第10話 ゴトウッドの街に到着
第10話掲載させて頂きました。
当面の間、1日間隔の18時に掲載を予定しております。
もしかしたら土日はおやすみを頂くかもしれません…
拙い文章かとは思いますが、よろしくお願いします。
ご指導、ご指摘など頂けるとありがたく思います。
ちょっと褒められるとやる気が爆発的に上がります笑
俺はスライムを倒しつつ、たまに出てくるバイトラビットを倒す。
倒したら鑑定。を繰り返している。
初めてバイトラビットを倒したところから30分くらい歩いただろうか。道が二股に分かれており、一方は川沿い。もう一方は川から逸れ、木々に囲まれている。
「ここを右に曲がって道なりに15分くらい歩いたらゴトウッドの街に着くわ。」
街まではリナさんの家からサクサク歩いて1時間ぐらいで着くくらいだが、前世と違い道が入り組んでる訳でもない。これなら一人で街まで来れるな。
と思ったけど、モンスターがいるか…うーん…
色々考えながらリナさんの後ろを歩いていく。5分くらい歩くと森を抜け、拓けた場所に出た。
そして遠くに城壁?が見える。あれがゴトウッドの街だろう。
ふと上を見るとまだ世界樹の枝が遥か上空で伸びている。恐らくゴトウッドの街まで掛かっているのだろう。
「世界樹…凄いですね。」
俺は率直に今思ったことをリナさんに言う。リナさんはこちらを見て微笑みながら、
「この辺りは《世界樹の木陰》って言われていてね。世界樹の枝葉の下はモンスターも比較的強くなくて、争いや飢えも滅多に起こらない平和な地域よ。」
「なんか、空気が心地よくて、心が洗われるような感じなんですよね。」
「そーなの!空気が美味しくて、川も澄んでいて水も美味しい。世界樹の木陰は凄くいいところよ。田舎だとか発展してないとかいう人もいるけど…あたしはこの辺りが一番好きよ。翠斗くんはどうかしら?まぁ転生してきて初日な訳だけれど…」
「俺もこの空気めちゃくちゃ好きですよ。不思議と落ち着けるし。…まぁ前世が忙しなくて、ゆっくりする暇も、緑もなかったってのもありますけれど…」
「なら良かった!こっちの暮らしが前世よりも良いものになるとあたしも嬉しい。まだ分からないことだらけだと思うけれど、早くこっちの暮らしに慣れると良いわね!あたしも協力するし!さぁゴトウッドの街に着いたわよ。世界樹の木陰の中では一番栄えている街だわ。」
なんなら、息をつく暇もないくらい働いて、趣味に興じる時間も、女性とも話したのが何年振りかわからない前世よりかは今の方がずーっと幸せになれる未来しか見えないんだよなー…
色々リナさんと喋っているとゴトウッドの街に到着したようだ。約3~4メートルほどの城壁があり、街の入口と思われるところには門番のような人が立っている。
がっちりしており、鎧を着ている。年齢は30代後半から40代前半ぐらいだろうか。
「おーリナちゃん!おはよう!ってもう昼前くらいか。今日は遅かったな。」
「おはようダルカさん!昨日…んー…親戚の子がこっちで住むことになってね。ちょっと時間かかっちゃった。」
「なるほどねぇー。んじゃこっちのカッコいい兄ちゃんが親戚の子かい?初めまして。この街で門番をやってる"ダルカ・バルトック"だ。よろしくな!」
カッコいいって言ってもらえたぞ!お世辞かもしれないけど、やはり悪い気はしないな。
「初めまして!俺はえーっと…スイト・イーガマックです。いつもリナさんがお世話になってます!」
俺は軽くお辞儀をしながら、元気よく答えた。
「がっはっは!お世話になってるのはこっちだよ。リナちゃんの薬は効きが良くって良くって!知らない土地で慣れないこともあるだろうが、頑張れよ!そうだ、ライフカードを見せてもらえるかい?悪いがこっちも仕事でね。」
リナさんが言うには、どこの街や村に入るにも防犯の為にライフカードを見せるのが決まりらしい。
街の中で問題を起こしたら捕まり最悪、牢屋に投獄される。その際にいつ頃街に入ったか、職業、年齢を照らし合わせるためだそう。
街の住人が外に出るときも一緒で、門番に用事の内容や日帰りであれば何時頃帰るのかを通達。
もし時間が過ぎて帰ってこないようなら、街や村公認の自警団にて探されることになるとか。
「これでよし…と!この街の連中は気のいい奴が多い。スイト君も早く溶け込めることだろう。」
バルトックさんは曇りのない笑顔でそう言いながらライフカードを渡してくれた。
「ありがとうございます!何かあったらよろしくお願いします。」
「おう!困ったことがあったら相談に乗るからな!…しかし、こんな別嬪さんとひとつ屋根の下かい…羨ましいねぇ。」
さっきの爽やかな笑顔はどこへやら。にやにやしながらバルトックさんは俺に耳打ちする。
そうだ…しばらく…いやいつまでかは分からないが一緒に住むんだよな。リナさんは誰がどう見ても美人だし恋人とかいないのかな。
「まぁ…なんとかなると思います…はは…」
「なんだなんだ頼りない…リナちゃんは強いし、旅慣れてはいるけどよ。いつかは追い越して、リナちゃん引っ張っていけるような男にならねぇとな!頑張れよ!」
バルトックさんは俺の胸にドンと拳を立てそう言った。
そうだよな…いつかはこの世界で一人になるかもしれない。いつまでもリナさんにおんぶにだっこでは駄目だ。最低限のことは一人でできるようにならないとな。
「スイトくーん!おいてくよー!?」
いつの間にか遠くにいるリナさんが手を振っている。
「追いつくなんて考えもすらしてないし、追いつくなんて想像できないなぁ…」
俺は駆け足でリナさんに向かいながら、そう思った。
 




