戦後
昼間を照らす 陽の炎 道にざわめく 人々の群れ
倒れた者は 何を映した 悲しみの色の 先にあるのは。
雲は何を語ろうか。
古屋に残る 黒い血液 光を返す 刃物の欠片
夜道を照らす 空の月 辺りに散るは 星の輝き
遠くへ響く 鳥の囀り 舞うその翼は 何処へ行くのか。
森は何を語ろうか。
地に残るのは 鹿の爪痕 川を流れる 水は濁色
人を照らすは 他人であって 絶えた村は 何を知るのか
錆びれたナイフの 刃音が響き 見上げた空は 黒く滲んだ。
私は何を語ろうか。
着る者は無い 一切れの布 地上に滴る 虚しさの跡
この地は何を語ろうか。
心閉ざした この空間で。