1st Track「一のホームレス生活」
黒女中の受験に受かった私は、その後少しずつ元気を取り戻していた。
しかし、黒女中を合格した後も両親との不仲は続いた。両親に反発する毎日だった。
2月の日曜日の午前9時過ぎの出来事だった。私は、内山小学校の先生から渡されたプリントを提出していなかったのだ。その件で私は、母親から激怒されたあと、私は言い返し、母はその態度に腹を立て、大喧嘩した。耐えきれなかった私は、外へ散歩しにいこうとした。財布も持って出かけようとしたら母はこう言った。
「一ちゃん。出て行くの?もう帰ってこなくていいから!」
と言われた私は頭にきて家を出た。親との喧嘩で機嫌が悪く傷ついた私は、気分転換に電車で家の最寄り駅から東京へ遊びに行った。『東京なら両親も探すことはあるまい』と思ったのでー。渋谷をあまり観光することがない私は渋谷駅で途中下車した。渋谷を歩き回った。渋谷は電車がたくさん走ってて、鉄道好きの私にとっては嬉しいけど、人混みが多すぎなのか怖かった。
もうすぐ昼食の時間だ。お腹すいた私は、1人でファストフード店に行った。私の財布の中身は少なかったが、安いものだけでお腹を満たした。その後、渋谷から原宿まで歩いた。私はブラブラしていた。帰りたかったが、それでも私は帰らなかった。夜になり、冬だからものすごく寒い、コンビニに寄り、少し早めの夕食を食べた。家から持ってきたお金がなくなった。電車に乗って家に帰れない。どうしよう。横浜に帰りたいけど、親のところに戻るのが嫌だ。私は仕方なく、ホームレス生活をすることにした。お巡りさんに見つからない子供の遊び場などで隠れて寝たりした。
その日は凄く寒かった。
「ハア、ハアッ」
摩擦を起こす感じで手を擦った。
『うーっ。今日は冷えるなあ。なんか布団の代わりになるものないかなあ?』
『あっ!!こんなところに大きな段ボール、これで我慢しよう!』
小学校をもうすぐ卒業するのにも関わらず、通わないでー。私はホームレス小学生になってしまった。もうすぐ中学に上がるけどー。
私は寒さに耐えられず、途中で起きてしまった。段ボールだとあんまり暖かくならない。眠れない私は、夜中に長歩きをした。
長時間歩いたら朝になったぞ。『今日は月曜日だ!』今日は学校の授業がある。くっ。このままだと家に帰れない。学校にも通えない。もしお金がまだ残っていたら家に帰れるけど両親や先生たちに叱られる。せっかく受かった黒女中にも通うことが出来ないー。ホームレスなんかしてたら!お金を使い果たした私は、落ちている食べ物を少し口に入れたり公園の水を少し飲んだりし、歩き回った。
1人の中年が私に声を掛けてきた?
「お嬢ちゃん。1人かい?」
「はい」
「今は何歳なのかなあ?」
「12歳です。小学校6年生です」
「えっ!?小学校6年生!?なんで昼間っからぶらぶらしてるんだい?」
「昨日、両親と喧嘩して家を飛び出しちゃったんです」
「小学生がホームレスやっちゃ駄目だろ!家は何処なんだよ!?」
「横浜です」
「何!?どうして家に帰らないんだよ?」
「貯金を使い果たしたんです」
「馬鹿だなあー意地張って親元離れるから路上生活することになるんだろ!?」
何も返す言葉がない。
「じゃあお嬢ちゃん。俺と一緒に落ちてる食い物を集めるのを手伝ってくれ!そしたらお前にも喰わせてやるから!」
「はい。分かりました!」
私は暗い声で返事した。
数時間後、外に落ちている食べ物を集めた私は中年と2人で見せ合い、一緒に食べることにした。だが中年は私のものまで食べてしまい、私はほとんど食べられなかった。
悲しくなった私は中年のところから離れ、涙を流しながら去った。私は心の中で本心に立ち返って言った。
『何で私は我慢しなかったの?何故友達作りにビビってたのよ?いくら虐めを受けていたのが辛いからってー顔を上げて立ち向かっていれば、いじめっ子たちと和解することが出来たかもしれない。家出してそいつらと本当の友達になれたら今みたいな辛い思いしなかったかもしれない。私は自分がムカつく。誰か私を拾ってくれる人いないかなあ?わたしはここで飢えて死のうとしている状態。 両親のところへ帰って、こう言えばよかったのかなあ?わたしは天に対しても、2人の娘と呼ばれる資格はない』
涙を流しながら心の中で呟いた。食べ物を奪った中年の所から去って数分が経ち、私は周囲を気にしながら歩いた。
家出してから2、3日が経ち、知らないうちに新大久保から高田馬場あたりまで歩いていた。空腹の時は落ちている食べ物や弁当の食べ残しを一口も食べずに公園の水だけでお腹を満たした。だが、頭は回らない上に力も入らなかった。体が寒くなり、すっかり痩せてしまった私は体力に限界がついた。
「ダメ。私。もう動けない。身体が言うことを聞かない。私、死んじゃうのかな?水だけじゃダメだよね?外に落ちてる食べ物も食べないとーダメよね?何か食べないとー両親の元を離れることは、一生できないわよね?」
そして私は、道端に倒れた。外に落ちている物を食べたらお腹は満たされるけど。でも食べたら、お腹に入ったものが全部出ちゃう。私は、横になったまま目を瞑った。
『…』
『オギャー!オギャー!』
『…!?』
『こっ…この声は?』
『赤ん坊の頃の私!?』
時は過ぎて小学生の頃の私。
『ぐすっ、痛い…痛いよ。やめてよお母さん』
『えっ?小学校の低学年、中学年頃の私じゃない!?』
『痛い!?痛いのはお母さんの方よ。千愛の成績が悪くて頭にくるから暴力を振るいたくなるのよ。殴られたくなかったらもっと勉強したらどうなの!?』
『ぐすっ、うえーん』
私は父に助けを求めた。
『お父さん。助けて』
『すまんな一。残念だが今の父さんにはお前を助けることが出来ない。出来の悪いお前に問題があるんだ』
私を見捨てる父。何も分かっていない。父は理系の国立大学を出た人間のクズだ。父親もクソ野郎だ!
小学校5年の3学期以降の中学受験のシーズンも酷かった…。母親の家庭内暴力は幼少期から小5の2学期までと変わらなかった。
私立中学に入るための受験勉強の時も酷かった…。
『お母さん、暴力を振るわないって去年私に言ったじゃない…ぐすっ』
『それとこれとは別でしょ!ぶん殴られたくなかったら猛勉強することよ!大ボケ娘!そして、受験合格することよ!バカ!アホ!出来損ない!』
『痛い!痛いよ!うえーん!』
もう…嫌だった。こんな人生。
『いやっ!嫌よ!やめて!…。えっ!?…私はもう死んだの?嘘でしょ!?まだ先が長いじゃない!嫌だよ。こんなところで死ぬなんて!ねぇ神様!私これからどうやって生きてくの!?嫌よ!嫌よ!嫌よー!』
『…。一ちゃん!一ちゃん!一ちゃん!』
『…!?誰かが!?誰かが私を読んでいる!?』
そして、私は目を開けた。
「…!?ここは…どこ!?」
「気がついた?一ちゃん?」
見慣れない夫婦(?)が私の近くに座っている。
「誰?何故私の名前を知ってるの?」と、私は夫婦(?)に質問した。