シモンの問い
「私が話したいのは魔術談義ではなく、アンリのことです。話を聞く限りでは、生徒だけではなく教師までいぶかしんでいると聞きます。それでは困ります」
シモンのペースに乗せられてはいけないし、そもそもここに来た理由とは全く異なる話をするつもりもない。とにもかくにもアンリのことを何とかしなければならないのだ。
「それはまぁこちらとしても善処はするがね。根本的な解決ってのは難しいんじゃないかな」
なぜ?と聞かれることが分かっていたのか、シモンは細目を一層細くしてそのまま続ける。
「アンリ君の魔術は特異すぎるんだ。魔術談義をしようなんて言ったのは冗談半分だが半分本気だったのは、彼に魔術を教えた人間は一体どんな形で魔術を学んだんだろうかと不思議に思っていたからなんだ」
ニヤニヤとこちらを見透かそうとする視線に思わず目をそらす。
「報告をもとにした考察でしかないが、まるで彼の特性をすべてわかった上で魔術を習得しているんじゃないかなぁと思うんだよ。本来ではありえないことだし、他の教師たちは否定しているけど、どうにもそんなことでも起きない限り説明がつかない」
「たまたま、ということもありませんか?本人が習得したいという魔術と適性が合致することもあり得るでしょう?」
「大多数の人間がそう言った。しかし、しかしだ。基礎属性で6種、そこから現在もなお数十数百と解明されていく派生属性の特性がありながら、その一点に絞った形で魔法を習得する人間が。そしてそういった方法で魔法を教える魔術がいるだろうか?いないだろう?それが溺愛する子供なら、わざわざ可能性を狭める形でギャンブルのような教育なんてするわけがない」
シン。と静まる室内に息苦しい何かが漂う。数分か、はたまた一瞬にも思える沈黙を再びシモンが裂く。
「なぁメイガス君。君は何者なんだい?僕はアンリ君よりも彼を育てた君に興味があるんだよ」




