第11話 俺も冒険者の仲間入りか!
第12話掲載させて頂きました。
当面の間、1日間隔の18時に掲載を予定しております。
年末年始は私用で忙しいのと、出張がある為、更新が遅れるかと思います。
とりあえずは土日はおやすみを頂こうかと思っております。
拙い文章かとは思いますが、よろしくお願いします。
ご指導、ご指摘など頂けるとありがたく思います。
ちょっと褒められるとやる気が爆発的に上がります笑
リナさんの斜め後ろを歩きながら、周りをきょろきょろと見回す。色々な店舗が並んでおり面白い。
あそこは八百屋、ここは肉屋かぁー。この辺は食品メインの並びなのだろうか?
あぁ…焼きたてパンのいい匂いがー…
「ゴトウッドは噴水を中心に4つのメインストリートがあるの。ここは食材がメインの通りになるわ!噴水から見て東に行けばギルド、警備団、食堂、酒場や街の役場があるわね。西はあたし達がいる食材のエリア。南には武器、防具、魔道具のお店が並んでいるわ。あたしのお店もそこにあるのよ。それで北に向かえば衣類やアクセサリーのお店。その奥に教会があって、更に奥に世界樹。って感じね!」
なるほど、噴水から見て、ざっくり東西南北で住み分けされているのか。とりあえず迷ったら噴水まで行けばどうにかなりそうだ。
「迷子になったらリナのお店はどこですか?って聞けばいいわ!みんな優しいから教えてくれるでしょう。」
それほどにリナさんは有名なんだろう。薬も良く効くってバルトックさんも言ってたし。現に歩いていると色々なお店の人から声を掛けられている。
「おーリナちゃんじゃないか!元気かい?」
「あ!お肉屋さん!あたしは何時でもこの通り元気よ!」
「リナちゃーん!いいお野菜入ったわよ!帰りに少し持って行きなさい!」
「八百屋のおばちゃん!ありがとー!帰りに寄らせてもらうね!」
一人一人にリナさんは元気に振舞っている。
こんな綺麗な人が男女問わず好かれているってのは容姿だけではなく、内面もやはり素晴らしい人なのだろう。
「リナちゃんの後ろ歩いてるのは…初めて見るわね。誰かしら?結構カッコいいわねぇ…お似合いだわぁ~」
前世でモテなかった分、容姿を褒められるのはまだまだくすぐったい。
だが悪い気はしないな。八百屋のおばちゃん。いい人。
リナさんは道行く人に声を掛けられ、そのやり取りを見ていると、気づいたら噴水の広場に着く。
北の方角を見ると世界樹の幹がそびえ立っている。
「ここが噴水広場ね。色々なイベントが開かれたりするのもここよ。さ、このまま真っすぐ進んだら冒険者ギルドよ。」
噴水広場にはベンチが置いてあり、各所で様々な人が話している。噴水広場を抜け少し歩いたら《ゴトウッド 冒険者ギルド》と書かれた看板が目に入った。
ここが冒険者ギルドか…俺も冒険者の仲間入りか!
リナさんの後ろを歩きながら冒険者ギルドに入ると、鎧を纏い、剣を携えている人。杖を持ち、ローブを纏っている人などがちらほらいる。この人たちも冒険者なんだろう。
「おはようアレイラ!これ買い取って貰えるかしら?」
「あら?リナじゃない。今日はちょっと遅かったのね。悪い男にでも引っかかったのかしら?」
カウンター越しで、少し意地悪そうな笑顔で冗談を言う女性。
身長は160センチくらい、髪は藍色で肩ぐらいまでのストレート、そして整った顔をしており特徴は切れ長の目と右目の泣きぼくろだ。前世で言うと中肉中背で程よい体形。うむ…胸は平均以上か…
「うぅー…そんな訳ないじゃない。」
「でもいつもは一人なのに、今日は後ろにカッコいい男の子を連れているわ?」
「あ!この子はスイト!あたしの親戚よ。あたしの家に越してきて、今から街を案内するところなの。」
「初めまして。スイト・イーガマックと言います。」
俺は簡単に挨拶をする。
「初めまして。私はこのギルドに勤めている"アレイラ・エリアス"と申します。アレイラでいいわ。リナとは長い付き合いで仲良くさせてもらってるのよ。スイトくんね。これからよろしくお願いします。」
リナさんの時とは違う笑顔でアレイラさんはそう言った。
リナさんの友達ってことかな…?アレイラさんもリナさんとは違うタイプのキレイな女性だ。
「それでリナ?今日は何を持ってきたの?」
「えーっと…これとこれを買い取って貰いたいのだけど。」
そう言ってリナさんは先ほど倒したバイトラビットの毛皮と肉を机の上のカゴに取り出す。
「相変わらず綺麗に捌くわね。ありがたいわ。バイトラビットの毛皮と生肉が3匹分ね。大銅貨3枚と中銅貨6枚ね。」
「はい!いつもありがと!ところで、冒険者の登録をしたいのだけれど…」
リナさんはそう言ってこっちを見る。
「分かったわ。スイトくん、こちらの用紙を書いてもらえるかしら?終わったらまた私のところに持ってきてもらえれば構わないから。リナはちょっと待っててね。お金はその時でいいかしら?」
「うん!大丈夫よ。じゃあスイトくん。用紙を書きに行こうか。」
俺達はカウンターを離れ、ペンが置いてある台に行く。
えーっと…名前、年齢、レベル、職業、職業ランク、称号…と。俺はライフカードを取り出し、見ながら書き始める。
――これで大丈夫だろう。書き終えた用紙、ライフカードを持ち、アレイラさんのカウンターに向かう。
「はい。用紙の方は問題ないわ。ライフカードを少しの間預かるわね。」
アレイラさんは微笑み、カウンターの奥へ行く。
リナさんの話によるとライフカードと冒険者ギルドのギルドカードを紐づけさせるためにライフカードが必要になるそうだ。
あとは、名前、年齢、レベル、職業、職業ランク、称号に間違いがないかの確認。なにか問題があるとエラーが出て発行ができなくなるらしい。
リナさんの話を聞いていると、アレイラさんが戻ってきた。
「スイトくんのギルドカードは問題なく作成できたわ。一応、名前、年齢、レベル、職業、職業ランク、称号に間違いがないか確認してください。」
アレイラさんはライフカードとギルドカードを机の上に置く。
うん。確認したがどれも間違っていない。
「次にギルドカードの説明だけれど…」
アレイラさんは説明を進めていく。
ギルドカードとは、ライフカードと一緒で身分を証明するもので、違う点といえば冒険者ギルドに所属している人しか持てないということ。
【レベル】【職業ランク】が上がるとライフカードに記載され、それに紐づけされているギルドカードにも記載がされる。
そしてライフカードの表面と一緒で【名前】【年齢】【レベル】【職業】【職業ランク】【称号】が書かれているが、その下に【冒険者ランク】〔F〕。と書かれている。
【冒険者ランク】はギルドが発行しているクエストをクリアしていくことによりレベルが上がっていく。
そして、難易度が高いクエストには【冒険者ランク】や【職業ランク】の制限がかかる。稀に【職業】にも制限がかかるらしいが…あまり気にしなくていいらしい。
上述した内容が左半分に書かれており右上には0と書かれている。冒険者ギルドでは銀行のような業務も行っており、金銭を預けたり受け取ったりできる。最悪落としてしまってもギルドカードの再発行だけでいいそうだ。
再発行の際にはライフカードの提出も義務付けられており、盗難の心配はないとのこと。
その下には【履歴】と書かれており、クエストの依頼を受け、完了した後に過去のクエストの履歴が表示されていく。もちろん俺はまだ真っ白だ。
「説明は以上よ。分からないところはあったかしら?…まぁお隣に凄く頼りになる冒険者がいるから、私からこれ以上言うことはなさそうね。」
やはりリナさんは凄い冒険者なのだろうか…
「もぉー…そんなに凄いことはしてないと思うけどなぁ…」
「スライムを触ってみて雄雌を判断できるなんて貴女くらいしか聞いたことないわよ。」
あ…やっぱりあれって凄いことだったんだ…
リナさんを見ると少々拗ねたような表情をしている。
「スイトくん!とりあえず冒険者ギルドでの用事は済ましたから次に行くわよ!」
そう言いながらリナさんは出口へ歩いていく。
アレイラさんは微笑んで、手を振ってくれている。俺は軽く会釈し、リナさんの後を追った。
【通貨について】
小銅貨1枚…日本円にして約10円
中銅貨1枚…日本円にして約100円
大銅貨1枚…日本円にして約1,000円
銀貨…日本円にして約10,000円
金貨…日本円にして約100,000円
例…
小銅貨10枚=中銅貨1枚
中銅貨10枚=大銅貨1枚
という認識で読み進めて頂ければ…と思います。




