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第104話 そう考えると俺とかミリーは結構稀なケースなのかな…?

第104話更新しました。


猛暑の中、お盆に出張+コロナで追い打ち…

前世で私はなにしたんですかね。

コロナやインフルエンザなど流行っていると聞きます。皆様も体調管理にお気を付けください。

 同い年のテイマー4人が集まっての昼食。

 まぁ、偶然っちゃ偶然だし、ミリーはまだテイマーかどうか定かではないが…

 ピグミィを連れ、緊急のクエストを俺とマイクスさんと共に達成した。だからまぁ…実力的にはテイマーと言っても差し支えはない。


「しかしあれだな。スイトの事を草原で馬鹿にしちまったが…そのことはすまない。が、スライムとそれに…クイーンビーだよな?その2匹のテイマーって…」


 ヘイルは座って、黙々と食事を摂るロゼリールと一心不乱にガツガツ食事を摂っているハルを見て俺に話しかける。

 まぁ確かに…結構珍しいのかな?実際ハルも珍しい種類のスライムだし、ロゼリールは周知のとおり珍しい種族だ。


「まぁ…そのことはもう大丈夫だよ。これから同い年のテイマーってこともあるしさ。俺はわだかまりなく仲良くやりたいんだ。それに、同い年のテイマーの知り合いがいなくて…」


 そう。同い年のテイマー。俺の周りにはいないんだよなぁ。

 というか知っているテイマーが2人、アイナさんとグランさんだけだ。しかも大先輩にあたるし、俺の師匠でもある。年も一緒だし、ある程度目線が一緒のテイマーと知り合えたのはラッキーだと思う。


「うん。僕としても同い年でなおかつ、マイクスギルド長のお墨付きをもらっているテイマーだからね。それに…今後の僕のテイマーとしてどうあるべきか見直すにあたってスイトは参考にしなければならない人間だと思う。僕からもよろしくお願いしたい。」


 サリオは俺を見ながら爽やかな笑顔で俺に言う。

 案外悪い奴ではないんじゃないか?まぁ、サリオのテイムモンスターへの対応にマイクスさんも苦言を呈していたしなぁ。

 しかし、前のヘイルやサリオのようなテイマーがたくさんいるってアイナさん達は言っていたが…やっぱりそれが主流なのだろうか?

 もしそうだったとしたらそれに苦言を呈したマイクスさんは凄いな。

 それに考えを改めようとしているヘイルとサリオ。この街の1,2を争うテイマーと言っていたがその2人が考えを改めようとしている。

 この街で…というとくくりは小さいかもしれないがそれでもトップを争う2人が考えを変えるってのも難しいことだ。仮にも『マルスーナのトップのテイマー』の位置にいる2人だ。俺が2人の立場だったとしたら、外からの意見は聞かないかもしれないからな。だって、実力があるからトップなんだし…って思ってしまうだろう。

 だが、その2人が考えを変えようとしているのは凄いことだと思う。そして2人が考えを変えることで、彼らより下のテイマーも考えが変わってくるんだろうな。これはいい流れになるんじゃないかな?


「まぁ…俺もこっぴどくマイクスギルド長に叱られちまったしよ。それに…俺がもっとガキの頃からずっとバオールと一緒にいた事をふと思い返してみてな。ずーっと一緒にいたこいつに俺はなんてことしてたんだって思ったらよ。マイクスギルド長の話も、ミリーのピグミィに対する姿勢も不思議とスーッと入ってきたんだよな。だから…」


 うん。ヘイルもやっぱり今回の一件で考えが全然変わっている。気のせいかもしれないが、ガウリスとバオールの表情も明るく見えた。


「生意気なこと言っちまって本当にすまなかった。ミリーも…今まで本当にすまなかった。」


 ヘイルは勢い良く席を立ちあがり頭を下げる。昨日も謝罪したのに…


「うん。もう大丈夫だよ。昨日も謝ってくれたし…ヘイルもサリオも心から謝ってくれてるの分かるから。ね?これからは私が2人を頼ることになるかもしれないんだからさ…私こそよろしくね?」


「…!あぁ!俺にできる事ならなんでも聞いてくれ!冒険者として教えれることはミリーさえ良けりゃなんでも教えるぜ!ただ…まだ、なんだかバオールとの接し方がむずがゆくってよ。その辺はミリーに聞くこともあるかもしれねぇが…いいか?」


「うん!私に教えれることなんてあるかどうか分からないけど…」


「すまねぇ!これからよろしくな!ミリー!」


「僕からもよろしく頼むよ。距離感ってのがいまいちまだ分からなくってね…」


「うん!サリオも!よろしくね!」


 うんうん。ミリーとヘイルとサリオ。ぎこちなさはまだあるかもしれないが、上手くやっていけそうだ。これで俺も安心して街に帰れるな。


「ミリーだけじゃねぇ!スイトもこれからよろしくな!」


「そうだね。住んでるところは違うけど、まぁめちゃくちゃ離れている訳ではないからね。僕もこれからよろしく頼むよ。」


「あぁ!俺はテイマーになってまだ日が浅いからね。経験がある2人に色々聞くこともあると思う。こちらこそよろしく頼むよ!」


「よーし!じゃあ乾杯と行くか!全員飲み物は…あるな!じゃあ今日と言う日に――」



「「かんぱーい!!」」



 さっきまで2人でほのぼのとしていたのが嘘のように賑やかになる。

 こういうのって…いつ振りかな?でも悪くない。凄く楽しいしわくわくしている。

 ミリーとこの2人のわだかまりがなくなったのはもちろんだが、俺も知り合いが増えて嬉しい。

 知り合い…というより友達…か。いいなぁ。なんか…


「ところでスイトはよ。どんな経緯で、そのスライムとクイーンビーをテイムしたんだ?」


「あぁ、スライムの方がハルでクイーンビーはロゼリールって名前なんだ。が、うーん…本当に偶然…だな。」


「そうか。僕もヘイルも…というか大体のテイマーは大方最初のテイムモンスターは凡そ決まってるんだ。やっぱりいきなり扱いとかが難しいテイムモンスターだとテイマーも出鼻をくじかれるからね。」


 確かにそういう側面はあるか。それにテイムされた母数が多い魔物であれば、その魔物の特色なども過去のデータなどから傾向が出やすいだろうし、バウなどの魔物は駆け出しのテイマーにとって最適なのかもしれないな。


「そうだな。俺もバウを魔物牧場で親父に勧められたからな。今思うとガキの頃の話だが、最初のテイムモンスターがバウで良かったと思う。」


「魔物牧場?って?」


「あぁ、駆け出しのテイマー用のテイムモンスターを育てている牧場だ。テイマーにはどうしてもテイムモンスターが必要だからな。他にはバウは賢いから家の警備などにも飼われているな。それに従順だし、警備兼ペットとしても飼われているとこもあるぞ。」


 なるほど。そういう施設もあるのか。一度覗いてみたい。バウの他に色々な駆け出しのテイマー向けの魔物がいるのかもしれない。


「そう考えると俺とかミリーは結構稀なケースなのかな…?」


「そうだな。大体の場合は魔物牧場から購入…ってケースがほとんどだと思うけどな。ミリーの場合は、ピグミィは親とはぐれてたドリルボアだったよな。」


「そうね。もう何年前になるか…それこそ私が小さい頃だからなぁ。こんなおっきくなって。」


「俺もサリオもドリルボアは狩る側の魔物だしな。それに野生の個体の特徴も良く知ってるしよ。それだけに少し舐めちまってたとこがあるんだが…」


「いやヘイル。ピグミィは凄いよ?実際僕は見てないけど、50匹以上のスティンカーをそこのロゼリールと一緒に倒してたし…」


「そうだよな。しっかり育てれば弱い魔物なんていないんだって痛感させられたわ。悪かったなピグミィ。」


「ぶぃ…」


 ヘイルがピグミィによるとピグミィは素早くミリーの影に隠れる。避けられたヘイルは少し寂しい顔をしているが…

 まぁ、ミリーと付き合うならもちろんピグミィにも好かれなきゃいけないからなぁ。試練は多いぞヘイル。


「スイトのスライム…ハルだって、実際は強いんだろ?俺は何も見てねぇから分からねぇが…」


「いや凄く強かったよ。強かったというか…強い上にスイトの指示が素晴らしかった。チームワークというのかな?連携が取れてて、その戦いを見て僕は考えを改めさせられたね。」


 小屋の1戦。ゲルバーとディシーブボムとの戦闘をサリオは見てたんだったな。

 ディシーブボムのガスに引火した時はどうなるかと思ったが…俺の火魔法の威力が低いのが幸いした。

 それを逆手にとって勝利を収めた訳だが…サリオが言うチームワークや連携というのはそこではないのかもしれない。


「なんていうか…スイトはハルを信じて、ハルはスイトを信じて立ち回る。って感じだった。僕も…ヘイルもそうかもしれないが、僕たちはガウリス達に指示を出すだけ。って気がしてね。」


 やっぱり、サリオは戦闘での俺とハルのチームワークや連携を見て、何かを感じたらしい。

 うーん…俺はハルを信じているし、ハルは俺を信じて動いてくれる。俺はハルを信じているが、もしかしたらハルは俺を信じてないかもしれない。まぁ絶対そういう事はないけど…お互いが連携を取り、立ち回るというのはお互いが信頼しあっているかどうか。というのが一番大事な気がするが…ぶっちゃけ俺にとっては当たり前なんだよなぁ。

 恐らくミリーだってピグミィに対してそうだし、ピグミィもミリーに対しても信頼をしているはずだが…


「まぁ…確かにそうだね。俺はハルを信じているし、ハルは俺を信じてくれている。な?ハル?」


「ピッ!」


 ハルは俺の方を向きぴょんっと跳んで返事をする。当たり前でしょ!と言ったような感じだ。そう思って貰えているならなによりだ。


「多分ミリーとピグミィも一緒だと思うよ?ね?ミリー?ピグミィ?」


「もちろん!今回もやっぱりピグミィがいなかったら…と思うとちょっと怖いなぁ。まぁでもピグミィがいなかったらギルド長から誘われなかっただろうけどね?」


「ぶぃー」


 思った通りの返事が来る。やっぱりミリーはピグミィを信頼しているし、ピグミィもミリーに対して同じ気持ちだ。

 ヘイルとサリオはうーん…そうかぁー…などと不思議そうに思っているが…


「ヘイルはバオールを、サリオはガウリスを、信頼して真摯に向き合っていけばいいんじゃないかなぁ…俺も偉そうなことは言えないけど…俺の師匠の1人は本当に自分のテイムモンスターを信頼して、時に厳しく、時に優しく接してるような人だからね。それに、いつもテイムモンスターに感謝してるよ。」


 グランさんがグライアに対しての接し方。あれが一番テイマーに近いのかもしれない。まぁ俺の感想だけど…アイナさんはアイナさんでイエルムとリフルを可愛がっているが、いざ戦闘になると明確な指示を出す印象だ。どっちかというと俺は2人の中間に位置してるのかなぁ?と思う。

 だけど、それはそれでありなんじゃないかな?と最近では納得し始めている。俺はまだまだテイマーとして、未熟。ハルもこの地上に降りてきて間もないし、ロゼリールもお転婆だったとはいえ、長い事地上にいるのも初めてだ。

 にしてはハルの成長は著しいし、ロゼリールもポテンシャルはあり、ロゼリールも成長している。

 俺も2匹に対して最適な指示を送りたいしそれに見合うテイマーでありたい。

 それに今の距離感が2匹にとっても俺にとってもいいのかなぁ。と思う。アイナさん、グランさんとは違うなんというか友達に近い関係。そういうテイマーもいてもいいのかなぁ。などと考えることもある。


 なんにせよ、同い年4人。しかも全員テイムモンスターがいるほぼテイマーみたいなものだ。気兼ねなく話せるし、色んな意見も飛び交う。

 色々といざこざはあったにせよ、今の時間はとても充実しているように思う。ミリーも緊張していないようだし、それが一番安心した。

 …まぁピグミィはヘイルを少し敬遠しているが。

 なんだかかんだ同じ世代の人と話すのも楽しいなぁ。そのおかげか食事も美味しい…ってもうなくなっている。

 時間が経つのは早いな。というかこんなまったりしてて帰りに間に合うかな…?あ、リナさんのおつかいもあったし…

 まぁ今日帰ったしまうんだしな。もう少し4人で色々話すのも全然悪くないだろう。

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