猪突猛進
「ここで会ったのも何かのご縁です。案内いたしますよ!!」
やはり頼まれてもないのに、目をらんらんと輝かせて案内役を申し出てきたアテナに軽い頭痛を感じつつも、このままでは最後まで彼女のペースでことが進みかねないため区切りをつけなければならない。
「いえ、アテナさんもお忙しいでしょうし、私も何度か学校に訪れていますので大丈夫ですよ」
などと適当な言い訳を述べながらも、相変わらず下手を打ったと後悔する。こんな風に言っても絶対に通用しないのだ。いや、もはやこの段階で彼女の参加を断る方法はないのかもしれない。
「いえいえいえいえ!教師に話があるならば、私と方向も一緒でしょう。一人でいると場合によっては衛兵に追い出されてしまうかもしれませんから、私が事情を話しますよ!」
話さないでくれ事を大きくしないでくれ。そんな気持ちも話してしまえば彼女はさらに深みに入ってこようとするため言葉にできない。ふと、視線の奥に教師らしき人が通るのを見つけた。彼はこちらを見て怪訝な顔をしていたが、小さな金髪の女性の後ろ姿を確認するなり視線をそらして元居た方向へ踵を返した。俺はそれをみて、彼女の学校での扱いを何となく察する。
「わかり…ました。では、教師たちの研究棟へご案内いただけますか?」
俺の言葉が終わるか終わらないかの内に、彼女は任せてくださいと勢いよく胸を叩いた。
ドンと体が響く音がずいぶんと大きかった気もするが、この際言及しないでおこう。
「そもそもなぜ研究棟が存在するかといいますと、まぁこれは正直に話、教師として呼ばれた魔術師たちが結構贅沢を言いまして、あれが欲しいこれが欲しいと適当な提案をしたら全部通っちゃいまして…教師を一つの部屋にまとめることは不可能になり、研究棟という形で建設されることとなったらしいんです。あ、でもでも、私の研究所は大したモノじゃないんですよ。その時必要最低限のモノでいっかなーなんて思っていたので。周りの先生方から聞いたときは後悔しましたよ!みんな授業以外の時は研究所にこもりっきりになるくらい使い心地が良いみたいで…くぅぅぅ!」
相も変わらず頼まれていないことをすべて説明してくれるアテナだが、感情も表情もコロコロ変わりながらも迷いなく道を進む。見た目がとても幼く見えるので新任教師かとも思ったが、その口ぶりも含めて意外と長い間ここに務めている人間なのかもしれない。
「さぁ!着きましたよ!ここからが研究棟になります!では早速挨拶に行きましょう!」
どこへ?という返答も待たずに手を引っ張られ研究棟の中をズイズイ進むアテナ。
そもそもなぜ彼女はまだ進むのか。俺が会いたい教師の話は一つもしていないのに。
「アテナさん、あなたは一体どこ…」
「わかってますよメイガスさん、生徒さんの困りごとなら相談する相手は一人しかいないじゃないですか!」
「校長先生のところへ行きましょう!!!」
なぜそうなるのか。今日一日で何度思ったかもわからないほど、俺は未だに彼女に振り回され続けている。




