表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君は奴隷でぼろぼろで  作者: なみだぼたる
第1幕 奴隷は愚かで強欲で
42/145

6-5,それは許されるはずもなく

 狭い豚小屋とは言え一日だけならネックレスを見つからないように隠し持っていることは出来るだろうと思う。サキカは私から服を受け取った際にネックレスの存在に気が付いたのだろう。


 しかし、ネックレスの裏とは何だろう。購入前はそのラベンダー色の表面をよく眺めたが、購入後は首から下げたまま一度もちゃんと見ていない。彼女は何に気が付いたというのだろう。


 男はサキカからネックレスを受け取り顔を近づけて裏を見た。


 Dear K from R.


 I must atonement for K before B


「KにRが送る。私はBの前でKに罪を償わなくてはならない」


 彼はそう読み上げた。


「Kはカラ、Rは紳士の名前であるロンド、そしてBは私の母親の名前です。私はこのBをロンド様と一致させることが出来ますわ」


 私の完全なる敗北だった。私は今の今まで紳士の名前すら知らなかった。私がBの名を知っているはずはない。男とその部下を含め豚小屋に居る全員の視線が私とサキカの顔を行き来した。


「このペンダントにある贖罪の相手は私です。ロンド様程の大貴族の紳士を騙し続けることはご主人様の今後の仕事に影響するかと思いますが。私はロンド様の罪悪感の正体を知っています。偽物のカラよりも私の方がより利益を生み出せるかと」


 男は支持を仰ぐため施錠を命令すると外に向かって駆けだした。倉庫内の何かにぶつかったのか重たい物が複数崩れ落ちる音が遠くから聞こえて来た。


 あの時ルイの頭上にあった私が忘れていた無数の星々が、降ってきた。美しく光って咲いて燃えて跳ねて踊って、私の脳みそや眼球をそれはそれは優しくえぐっていく。私の1人舞台がフィナーレを迎えようとしている。誰も観客がいないことを思い出した時、舞台は思い出すのだ。星すら見えないその醜い荒野の姿を。


 人間が誰もいなくなったことを確認すると、一番最初にサキカが口を開いた。


「ごめんね、カラ。あなたをつらい目に合わせたいわけじゃない。あなたを嫌ってもいないしあなたを裏切りたいわけでもない。でも、今が私の運命を変える一世一代の覚悟を決めなくてはいけない瞬間だったの。カラを犠牲にしてでも全てのチップを掛けて勝負する時だったの。昨日、外の世界から帰ってきた後のあなたの様子を見て、私はその少し前まであなたに抱いていた嫌悪や憎悪を消し去ると自身に約束したわ。でも、あの時、私の脚の間に滑り落ちてきたネックレスを見た時、これを逃せば運命は死ぬまで変わらないって、決断の時が来るって、そう思ったの」


「うん、私もあの紳士に出会った時、あなたと同じことを思ったから」


 そう、言わなくてはいけなかった。けれど私は言えなかった。


 紳士の屋敷を訪れカリン様とお会いした時私は狂っていた?冗談じゃない。狂うとは、あの程度の状態のことではない。


 人間として生まれた私は、人間として生まれたカラの持つ現実を見せつけられ証明され、次に踊り狂う自らの舞台は処刑場であると悟ったのだ。


 体内の酸素全てを使い切ろうとしているかのように息の荒くなった私は獲物を噛み殺さんとする獣のようにサキカを睨みつけていた。彼女の不健康な細い首が目についた時、私は彼女にとびかかろうとした。首をしめ、殺してやりたかった。首をへし折り、無残な姿にしてやりたかった。当然、鎖がそれを許さず金属が悲鳴のような声をあげ私の首が絞まっただけだった。それでも私はサキカを殺してやろうと必死になり、切れるはずもないというのに鎖を力づくに引っ張り首輪を引きちぎろうとした。私は何かを叫んでいたが、何を叫んでいたか自分で認識する能力すらもうなかった。


 頭脳が持ち得る感情の全ての面積を怨みや憎しみに変えていった。奴隷の癖にこの女はなんて偉そうなんだ。こんなにも醜く図々しい彼女が紳士からの愛を受けるはずがない。豚は幸せなど望まず、豚らしく死ね。生ごみが何を求めようと惨めであることをこの雌は知らないのだ。それを知らないことは何と愚かで無様で滑稽なのだろう。奴隷が幸せになれるはずないのだ。奴隷は死ぬまで奴隷であり、生ごみは焼却され灰になるまで生ごみなのだ。


 カラという役は私にこそふさわしいというのに。


 エンドが瞬きもせずにこちらを見ていた。しっかりと閉じた口は開く様子がない。


 エンドは私と一番仲が良いのではなかっただろうか。私は幾度となく彼女を元気づけ励ましてきた。助言を与えたこともあった。だというのに彼女は助け船の一つも出さずにただ私を見ているだけなのだ。


 エンドには心底失望した。







☆作者より、お願い


 私なみだぼたるは中学生の時、一角獣が神として祀られる生と死の境界線の世界の文字を自作していたため、「英語が何にもわかりません」。異世界の文字は未だに多少かけるのですが、英語はリトルチャロの内容を理解することすら難しいのではないかという疑惑すらあります。


 なので、誰かに本文に出ている英語を直してほしいです。


 お礼は私の笑顔です。生臭い笑顔なのできっとホリックになると思います。嘘です。ごめんね。お願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ