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オレはサブマスの弁当が食いたい

作者: kanoko

この話は『(異世界で?)お一人様のちお二人様』の番外編になります。


オレは冒険者ギルドの職員見習いだ。

賃金は本採用の半分ほど。


お金に余裕が無いから、いつもピーピーしている。

食事で節約するのは仕方がない事なのだ。


ギルドの建物には食堂が入っていて、旨そうな匂いがただよってくる。


グーとお腹が鳴るが、我慢、我慢。


安売りで買ったパンをチビチビ食べていたのだけれど、とうとう昨夜で食べきってしまった。


今朝はお水を飲んだだけ。


はあ、腹が減った。


冒険者たちはほとんどの人が朝に殺到して依頼を受け、ぼちぼち戻ってくる。


早い人たちはお昼に戻り、食堂で昼飯を食べるのだ。


「ジルくん、それ終わったらお昼休み入って。」


「はい、お昼入りまーす。」


近所にあるパン屋に行って一番安くて量のある品を買う。


ギルドの休憩室に行き、テーブルについて食べ始める。


全部食べても足りない位の量だったが、半分で我慢しないと夜に食べるものが無くなる。


なるべくチビチビと食べるが、みるみるうちに減っていってしまう。


悲しい。


「お、いたのか。

ここ座るぞ。」


ギルドの副マスター(通称サブマス)が入ってきた。


テーブルに弁当を広げ始める。


う、旨そうだ。


あまり見ては失礼だと思うが、目がはなせない。


ヨダレが出てきそうだ。


色がカラフルで、味も想像出来ないけど、絶対に旨いやつだ!


「そんなに見られると食いずらいんだが。」


困惑した声がする。


「す、すいません。

でも、旨そうですね。

オレ、目がはなせないですよ。」


「そのパン食べないのか?」


「これは夜の分です。

お昼はもう食べてしまいました。」


「あー、そうか。

毎日何食べてるんだ?」


「パンです。」


「パンの他は?

屋台の串焼きとかか?」


「いえ、パンだけです。

あとは、水ですね。」


「お、そ、そうか。

俺も稼げない時期はそんなもんだったか、、、」


うーん、と悩んでる様子のサブマス。


「ほら、俺の食いかけだがお前が食え。」


「え!でも、それ、サブマスのお昼ですよね?」


「俺はこのパンがあるから大丈夫だ。

味わって食えよ。」


「ありがとうです!」


まず、一番に肉っぽいものにかぶりついた。

オレの身体が肉を求めている。

肉くれ、肉!!


「う、うめえ!」


甘くて、しょっぱくて、酸っぱい味。

これだけを腹一杯食いたい!!


次に茶色っぽいパンを粉にしたものが付いた塊。


こ、これは、もしや魚なのか?

肉じゃないけど、うめえ!


野菜はあまり好きではないけど、腹を膨らます為には食べる。


名前も分からない野菜たちを使った料理。

青臭くない!

パサパサしてない!

なんか分からんけど旨い味だ!!


結構大きい器だったのに、気がついたら空になってた。


オレが全部食ったのだろうか?


おろおろとサブマスを見れば、何とも言えない表情でオレを見つめていた。


「あ、あの、ごちそうさまでした。

旨かったです。」


ゴニョゴニョとお礼を告げる。


「ふっ。

それは良かったな。

俺の大事な愛妻弁当だぞ、感謝しな。」


そう言って、俺に渡さなかったパンをかじった。


あ、そのパン、店で売ってるのよりも旨そうなんですが。

またヨダレをたらしそうだ。


「これはやらんぞ。

俺の飯だ。」


うわ、威圧された。

サブマスになる前は結構活躍してた冒険者だったと聞く。

オレなんかがかなう人ではない。


久し振りに満腹になった気がする。

幸せだなぁ。



午後からの仕事は満腹で眠くて先輩に怒られてしまった。

なんてこった。




翌朝、サブマスがオレを呼んで告げた。


「今日仕事終わったらギルド宿舎の調理場に来い。

俺が飯の作り方を教える。」


オレはギルド宿舎に住んでるのだが、調理場は自由に使用出来る場所らしい。


けど、そこで作ってる人は見た事がなかった。


料理人がいるわけではなく、面倒なので皆、食堂に食べにいったり、買ってきたりして食べるのだ。


お湯をわかす人さえ、居ないのではないだろうか?


そんな場所で飯を作る?

それも、サブマスと、オレで?


「無理ですよ。」


「大丈夫だ。

冒険者は野営で飯を作る事もあるから、俺に任せておけ。」


サブマスの野営料理、、、凶暴なクマの丸焼きだろうか。

食えるものが出来る気がしなかった。


安くて量の多いパンを買って帰ろう。




※※※


「はい、キミは野菜の皮をむいてちょうだい。」


「そっちのキミはお肉を切って。」


「あなたはこれをこねて下さいな。」


調理場に行ってみると、サブマスだけでなく、なんと奥さんも来ていた。


それに、宿舎の住人も数名いた。


サブマスの奥さんの指示で料理教室が始まったのだ。


奥さんは小柄で可愛らしい人だ。

サブマスが羨ましい。

一体、どこで捕まえたんだ。

猛獣を捕まえる片手間で捕まえたんだろうか。

非常に、けしからん。


「ほら、サボってると食べさせないからね。

しっかり手順を覚えて、一人で作れるようになるのが目標なんだから。」


おお、ちょっと厳しい事も言うみたいだ。

何だか故郷のオカンを思い出すかも。


「使い終わったものは洗って片付けて下さいね。」


サブマスはせっせと洗い物をしてくれてる。


「はい、これ炒めて。

お水を入れて煮込んで。」


「調味料入れて。

少な目に入れて味見してから足すと良いわ。」


オレたちは指示された通りにあたふたと動いた。


そして、旨そうな臭いが漂い、お腹がキューッとよじれた。


「完成!良く頑張りました。」


テーブルの上には料理が並んでいる。

オレたちが初めて作った料理だ。


「豚汁と、豚肉のしょうが焼きとご飯です。

どうぞ召し上がれ。」


うおー!肉だ!!

どれも食べた事の無いものだったが、ものすごく旨かった!

豚汁とご飯というのはお代わりもあって、腹一杯食べた。


一緒に作った他の住人も脇目もふらずに食っていた。


ああ、幸せ過ぎる。


「自分たちで作った飯は旨いだろう。

又教えに来てやるから、早く覚えて作れるようになれ。」


「ありがとうございます!

奥さんは女神様です!!」


「パンだけ食べても栄養は足りないのよ。

野菜も肉も魚も、色々食べなくちゃ。」


「でもお金が無くて色々は買えないんです。

パンだけでも食べれればありがたいんですよ。」


「お前ら仕事休みの日に、俺の家の畑の手伝いに来い。

野菜をわけてやるし、食事も出してやる。

どうだ?」


「旨いもの食えるなら行きますよ!」


「うふふ、お手伝い大歓迎ですよ。

冬支度がはかどりそうね。」


「あー、畑仕事以外もやる事は沢山あるな。

ジルの休みは三日後か。

前の日の夜から俺の家で泊まりだな。

仕事帰りに連れて行くからそのつもりでいろ。」


こうしてオレはサブマスの家に招かれた。


サブマスは町から離れた林の中程に住んでいた。

オレたちは冬支度を手伝うために、時々通う。

手伝いの見返りに料理を習い、食材も分けてもらった。


飯は旨いし何度も習ううちに、徐々にひとりでも作れるようになるもんだ。


食材も分けてもらえるので、腹一杯食えるようになったのがとてもありがたい。


最近は自分で弁当も作って持ってきてる。

オレが休憩室で弁当を食べていたら、サブマスが嬉しそうにオレの肩を叩いて行った。




そしてなんと、


「ジルくん、美味しそうなの食べてるわね。」


憧れのマドンナがオレの弁当を見て話しかけてくれた。

嬉しすぎて肉が喉に詰まって焦っていたら、マドンナが背中をさすってくれた。

なんて、幸せな時間だろうか。

是非とも、毎日弁当を持参して、またお話ししなければ!


そして、いつの日にか、マドンナにオレの手作り弁当を食べてもらいたいもんだ。


おっと、今日で見習い期間が無事に終了だ。

明日からは晴れて、冒険者ギルドの正職員だ!

賃金が増える!ありがたや!!


サブマスの弁当は相変わらず超旨そうだけど、

オレの手作り弁当だって中々のもんだと思う。


さあ、今日も1日頑張ろう!!











サブマスの弁当は鶏肉の甘酢あん、魚のフライ、野菜炒めだったと思われます。(^_^ゞ

それに、バターロールかな、多分。

読んで下さりありがとうございました。m(_ _)m

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