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早く大人になりたーい!

「ふははははっ、弱い弱い! この私を倒したければマジ〇ガーかゲッ〇ーロボ、ガ〇ダムの主人公を連れてきなさいっ!!」


 この馬鹿みたいにテンションが高いのが私。やっているのはちょっと話題になった【聖機士学園 彼方の空へ】という乙女ゲームだ。


 なおこのゲーム、話題になったのは乙女ゲームとしての出来の話ではない、というかその辺に私は欠片も興味がなかった。実はこのゲーム、端的に言えばファンタジーな世界で【聖機士】と呼ばれるロボットのパイロットであるイケメンと恋愛するゲームなのだが……どういう訳かその【聖機士】を操るアクションゲームがおまけで付いてきたのだ。


 うん、正直なところ私も製作スタッフの意図が分からない。ただこのおまけの出来が非常によかった。ネットのロボットゲームを評価するところでも評判がよく、乙女ゲームにもかかわらず購入者の多くが男性だった、だとか制作陣はロボットゲームが作りたかったけど上からの指示で乙女ゲームを作らせられていて、おまけに全力投球していたとか、まぁ変な噂も多かった。


 そして私もそのおまけ目当ての購入者だった。元々は友人のオタク女子仲間からこのゲームを勧められたのだ。


 残念ながら私はこういったジャンルには興味がなかった。


 けれどもそんな私に彼女から助けを求められた。王子様を射止めるためにおまけのロボットアクションで勝利しなければならないと。


 そのために私はそこを他のゲームで鍛えられた腕で攻略。おまけの出来がよかったので、それだけを遊ぶためにゲーム本体を購入したという流れだ。



 そしてドハマりしては毎日毎日飽きもせずにプレイしている。


 おまけだけを。


 勧めてくれた彼女は本編もやって! などと何度も言われているんだけど、ごめん。恋愛ものは見たりやってるとお尻がかゆくなっちゃうの。アニメでもその辺はどうにか我慢して見てるの。


「ふー、これでよしっと……CPUが異様に手ごわいのよね」


 そんなこんなで私は日課のバトルを終わらせて、学校に行くために制服に着替えようとする。


 けれども私、どうやらとっても疲れてたみたい。仕方ないわよね、昨日もゲームしまくりでほぼ徹夜だったもの。思いっきりすっころんでタンスの角に頭ぶつけて。



 それで私死んじゃった。






 なんて記憶を思い出したのが、私。リーリエ・リヴァーレ。


 なお記憶を思い出したのはリヴァーレ家に届けられた【聖機士】を見たからである。


 ……つまりこれは異世界転生って奴ね!


「あぁぁぁぁぁぁ、まだまだ私が見ていないロボットたちがいたのに何死んでるのよ私ぃ!!」

「お嬢様、どうされたのですか!?」

「死んだとか変なこと言いだしたぞ!?」

「しかも口調迄おかしくなってる!?」


 ……使用人たちがものすごく慌てだした。


 いや、まぁ? お嬢様が死んだとか言いだしたら慌てますわよねぇ!


「あ、だ、大丈夫ですわっ!!」




 その後はどうにかしてその場を抑えて、私に大した問題はないことを伝える。


 変に慌てられて現状確認ができないと困るのは私なのだ。面倒ごとはさっさと終わらせるに限る。


 さて、ところで聖機士とは何か、そう私が(おまけだけだけど)プレイしていた乙女ゲームの巨大ロボットの総称。


「うわ、乙女ゲーム転生って本当にあるのね」


 そうなってくると【リーリエ・リヴァーレ】という名前も少しではあるが思い出してきた。


 物語の舞台となる聖機士学園でも有名な成績優秀お嬢様。そして主人公の恋路の前に立ちはだかるライバル。確か前世の友人曰く悪役令嬢の一つだったとか。


 正直そっち方面は詳しくはないが、悪役令嬢などと言われている以上は多分性格がアレなのだろう。


 いや、持ってるゲームでやりこんではいるけれど、本編まるでやってない実際の所知らないキャラなのでどうこう言うのはやめておこう。


 大事なのは私が彼女の立ち位置になってしまったという点だ。


 これでただの偶然だったらそれはそれで構わないんだけれど。


「なんか聞く限りその立ち位置って、大体ろくでもない展開になるらしい……」


 これは困った、多分死ぬかどっか辺境に飛ばされるとかだろう。


 いやだ。


「せっかくロボに乗れる立ち位置なのに、なんかよく分からん恋路のせいで酷い目に合うとか嫌よ!」


 さて、これは困った……何が困ったって、私はゲームでどんな展開になるかをかけらも知らないのだ。


 ……あぁ、難しく考えるからいけないのね。




「つまり世界を敵に回しても勝てるぐらいのエースパイロットになれば私の問題は解決ですわね!!」


 それこそ、人類の天敵でも終焉を呼ぶ騎士にでも、なんにでもなってやりますとも!


 さて、こうなったからには善は急げ、お父様に聖機士の訓練を付けていただくことにしましょう。えぇ、リヴァーレ家は立派な聖機士のパイロットの家系、お父様もトップエースですもの。




「うん、まだ早いわ」


 な、まさかそんな簡単に却下されるだなんて!?


「いや、だってなぁ……お前の手足の長さじゃ操縦の訓練すらできんし」


 こ、子供だからかっ! 私まだ五歳だからかっ!!


「早く大人になりたぁぁぁぁぁぁいっ!!」


 こんなにも大人になりたいと思ったのは前世で初めてよ、あぁもう……早く大人になって……赤いなんたらーとか異名が付くエースになりたいっ!!

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[良い点] よし、メカ! 女の子の愛! 愚かだが熱狂的で魅力的な女性主人公! これを楽しみにしています、作者さん! あなたはすでに状況がいかに無知で絶望的であるかで私を笑顔にしました。 私はまた、す…
[一言] わあ〜続きが楽しみです! 乙女ゲーのストーリーなんてひっくり返しちゃえ!!
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