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何を得たですか……力と狡猾さですわね、さすれば勝ちますわ

 さて、つまらない大人の話し合いなどからはさっさと逃げて子供のいる場所へ。


 ……変にゲーム的な意味での攻略対象キャラの幼少期と鉢合わせしないのがいいのですが……となると、乙女ゲームである以上女の子と絡む方がいいと!


 まぁ、そう言う趣味があるわけではないですけれど、それはそれこれはこれ。


 将来的には世界を敵に回しても勝てる程度の戦力を目指しはしますが。だからと言って無益な殺生などする気はありません。


 益があればするのか?


「……まぁ、その益にもよりますが、きっとしますわね」

「どうかなされましたの?」


 ……あら、脳内会議のつもりが口に出てしまったようですわね。


「お気になさらないでください、少し考え事をしていただけですわ」

「あらっ、もしかして先ほど黄金卿に勝ったお方ではっ!?」


 ちやほやはされたいけれども、それはそれとして目立ちすぎると面倒ごとが発生する気がしますわね。


「しーっ、ですわ」

「はっ、わ、分かりましたわ!」


 まぁ、それはそれとしてこの方を友としましょう。


 パッと見た感じ派手な髪の色、いや前世基準ではなくこちらの世界基準で見ても派手ですわ。


 エメラルドグリーンのロングヘアー。えぇ、始めて見ましたわ。


 緑とか真面目に派手ですわね。


「あら、どうかなさいました?」

「いえ、その……綺麗な髪ですわね」


 何言ってるんですの私!? いや綺麗な髪ですけれど! さらっさらですわよ、見ただけで分かるさらっさらヘアーですわ!


 私? どういう訳か非常に強い癖で縦ロールですの、お嬢様ヘアーです。


 びしょぬれになっても乾くと勝手にこうなる程度には形状記憶頭髪ですわ。


 なんともありがちと言いますか、一周回って気分がいいですわね。


 ……ストレート良いなぁ。


「っと、名乗るのを忘れていましたわね! 私はリーリエ・リヴァーレ! リヴァーレ家、公爵家ですわ!」

「な、公爵家の方っ!? しかもその上であんなにお強いのですかっ!」

「ひゅっ!?」


 な、なんですのこのお方、い、一瞬で距離を詰めて私の手をがっしりと握ってっ!


 ……なんというプレッシャーですの!?私と背丈が変わらないっ、小娘ごときにっ!


 私、動けっ! なぜ動かないのです!?


「私はカリン、カリン・スマラクトです、どうかよろしくお願いいたします、リヴァーレ様っ!」


 ……は、話しかけられたことがアウトだったのではっ、これっ!?


「……わ、分かりましたわっ、そ、それとリーリエでいいですわよ?」

「な、名前で呼ぶことを許していただけるのですかっ!?」


 ……面倒くさいっ、この人っ!


 いや、名前呼び許しただけでこうもなるのです!?


「そ、そこまでしていただかなくても大丈夫ですわ」

「それでは聞きたいことがあるのですが、教えていただいてもよろしいですか?」

「とりあえずいったん離れていただけますかしら?」


 うん、顔が近い、正直息がかかる。それはそれとしてすこぶる甘い匂いがしたのですが、これ何なんですの? 前世含めてそんなの感じたことありませんわよ!?


「す、すみませんっ、リーリエ様っ!」


 なんか残念そうに離れて行きましたけど、そういうタイプの方なのでしょうか? いや、別に偏見があるわけではありませんが、こういった世界観だと珍しいモノだと思ってたのですが。


 っと、個々人の趣味嗜好にあれこれ深入りしない、別にそれを押し付けてこないのなら放っておけばいい、ですわね。


「それで、何が聞きたいのです?」


 とりあえずパパッと説明して、パパッと去りましょう。えぇ、それが一番ですわ。


「どうしてあそこまで戦えたのですか?」


 ……前世でやりこみゲーマーしてたからですとか言えませんわよね。


 とはいえ訓練もしていないのも事実、何かしらそれらしい理屈付けが必要なのですが……。


「あるものを得ているからですわ」

「あるもの、何を得たのです?」


 さて、適当にそれらしいこと言って、勝手に納得していただきましょう。


「何を得たですか……力と狡猾さですわね、さすれば勝ちますわ」


 うーん、適当に言いたいことを言うのは楽しいですわ。


「それがあれば強くなれるのですか?」

「えぇ、強くなれるでしょう」


 まぁ、実際強くはなるので間違ってはいませんわ、どうやってでも勝つという意識につながりますし。だとしても。


「しかしそれは最終的に負けるモノの強くなる方法、もっと別の方法を探さねばなりませんわ」


 えぇ、結果的に負けるのです、私自身が悪役令嬢などと呼ばれる立ち位置だからこそ、勝つ側のふるまいをしなければ負ける。


「その勝つ側の方法というものを私は探しているのです」


 まぁ、実際問題探していますし、嘘はついていませんわ。




「私と同じ歳でここまで考えている方だなんて、さすがですわ公爵家の方はこのレベルでないといけないのですわね」


 あの日であった彼女は、白百合は私の道を示してくださりました。


 そうです、あの方のように強い方になるのが私の目指すべき道ですわ!


 そうと決まればカリン、私にできる全てをかけてあのお方について行ける女になるりますわっ!

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[良い点] 忠実なフォロワーに+1、誤解に+1! カリン様のリーリエ様への憧れがどこに行くのか、特にこれが女の子の愛の側面に発展した場合、私は楽しみにしています! 彼女はとても情熱的で、彼女を賞賛して…
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