんー。すっきりした!目も覚めたわ!」


「あはは。後は寝ぐせどうにかするだけですね。」


「うー…部屋に帰ってからちゃんとするから…」


「あらあら。スイト君おはよう。朝から夫婦やってるわねぇ。」


「アイナさん…おはようございます。夫婦って…」


「朝から熱いわぁー。ねぇミリーちゃん?」


「本当に、仲が良いもんなぁー。羨ましいなぁー。」


「全く…ミリーまで…」


 そんな会話をしていると、食堂に座っていた、ヘイルがこっちを凄い形相で見ていた。

 大丈夫だ、まだお呼びでないぞ。まだ…ね?多分。

 後から降りてきたミリーとヘイル、サリオも手伝ってくれて、速やかに配膳が終わる。


「よし。料理は並んだな。じゃ、早速食べるとしようか。」


 料理が全てテーブルに並び、俺達はテイムモンスターの食事も準備する。


「その前に、フロル君のミケラビットの紹介を改めてしようと思う。フロル君。」


 あぁ。俺達はミケラビットの存在を昨日の夜知っていたが、まだ知らないテイムモンスターもいる。

 ハルとロゼリールはちらちらとミケラビットを気にしているようだし…


「はい。みんな。この子は昨日仲間になったミケラビットの『メル』よ。まだまだ子供だと思うから…みんな仲良くしてあげてね?」


 フロルがメルを抱きかかえ、テイムモンスター達に紹介する。

 テイムモンスターはそれぞれ元気に返事をし、フロルがメルを降ろすと、メルの元へとみんなが集まりだす。

 メルもそれぞれのテイムモンスターが気になるようで、くんくんと匂いを嗅いでいる。

 こうやってみると可愛いなぁ。ハルもロゼリールも気になるようで顔を近づけたり、ぷるぷる震えたりと、興味津々だ。


「うむ。メルの紹介も終わったことだし、食事にしようか。いただきます。」


「「いただきまーす!」」


 マイクスさんの言葉に続き俺達は朝食に手を付けて行く。

 まずはスライミーウーパーの煮込み料理から頂くとするか。どれどれ…

 おぉ…生きていた状態の少しグロテスクな見た目からは反して白身は淡白で上品だ。

 鶏肉のささ身に近い食感で、さっぱりとしたスープに良く合う。

 そのスープもスライミーウーパーや野菜の出汁が効いていて非常に優しく温まる。朝に持ってこいの料理だ。


「お?スイト。スライミーウーパーは美味いか?」


「あの見た目からは想像できないほど、優しい味がします…」


「ははは!スライミーウーパーは基本的に綺麗な水辺にいるからな。肉も臭みが少ないんだ。」


「それに皮は乾燥させれば薬になるのよ。風邪もかかりにくくなるし…この辺りでは普段から煎じて飲んでいる人もいるわ。」


 へぇー。肉も美味しいし、皮は薬に…良い事づくめな魔物だな。見た目は結構グロテスクだが…それさえ除けば…


「へぇー!これって昨日スイト達が獲ってきたのね!美味しいなぁ。」


「まぁ…見た目はちょっとあれだったけどな…」


「何言ってんの!美味しいんだから気にしないよー?」


 ミリーがにこにこしながらスライミーウーパーの肉を食べている。美味しければなんでもいいのか…

 好き嫌いも少なそうだし、良く食べる女の子は見ていて好感が持てる。

 ヘイルも見た目を気にしていた割にはぱくぱく食べている。ま、俺も見た目なんざ気にしたりはしないが。

 しかし、この世界に来て思ったのは周りの冒険者や知り合いは好き嫌いがないな。

 前世では飽食だったが故に好き嫌いをする人も多かったもんだが。

 まぁこの世界は何を食べても美味しいしな。とはいえ、家畜などよりか自分で狩った魔物などを多く食べている気がする。けど、その魔物も美味しい。


 ふと気になったんだが、俺はハルとロゼリールというテイムモンスターを抱えている。

 実際この2匹は食用に向いてはいないが…

 ミリーはドリルボアのピグミィ、それにフロルはバイトラビットの変異種であるミケラビットのメル。どちらも食用としても用いられる魔物だ。

 …やはり食べるのには抵抗があるのだろうか?じゃないにしてもお互いのテイムモンスターの横で食べるのは気が引けるか…うーん…今度聞いてみよう。


 スライミーウーパーの煮込みやバイトラビットの焼いたもの。

 それにしっかりと出汁の聞いたスープを飲み、いつもより豪勢で満足のいく朝食を楽しんだ。

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