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君は奴隷でぼろぼろで  作者: なみだぼたる
第2幕 奴隷は嘘つき偽善者で
113/145

13-1,謎ぐちゃり、君ぐちゃり。

 角砂糖がどれだけ自らの姿を残したいと願ってもコーヒーに入れられれば一瞬で溶ける。胃に入ってしまったらきっと自分がもう砂糖であったことを忘れて鶏肉やコーンクリームと一緒に酸っぱくなるのだ。排泄物と化した時にはもともとの姿など忘れてその汚物としての姿を認めてしまうのだろう。


 建物にあっという間に引きずり込まれたと思ったら地下へと連れていかれ分厚い布とロープでぐるぐる巻きにされた私は明らかに生き物ではなく動物の死骸の生肉であった。これから味を染み込ませて煮詰められる豚肉だろうか。いや、そうに違いない気がして来た。うっかり人間だと思いこむよりは賢い豚だろうか。


 奴隷と加工前の豚生肉だったら、美しいのはどちらなのだろう。内臓を取り除かれた後だったら豚が一歩分有利だろうか。


 私はこの梱包の仕方に心当たりがあった。以前私は自ら望んで臭い布で身動きを取れなくしてもらったのだ。あの優しく温かい目をした青年にお願いして。


 今の現状はおそらく逃亡奴隷であることがバレていてこのまま管理局へと引き渡されるか、人間だと思われ奴隷として売られようとしているかのどちらかだ。後者であった場合でも奴隷の登録は必ず管理局へと書類が渡るために確実に私が逃亡奴隷であることはばれてしまうだろう。つまりこのまま運ばれてしまえば私の未来は死しかない。


 私が腕も足も動かないというのに暴れた。途中折角買ってもらった洋服がよごれることを憎んだ。手首を回そうとしたり腰を力づくで捻ってみたりした。頭まで布で巻かれてしまっているため視界は完全にふさがれてしまっているが自分が今まだ動いて居ない馬車の荷台に放り投げられていることは感覚でわかっている。自分が経てるもの音以外は静寂であるということは、私が逃亡奴隷であることがバレた可能性が高い。


 ねえ、預言者。まだまだあなたが言う私が死ぬ日は遠いはずよ。私はあなたの願いのうち1つしか回避していないわ。けれどこの状態からどうやって生き残ればいいと言うの?


 この状況で逃亡を試みるのは不可能であり非合理的であると考えられる。すると考えなくてはいけないのはもがかずに大人しくすることと生にしがみつき暴れること、どちらが恰好が良く、更に奴隷らしいのだろう。いや、なんてくだらないってわかっているのだけれど。


 馬車は、動き出してしまった。彼らは厳重な拘束と監禁をしたのち管理局に連絡をし引き取りと支払いを要求するのだ。


 もしもあの予言を信じるのならば、いやもしもあの予言がまだ生きているのなら、アルマが助けに来てくれる意外に私が助かる道はない。


 けれど格好悪いなぁ。自分に出来ることは何一つなく、誰かを信じて待つなんて間抜けのすることだ。利用することと信じることは似ているけれど大幅に違う。私は利用はしたいが信用なんてしたくはない。

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