●第182話●守り人の里
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週3~4話更新予定です。
「まさかこの路線でくるとは……。グレッグさん、この里を作ったのってアベルさんですよね?」
背の低い岩山に囲まれた小さな窪地のような所に突然姿を現した、アメリカ西部開拓時代を彷彿とさせる景観を見て勇が尋ねる。
「フォフォ、よくお分かりで。仰る通り、初代の指示で建てられたものであると伝わっておりますぞ。なんでも出生地の昔の街並みだとか」
「やはりそうでしたか」
アーチ状の木で出来た看板のようなゲートを潜りながら勇が納得する。
この景観が出生地の昔の姿だという事は、アベル氏はアメリカ中西部の出身という事なのだろうか。
もっとも一口に西部劇と言っても、当時のアメリカにおける西部地域全体が対象なので、エリアとしてはかなり広いのだが……。
さすがに芦ノ湖畔のあの街並みを再現する事は出来なかったが、フロンティア時代の建物なら主に木造なので再現可能だったのだろう。
「まずは皆に紹介しますわい」
グレッグはそう言って、見慣れない雰囲気の景観に興味津々な一同を案内する。
ゲートの先は小さな広場になっていて、その奥にある一番大きそうな建物が目的地のようだ。
入口には腰の高さのスイングドアがお約束のように設けられており、いかにもな雰囲気を醸し出している。
もっともその上に掲げられている木の看板には、イチジクの葉っぱをモチーフにした例のマークが描いてあったりと、アベル氏の趣味が随所に散りばめられているのだが。
ギイ、という軋んだ音を立てて店内に入ると、そこもやはりお約束の空間だった。
いわゆるウェスタン・サルーンと言うやつだ。
正面奥には立派なカウンターがあり、その後ろの棚には恐らくお酒であろう瓶が並んでいる。
店内は結構な広さがあり、四人掛けの丸テーブルと椅子のセットが5つ、スタンディングで使うであろう背の高いテーブルが同じく5つ配置してあってなお余裕がある。
「ここは見ての通り食堂を兼ねた酒場で、集会所としても使っておりますわい」
開拓時代のサルーンも集会所など色々な施設を兼ねていたというから、正しい使い方だろう。
しかし守護者という存在は、アバルーシの中でもごく限られた人間しか知らないというのに、こんなに広い施設が必要なのだろうか? と勇が考えていたところ、それを見透かしたような言葉がグレッグから出てきた。
「ここには大体30人くらいが住んでおりますぞ。守護者はあくまでこの里を統率する者、他にも整備の者や操縦者、大工に鍛冶屋なんかも必要なんですからの。それに世の中に取り残されぬよう、交代で里の外で暮らしたりもしておりますわい」
「なるほど……。確かに整備・維持するには職人が必要ですし、食糧や素材の買い出しなんかも必要ですもんね」
「フォフォ、そういうことですわい。サラが声を掛けにいっておりますから、じきに皆集まってきますぞ」
そしてグレッグが言ったとおり、30分もしないうちに20人程の里の人達が集まっていた。
「これで小さな子供たちとその面倒を見ている者以外は全てですわい」
集まった面々を見てグレッグが言う。
この里には7世帯が住んでおり、任務の特性上基本的には世襲制なので子供の数もそこそこ多いのだとか。
ちなみに嫁取り婿取りは、外部からも普通に行われている。
「すみません、突然大人数でおしかけてしまって……。クラウフェルト子爵家のイサム・マツモトと言います。あー、皆さんにはアベルさんと同じ世界から来た迷い人だ、と言ったほうが良いかもしれませんね」
「大ボスと同じ世界!?」
「迷い人なのか……」
一行を代表して勇が挨拶を行うと、集まった面々にざわめきが起こった。
やはりアバルーシの者、特にこの里のようにアベルの遺志を色濃く継いでいる者たちにとっては、アベルの生まれ故郷に対する興味は大きいのだろう。
しかも事前に連絡はされていないだろうし、サラも詳しい説明など出来ていないだろうからさもありなんだ。
「今回、縁あってリリーネさんと知己を得て、魔法巨人について勉強させてもらう事になったのですが……」
ざわつきが少し収まったところで勇が言葉を続ける。
「グレッグさん、一連の騒動については皆さん何処までご存じなんでしょうか?」
「フォフォ、ここにいる者はほぼ全て把握していると思ってもらって構いませんぞ」
「……ありがとうございます。皆さんご存じの通り、ズンが皆様のお仲間を唆して、自分たちの持つ魔法巨人を戦争に使うための行動を起こしています。つい先日、無属性魔石を産出するクラウフェルト領が襲撃を受けました」
そこでリリーネと会い話をして、両者協力の下、アバルーシの魔法巨人を奪還、反転攻勢に出るために手を結んだこと、そして魔力パスの高い者を選抜した上でここにやって来たことを説明する。
「説明ありがとうマツモト殿。俺はそこのじい様の息子のノーマンだ。まずは身内が迷惑をかけたことを謝らせてくれ」
勇の話を聞いた後、グレッグの息子だという男が頭を下げてきた。何となく顔の雰囲気が似ているので、婿ではなく実子なのだろう。
「いえいえ、ノーマンさんが謝るようなことではないですよ。まだどうにか出来る状況ですし、何より我々の国の貴族も噛んでいますから、身内が恥を晒したのはこちらも同じですよ……」
ノーマンの言葉を勇がフォローする。
「そう言ってもらえるとありがたい。何も無いところだが、ここにいる間は自分とこだと思って寛いでくれ」
「こちらこそよろしくお願いします。太古の魔法巨人があるというだけで心が高鳴りますよ! それに……」
ノーマンと握手を交わした勇は、足元のカバンを開ける。
「この子のお友達がいると聞いていますからね」
「にゃっ」
カバンから出てきた織姫が、いつも通り勇の肩に乗って短く鳴いた。
「なんと! マツモト殿もキャトを飼っているのか! この里には今7匹のキャトがいるから、また後で引き合わせよう」
織姫を見て目を細めたノーマンが、自身の人差し指をそっと織姫の顔へと近付ける。
「なぅ~~~」
差し出された指をクンクンとしばらく嗅いだ後、ひと舐めした織姫が今度は長く鳴いた。
「やっぱりアバルーシの皆さんは猫との触れ合いに慣れていますね」
その様子を見た勇が小さく頷く。
猫同士の挨拶は鼻をくっつけることで行われているため、初見の猫とコミュニケーションを取りたい場合はそっと指を出すのが良いと言われているのだ。
「フフ、賢くて美しいキャトだな。よろしく、オリヒメ」
ノーマンがそう言って差し出した指をさらに近付けると、オリヒメがすりすりと頬を擦り付けた。
その後、お互いに自己紹介をし終えると、しばし歓談となった。
「なんてカワイイ子なんでしょう!」
「オリヒメ、後でウチに来るといい。とっておきのキャト用干し肉があるんだ!」
そこでも人気の中心になったのは、やはり織姫だった。
すでに猫が身近にいるためか、今までで最もフレンドリーかつ自然に可愛がられているような気がして、勇は猫カフェみたいだなと密かに思っていた。
「え? ユリウスは魔力パスが10なのか!? で、そっちの嬢ちゃんも8? かーー、こいつぁすげぇな……」
「現役で8以上つったら、リリーネ様だけだろ?」
織姫に次いで話題をさらっていたのは、ユリウスとティラミスの高魔力パスコンビだった。
リリーネも言っていたが10という数字は滅多に出ない数字だし、8というのも現在のアバルーシにはリリーネしかいないようだ。
以前プラッツォ領内で見たリリーネの操る魔法巨人の動きが他と違ったのは、魔力パスが高いことも要因なのだろう。
こうして里の人たちとコミュニケーションをとって打ち解けた後は、そのままサルーンで夕食を食べ、宿泊スペースとなっているサルーンの二階に泊めてもらう。
里にいる間は、ここが勇たちの拠点となる。
ちなみに夕食後、勇たちが風呂に入っているのを見た住人たちの一部が非常に興味を持ったようで、翌日体験してもらう事となった。
今回は勇たちも大所帯で、風呂魔動車の風呂だけではゆっくり入る時間が無い。
もし気に入ってもらえたのなら、この里に浴場を作っても良いかもしれないなと考えつつ眠りにつくのだった。
翌朝、朝食を取った一行はいよいよ里の人たちがハンガーと呼ぶ格納庫へと向かう。
もっとも向かうと言っても、ハンガーへの入り口はこのサルーンにあるらしい。
「ここが隠し扉になってる」
ノーマンに案内されたのは、サルーン1階のカウンター奥の扉から行ける厨房だった。
大きな冷蔵箱が二つ置かれているのだが、ノーマンが左右の手をそれぞれ冷蔵箱の扉において呟く。
「ふぁいなる せふてぃしすてむ はぶびーん……でぃせぃぶる」
その言葉に勇がまたしてもピクリと反応し、何かを口にする代わりに心の中で呟いた。
(……最終安全装置、解除、ね。アベルさんは徹底してるなぁ。まぁ今回は意味的にも合ってるけど)
果たしてノーマンの呟きに反応して冷蔵箱が音も無く左右にスライドしていき、壁にぽっかりと入り口が現れた。
大人が三人並んでも大丈夫な幅の薄暗い階段をしばらく下りていくと、一気に視界が広がった。
階段とは打って変わって、かなり明るく天井も高い。
「これはまた……立派な格納庫ですね」
格納庫内に一歩足を踏み入れて全容を目にした勇が感嘆する。
高い天井と体育館くらいはありそうな広さを持った格納庫は、照明に照らされてかなり明るい。
床や壁の材質は、岩砂漠でアバルーシの魔法巨人のパーツを見つけた所の物によく似ているようだ。
そして広い倉庫の最奥に、二体の魔法巨人が鎮座していた。
「元々このハンガーは発掘した遺跡の一つだったらしい。その上に里を作って、岩山の擬装やさっきの階段の仕掛けなんかも後付けらしい」
「ああなるほど。ここの雰囲気は遺跡にそっくりですもんね」
勇はノーマンの説明に納得しながら、あらためてハンガーの中を見渡してみる。
やはり目立つのは、奥に鎮座している二体の魔法巨人だ。
「……紫色ベースのほうがアベルさんの愛機で、黄色ベースが予備機ですかね?」
特徴的なカラーリングが施された機体を見て勇が尋ねる。
「よく分かったな、その通りだ。大ボスの指示で3機だけ特殊なカラーリングが施されたんだが、その内の二機がこれだ。で、残りの一機は…」
「リリーネさんの赤い機体、じゃないですか?」
「……その通りだ。なんだ、大ボスと同じ世界の人間に分かる法則みたいなもんでもあるのか?」
「あはは、皆ではないでしょうけど、アベルさんの趣味を考えるとそうじゃないかなぁ、と」
不思議そうに尋ねるノーマンに勇は苦笑しながら答えると、近くで機体を見ようと奥へと歩いていく。
すると、脇に積んであった部品と思われる山の中から、何かが飛び出してきた。
「にーーー」
「みゃーーー」
飛び出してきた小さな毛玉は、ボリュームは小さいものの元気よく鳴きながら勇の足下へと突進してくる。
「こ、子猫っ!?」
「にーにーにー」
「みゃーみゃーみゃー」
驚く勇の足に、一回転する勢いで額や顔を擦り付けて鳴いているのは、どう見ても二匹の子猫だった。
生後三か月くらいといったところだろうか。三毛とキジ白の二匹だ。
「こ、こらっ! キキ! レオ! やめんか!」
じゃれつく子猫を、ミゼロイ、ティラミスと共に撫でていると、慌ててサラが走ってきた。
「ああサラさん。この子たちはサラさんのところの?」
「うん、ウチのルーシーが今年産んだんや。父親は多分、おじいんとこのシャドーやと思うわ」
「すごいっす! ほんとに猫が繁殖してるっす!!」
ティラミスが三毛猫を抱き上げながら驚きの声を上げ、隣で勇も思わず感慨深げに頷く。
リリーネの黒猫を見て他にも猫がいることは理解していた勇だったが、こうして子猫がいるのを目の当たりにすると実感が段違いだ。
「フォフォフォ、騒がしくてすみませんの」
そう言って今度はグレッグがやって来た。
腕には黒猫が抱かれている。サラが言っていたシャドーだろうか。
「グレッグさんもおはようございます。いやぁ、久々に子猫を見ることができてちょっと感動していますよ」
「フォフォ、それは良かったですわい。我々アバルーシの者、特に魔法巨人の操縦者にとって、キャトは文字通り相棒なんですわい」
「相棒?? パートナーや家族として大切にするというのとは違うんですか? 使い魔的な感じなんでしょうか?」
グレッグの言い方が気になった勇が聞き返す。
「キャトと一緒に操縦すると、普段より魔力パスが強くなる場合があることが確認されている。全てのキャト、全ての操縦者に該当するわけでは無いがな」
勇の問いに、後ろから歩いて来ていたノーマンが答える。
「え? そんなことがあるんですか!?」
「ああ、事実だ。大体3割くらいの確率だと言われている。ちなみに俺やじい様は駄目だったが、娘のサラはルーシーと一緒だと操作性が向上している」
「フォフォ、リリーネ様も強化されると仰っておりますの。まぁ、強化されるかどうかの違いはいまだ分かっておりませんが、それとは関係なく一緒に操縦するのは良いものですぞ? 操縦中は基本孤独ですからの」
「孤独……」
「まぁ一度操縦して見れば分かる」
いまいちピンと来ない勇にノーマンが言う。
「そうそう、一緒に操縦するにはキャトから選ばれないといけませんぞ? まぁ、無理に一緒に操縦しようとしても嫌だったら逃げますがの」
アバルーシの者全員が猫と一緒に操縦出来るわけでは無く、猫のほうから懐いてきた者だけがパートナーとして一緒に操縦できるのだとか。
中には複数の猫に気に入られるツワモノもいるらしいが、反対にまったく懐かれない者もいるという。
そう言えば地球でも何故か猫に好かれる人と嫌われる人がいたなぁ、と勇は思い返す。
そして自身の半身とも言える織姫に聞いてみる。
「姫は、一緒に操縦してくれるのかい?」
「にゃっふ」
肩に乗った織姫は、当然でしょと言わんばかりに胸を張り、勇の頭に手を載せた。
「にーーー」
「みゃーーー」
それをじっと見ていた三毛柄の子猫であるキキとキジ白の子猫であるレオが、勇の足下を激しくカキカキしながら精一杯の鳴き声を上げる。
「え? これは……ひょっとして、アピールしてるのかい?」
困惑する勇になおもすり寄る二匹。今にも足をよじ登ってきそうだ。
「にゃにゃっふ!」
すると、肩に乗っていた織姫がするりと飛び降り、二匹の子猫に何事かを伝え始めた。
「にゃにゃーにゃふん」
「にー……」
「みゃー……」
しばらく三匹でにゃーにゃー言い合っていたかと思うと、キキとレオが尻尾をしょぼんとさせながら、すごすごと勇の足下から離れていった。
途中で振り返り、ちらちらと勇の様子を窺うのだが、その度に「にゃっふ」と織姫に一喝されてしまった。
「イサム様、モテモテっす……」
一部始終を見ていたティラミスがジト目でそう呟いていたが、キキがその足元へと寄っていった。
「みゃー」
「おぉ!? 慰めて欲しいんすか? いいっすよー!!」
上目遣いで見上げて鳴くキキに思い切り眉尻を下げたティラミスが、抱きかかえて頬ずりをする。
「にー」
「え? わ、私ですか!?」
一方のレオは、ユリウスの足下へとすり寄っていった。
「わわわ、くすぐったいよ!」
恐る恐る抱き上げたユリウスの頬を、レオがぺろぺろと舐める。
「フォフォフォ、どうやらお二人のことを気に入ったみたいですぞ? よければ大切にしてやってくれますかの」
「えっっ!? いいんすか!?」
キキを抱きしめたティラミスが驚きに目を丸くする。
「ええ。まだこの子らにはパートナーがおりませんので、可愛がっていただけるならお譲りしますぞ。キャトに詳しいマツモト殿も近くにおられるので、安心してお願いできますわい」
「に、兄様、姉様、良いのですか!?」
「あはは、もちろんいいよ。きっとお義母さんも喜ぶんじゃないかな」
「ちゃんとイサムさんのアドバイスを聞いて、お世話をするのよ?」
キラキラした目で聞いてくるユリウスに、二人が笑顔で応えた。
予想外に開催された子猫の譲渡会が落ち着いた所で、いよいよ魔法巨人についてのレクチャーが始まった。
「こっちが操縦席だ」
そう言ってノーマンが、ハンガーの壁際へと案内する。
そこには四隅に細い柱のようなものが建てられた2メートル四方ほどの一角があり、その中に椅子が置かれていた。
一段高くなっている床にはびっしり魔法陣が描かれており、よく見ると柱や椅子も魔法陣で埋め尽くされている。
「コイツぁとんでもない細かさの魔法陣じゃの……」
それを見たエトが溜息を漏らす。
「うーーん、読める部分もありますが、ぱっと見では何をどうしているのか全然分かりませんね……。これは後で腰を据えて解読する必要がありますよ」
その圧倒的なボリュームに、勇も唸り声をあげる。読める部分は結構ありそうなのだが、内容が複雑すぎて全容が全く分からない。
「遺跡で見た絵では、人の動きをそのまま魔法巨人が真似てる感じだったけど、これは座って操作するんだね」
操縦席を見たヴィレムが不思議そうに言う。
「確かに……。世代が違うんでしょうかね?」
勇もそう言って首を傾げる。マスタースレーブ方式で遠隔操作しようと試みていたはずだと言うのがこれまでの見解だったのだ。
「原理は良く分からんが、ここに座るとまるで魂が魔法巨人に乗り移ったようになる。後はもう一つの身体を動かすように念じる訳だが……。こればっかりは口では説明できないし、人によって感覚が違うから、とにかく慣れるしかない」
「魂が……」
「それが魔力パスなんですかねぇ?」
「そうなのかもしれんな。その代わり、操縦席側の状況は一切分からなくなるから注意が必要だ。だから、操縦席には操縦者を守るパートナーが常駐するのが基本だ」
魔法巨人側に五感が持っていかれるため、操縦席にいる本人の周りの状況は分からなくなり、繋がりを切るまで動く事も出来なくなるらしい。
また、見えるし聞く事も出来るが、喋ることはできないらしい。
かつて見た魔法巨人が、ハンドサインで意思疎通していたのはそれが原因だったようだ。
「なるほど……。それは確かに危険ですね。どれくらい離れていても動かせるものなんですか?」
「魔力パスの強さや相性によって変わるが、最低でも5キロメートル、リリーネ様あたりだと10キロメートルでも大丈夫だ」
「最低でも5キロですか!? それは凄いですね……」
勇が驚嘆する。普通に考えたら、その距離だとタイムラグが体感できるレベルになりそうなものだが、魔力パスというのはとんでもなさそうだ。
この世界の戦闘方法を考えると、戦場から10キロ離れていればほぼ安全圏だと言える。
「さて、じゃあ早速誰か動かしてみるか? 誰からいく?」
「はいはいはいっ! やりたいっす!!」
ノーマンの問いに食い気味に返事を返したのは、やはり暴走娘のティラミスだった。
※操縦可能距離の数値を修正しました。
プロット時は地球単位では無かったので、距離単位の換算を間違えておりました…
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