第0話 やっと終わった…
本日(11/30)日から投稿していきます。
次話の投稿間隔や、日時はまだ決めておりません。
が、当面の間は毎日18時に投稿をしていこうかと思います。
素人故に拙い文章になるかと思いますが、色々ご指摘、ご指導頂ければなと思います。
感想など頂けるとやる気が出ます笑
「あー…今日もやっと終わった…」
時計を見ると23時を回ったところ。急行は逃しそうだが、終電の各停には間に合いそうかな。
ふらふらした頭。霞んでいる目をしぱしぱさせながらぼーっと考える。13連勤。
そして2日振りの我が家への帰還である。
ブラック企業に勤め始めて慣れてきてはいるものの、さすがに身体は正直で、悲鳴を上げている。
エナジードリンクでドーピングをし、なんとか踏ん張っているが、エナジードリンクは元気の前借りとは言い得て妙で、前借りしすぎて首が回らないとこまで来ている。
「明日は久々の休みだ。ゆっくりゴロゴロして…ま、明日起きてから考えよ。」
明日の休みで元気の元金と利息分を併せ、すべて返済できるだろうか。
ブラック企業故に、もちろん休日もいきなりできた。
17時頃、上司がデスクの前に来て「明日休みでいいよ。」と。今となっては休みくらい前もって教えてくれよ。などと思わない。
余計なことを言って上司の反感を買うと罵声を浴びせられる。はい。承知しました。ありがとうございます。この3つを言っておけば波風も立たずに罵声が飛んでくることもない。
入社したての頃はそのように思ってはいたが、今となっては、やっと休みだ…ゆっくり休もう…という感じだ。これが、社畜か…いやキングオブ社畜だよな…と苦笑を浮かべてしまう。
「さて、帰るとするかなー。」
と誰もいないオフィスに独り言を漏らし、セキュリティを掛けふらふらとした足取りで退社し、駅まで歩く。
急行であれば、最寄り駅まで30分かからないくらい。ただ急行を逃しているので各駅停車になる。各駅停車だと40分と少しだが最寄り駅の次の駅が終点なので意識を失って寝過ごしても最悪歩いて帰られる距離だ。
……
そして案の定寝過ごして終点に到着。終点から我が家までは歩いて20分前後というところだろう。
「あーぁ。よく寝た…さてコンビニ寄ってまったり帰ろうかな…」
改札を出て、ひとつ背伸びをし、ゆっくりとした足取りで自宅のアパートへと歩く。
終着駅なだけあってか、駅前は居酒屋やコンビニがあり、そこそこ栄えている印象だが、駅前を出て大通りを過ぎるとすぐ住宅街になる。
大通りまでは終電の乗客であろうサラリーマンやバイト帰りか飲み会帰りの大学生風な男子や女子もいたが10分も歩くと、居酒屋やコンビニはなくなり、歩いている人間も自分だけになる。
そもそも寝過ごさずに自宅の最寄り駅で降りたほうがこの辺りとなると、そちらのが近いので人気がないのも当然ではある。大通りを逸れ路地に入ったら、あと10分少々歩いたらようやく自宅のアパート。といったところだろう。
タッタッタッ
そうして歩いていると後ろから人が走ってくる音が聞こえる。
たまにあるのだが、夜にジョギングをしている人だろうか。運よく終電前に帰宅できるとそのような人とすれ違うことがある。
しかし今は0時半頃。こんな夜中にジョギングする人なんぞいるだろうか。
と、ぼーっとした頭で考えていたら足音がだんだん大きくなる。というかこっちへ向かってくる気がする。
グサッ
ん?何か胸の辺りに衝撃があったような…
ゴホッ…口からは何か鉄のような味がする…
「ふふふっ。やっとだ…これで我々――――」
なにが起こったかわからなかった。痛みも全く感じない。が、徐々に身体の力が入らなくなる。そんな言葉を聞きながら意識が薄れ遠のく。
何が起こった?全く理解ができないまま、俺の意識は完全になくなった。