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奥の手を全て出させるのです!  敵を知り尽くせば、容易く倒す事が出来るのですわよ

 気が付けば年月が流れるのも早いというのはこういうことですわね。


 見る見るうちに私、リーリエ・リヴァーレも歳を取り今では十二歳。

 ここまで大きくなれば実物の聖機士を操る立場にもなりました、そしていまだにお父様には一度も攻撃を当てることすらできていません。


 ……さすがに敗北の回数が四桁どころか五桁目が見えてきているのに、まるで自分が成長した気がしませんわ。


 黄金卿の聖機士をシミュレーターの上で、ではありますが打倒した事件からも七年。


 当初はちやほやされて行きましたが、所詮一度やっただけのビギナーズラック……それに、大きな事件もあって忘れられようとしていました。


 まず第一に、聖機士の搭乗者を育成するための学園が設立されたこと。えぇ、ゲームの方のメインストーリーの舞台になる場所ですわね。


 多分ですけど。


 まぁ、知らないことは知らないので、片隅に置いておくとして、これでゲームのメインストーリーに入る準備自体はできたとみていいでしょう。


 第二にウィリアム王子の弟君、アレックス王子が帰国したという事件ですわね。


 私やウィリアム王子の一つ下のお方で、優秀な騎士の下で訓練をしていたのだとか。


 まだ二桁になったばかりの歳とは言え、大人に一歩も引けを取らない立派な騎士となっているとか、そうでないとか。


 直接会ったことはありませんが、多分キャラ的にゲームの攻略対象だったのでしょう。


 知りませんが。


 まぁ、こんな大ニュースがあったので、私の大暴れも霞んでしまったのが世間一般のお話。


「リーリエ様っ! このカリン・スマラクト! リーリエ様と同じ道を歩むために聖機士の扱い方を学び始めましたわ」


 ……そう、それでも私と共になんて方がいるのです。


 さて、これは真面目に困ってしまいましたわ、私が破滅フラグによってそう言う未来になるのは……まぁ、一億歩譲歩して考えてもいいですけれど、他者が巻き込まれるのは論外!


 世界を敵に回すのは構いませんが、私の友人が苦しむのは絶対にノゥ! ですわ。


「……とは言え、嫌われるようなことするのは嫌ですし」

「リーリエ様?」


 あら、考え事をするとぶつぶつ独り言が出る癖が出てしまいましたわね。


 ふむ、できることならば私が管理……とはいかなくとも目につく範囲で……いいアイデアがありましたわ!


「カリン、私の騎士となりなさい」

「り、リーリエ様!?」


 えぇ、今後彼女以外にもそういう方が現れないとも限りませんし? なんなら公爵である私の地位であれば、それ相応の戦力は保持しておきたいと考えても、私からすればおかしくないですし?


 であれば、私兵として彼女を使いたいと思うのも至極当然のこと、私を慕うのであれば信頼関係を築く手間もある程度省けるはずですわ。


「ほ、本当にっ! 私をリーリエ様の騎士にしていただけるのですか?」


 ……かなりストレートに喜んでいただけてますわね。


 まぁ、爵位はない騎士の家系ってだけでした筈ですし、公爵……貴族としてはトップの地位の私の傘下にとなると大出世でしょうか?


 正直なところ聖機士にしか興味なかったですし、ちゃんと勉強したほうがいいですわよねぇ。


「えぇ、貴女はこれから私の……騎士団の団長として一生を捧げていただきますわ」


 ……十二で、一生を捧げろとか冷静に考えるととんだド外道な気がしますわね。


 いや、まぁ? 私偉いですし、正直物凄く昇進するような話なので断られるような話ではないのですが。


 ……まぁ、当人が嫌になったなら、別の転職先用意しますし、はい。


「はいっ、喜んで!!」


 居酒屋でしょうか。


「……さて、それではカリンさん、私の騎士として戦う時の心構えをお教えいたしますわ」


 まぁ、これもお父様のよく語っていただくことなのですが。


「戦う相手の奥の手を全て出させるのです!  敵を知り尽くせば、容易く倒す事が出来るのですわよ」


 満面の笑みを浮かべ私は告げる。えぇ、実際問題これができるのであれば、最悪負けたとしても次に繋げられ、死んだとしても仲間に伝えることができれば、仲間の勝利に貢献できます。


「ですので、逆に告げます……絶対に相手が周りに情報を伝えられないようにしてから、初めて奥の手を使うのです」


 いや、これ出来ることなら仲間にも黙っていた方がいいんですわよね。

 尋問、と言いますか拷問された時に仲間の情報をばら撒いてしまった場合の危険性が格段に減りますし。


 聖機士はパーツ選択と調整の仕方次第で、いくらでも戦い方を変えられる……というのをゲームでよーく理解していますから、出来るだけ初見殺しするために奥の手は隠さないとなのですわよねぇ。


「なるほどっ! さすがはリーリエ様っ!」

「私はお父様に聞いただけですから、お父様を褒めてください」


 ……さてと、そろそろ入学も近いですし私の聖機士の方も調整しないといけませんよねぇ。


 一応ゲームで使ってた組み合わせにはしましたけれど……、お小遣いとかでパーツ買い足ししまくりたいものですわ。


 それこそ、変幻自在の戦いをするためにも、色々とある方が便利ですし。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >なんなら“侯爵”である私の地位であれば、それ相応の戦力は保持しておきたいと考えても、私からすればおかしくないですし? >まぁ、爵位はない騎士の家系ってだけでした筈ですし、“侯爵”………
[良い点] アップデートありがとうございます! 私は今回のスキップが好きで、リリー様の業績が最終的にどのように失敗するかが好きです。私はちょうど、観客と世界の心に誰かを関連させるために定期的なゲーム…
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