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君は奴隷でぼろぼろで  作者: なみだぼたる
第2幕 奴隷は嘘つき偽善者で
127/145

14-7,と休載のお知らせ

「キンファ家とはこの街1番の名家ですよ。財産も権威もある家でこの街の港から出る船はほとんどキンファ家に融資をお願いしているそうです。ですが悪い話も随分と多いですがな」


 若い門番は「そんなことも知らないのですか?」とでも言いたそうだった。しかし知らないことは事実であるためアルマは躊躇なくはっきりと答えた。 


「そうでしたか。存じませんでした」


「しかしキンファ家のお嬢様は悪事の噂に関して何も関係はありませんから、本当に気の毒なことです。誰にでもしっかりとあいさつの出来る良いお嬢さんでした。レディとしてしっかりとした教育を受けてなさったのでしょうね」


 アルマは一瞬口を開いて何かを言いかけたが、憂いを帯びた表情で唇をかみしめると顔をカップで隠した。その様子を二人の門番が厳しい目で見つめていた時、私の頭に嫌な予感が噛みついた。パンについていた砂が舌を刺激するあの感覚と似た異物感が心臓を擦る。私はアルマの真似をするようにコーヒーを飲んだ。苦い。濃い。


「おかわりはいかがですか? いいえ、やめておきましょう。眠れなくなっては困ります。怖いものを見てしまったのですから、お兄さんもお嬢さんもぐっすりと眠って忘れてしまうべきです」


 そう言って老いた門番は私達2人分のカップを片付けてしまった。アルマのものとは対照的に私のコーヒーはまだほとんど残っている。


 舌打ちが、聞こえてきた。若い門番が出した音であり、首をひねって彼を見ると今まで噛んでいたであろう親指の爪を腰の後ろに隠して「ご協力ありがとうございます」と一礼した。若い女性や子どもが親しみを持ちやすいような明るく清らかな笑顔だ。


 その後何かを誤魔化すかのように軽く世間話をすると、私達は若い彼に宿まで送ってもらうこととなった。人々が寝静まっている中会話をせずに歩くことは常識である。しかし門番の彼は明らかにアルマを警戒し一瞬たりとも目を離さず一定距離を常に保ちそれ以上離れることも近づくこともなかった。


「疑われてるな」


 宿についたアルマはそう言った。


「どうしてでしょうか、アルマ様。証拠になりそうなものは当然残していませんし動機だってありませんわ」


「おそらく向こうだって確信はないだろうさ。けれど第一発見者である時点で疑わしいし夜の海が見たいなら普通港に行くだろう。あっちには灯台もあるしな。おそらくキンファ家に怨みのあるものに殺人を依頼されたとわかっているんだ」


  私は横目で窓の外を確認した。植木鉢の横と、噴水の陰。闇に紛れる大人の男が2人。


「見張られていますね」


「チャックが乗り移っていた方の息子の体が見つかっていないのかもしれない。明日、この宿を出よう。お前が逃亡奴隷であることに警察もあの門番たちもいつ気がついてもおかしくない。お前の隠れられそうな所を俺が探してくる」


「アルマ様は?」


「チャックを捕まえるか止めるかをしなくては」


 そう言ったアルマの横顔は酷く憂鬱で彼の心臓がそのまま瞳に姿を変えているように思えた。





第14話 馬鹿は騙されるのが役目なので end


休載のお知らせ。


作者なみだぼたるが虫垂炎(盲腸)になり、現在入院中です。短くて1週間の退院となります。


本ページの書き直しと続きの更新は退院後となります。申し訳ございません。


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