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壬生悠月(みぶゆづき)視点】


「いい加減付き合わない?」


「……分かった」


 中学からの友人である睦月(むつき)と大学1年お疲れ様旅行に行った時に突然そう言われた。


 友達としてしか見てもらえなくて、中学のころからずっと見てきて、ずっと片想いだった。


 付き合えて凄く嬉しいのだが、自分の性格的にガツガツ行くほうでは無いというか性的にチキンなのでそういう事を自分からはせず。それは付き合って1年経った今でも変わっていなかった。


 ―――



「お邪魔します」


「入って」


 今日は俺の20歳の誕生日。俺の家で2人で初めてお酒を呑むという事になった。睦月は俺の2週間前に20歳になっていたのだが初めてのお酒は俺と一緒に呑みたかったらしく待っていてくれていた。嬉しい。


「……?どうかしたの悠月(ゆづき)


「いや、なんでもない」


 睦月が可愛い過ぎて見てしまっていたのを誤魔化す。


「じゃあ呑みましょう」


「うん」


「でもその前に食べたかったつまみ作るから待ってて」


「ありがとう」


「どういたしまして」


 エプロンの紐をキュッと締めてキッチンに入っていく睦月。可愛い過ぎる。




 ―――



「ホタテのガーリック炒めよ。食べてみて」


「うん」


 パクっと口に入れる。


 すると、ニンニクの良い香りがジュワッと口の中に広がって、コリコリとしたホタテの食感とダブルで美味すぎる。


 これを睦月が作ったと考えると嬉しすぎてニヤけそうになるが必死に抑える。


「美味しい」


「よかった。じゃあ本題のお酒にいきましょう」


「うん」


 机の上にゴトンと置かれるお酒の缶達。


「じゃあビールからいきましょうか」


「うん」


 プシュッと蓋を開けて、ゴクリとビールを呑んだ。少し苦い感じがした後、俺の意識がフワフワ揺れてきた。


 ―――


深山睦月(みやまむつき)視点】


「ビールって少し苦い……って悠月?」


 ビール呑んだ悠月の様子がおかしかった。いつもの大人びたクールな感じが消えて何かから解放された様な顔をしている。


「睦月」


「えっ、ちょっ、えっ」


 急に抱きしめられた。心臓がバクッと跳ねる。


「ほんとに可愛い……サラサラな黒髪もぱっちりした目も……はぁぁぁ……好き」


 いつもの悠月なら考えられないような事を耳元で囁かれる。


「ど、どうしたの酔ってるの?」


「……酔ってる」


 そう言うと同時にほっぺをツンとされる。


 顔が真っ赤になっていくのを感じる。


「ほっぺ可愛い……」


 さらに迫ってくる悠月。


「待って!ちょっと待って!」


「待つ」


「あ、待つのね」


「待つ」


 よし、一旦考えよう。どういう事?あれが本当の悠月?本当は私に甘えたいとか思ってるの?



 ……聞いてみよ。なんでも答えてくれそうだし。




「ねぇ、悠月は……いつも私に甘えたいの?その、私と普通のカップルみたいにイチャイチャしたいの?」


「したいけど、酔ってないと俺ヘタレだから無理」


「ヘタレなの?」


「うん。ベタベタして嫌われたら怖い。睦月クールだし。そういうの嫌だろうと思うし」


 据わった目で少し苦しそうに言う悠月。






 ……私と同じじゃないのーーーーーー!!!!!!






「もし、普段から私がベタベタして来たら?」


「嬉しすぎて泣くと思う」


「違う!それは嬉しいけど、引かない?」


「引くわけない。むしろ押す」


「……今日泊まっていっても?」


「嬉しい」


 押し倒された。

ブクマ、感想嬉しいのでお願いします。

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