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ゾンビワールドで今日もお届け ~頼れるサービスマン~

作者: さてはて
掲載日:2016/08/23

 

 199x年。世界はゾンビに包まれた。しかし、人類は滅亡せずしっかりと生きていた。シェルターに逃げ込んだもの。山奥に逃れたもの。そして、ゾンビと戦い生存圏を確保したもの達だ。


 そんなゾンビワールドにおいて、衣食住は当然として、世界最高の待遇を誇る会社がある。それがクロイヌ急便である。クロイヌ急便は常に社員を募集している。今日も無謀な就職希望者がやってきたようだ。


「さて、先ほどもお話したとおり、ゾンビ相手に無双できること。これが我社が求める最低条件です。具体的にはゾンビの群れと戦闘し、三十分以内に二百体以上の無力化。尚、弾薬・燃料といった消耗品の使用を禁じます。タイミングはお好きに。自分のタイミングではじめてください」


 静かに面接官が述べる。それに対した相手は緊張を隠せないでいる。比喩でなく死地に赴くのだから当然ではあるが、この程度鼻歌混じりでこなせないと部隊を任せることはできない。


 こんな厳しい条件にも関わらず面接希望者は毎日のように訪れる。

 常に新人を雇う必要があるのは、常に離職者がいるからだ、主な理由は殉職。最悪のブラック企業であるが待遇は世界最高のホワイト企業。ちょっぴり労災事故が多いだけだ。





 さて、クロイヌ急便が世界最大の企業になりあがった最大の理由は、MAMAZON物流センターを確保したことが挙げられる。MAMAZONとは世界最大のネット通販サービスで、その物流センターが千葉と東京の県境に立てられていた。埋立地による圧倒的に広大な土地。都心までのアクセスの良さ。港と空港を近くにそなえた完璧な立地条件。そんな場所にMAMAZONは圧倒的資本を使い巨大物流センターを建設したのだ。


 そんな訳でこのMAMAZON物流センターは、「日本で買える物ならなんでも揃う」とうレベルで物資が保管されていた。そしてアウトブレイク時、物流センターで荷待ちしていたガテン系兄ちゃんを筆頭に対ゾンビ防衛を開始、事実上物流センターを掌握したのだ。


 当初は運輸各社による派閥争いがあった、ネコ派とイヌ派だ。しかしアウトブレイクによる政府機能の麻痺を知り外部からの救助の現実味がなくなった時、彼等は手を取り合い、クロイヌ急便となったのだ。


 アウトブレイク当初、銃を持つものが強かった。しかし、時間がたつに従い銃弾が不足し銃は鈍器になった。そうなってから強かったのはガテン系である。ガキの頃はバット片手に喧嘩をしていた彼らが、今は相手をゾンビに変え戦うのである。冷蔵庫くらい一人で運べて当たり前、そんな肉体派ガテンがゾンビを倒し、工業高校出身の溶接ガテンが安全地帯の作成と車の強化を行う。


 農業を、ソーラパネルを、水力発電を。そうして物流センターは電気水道のインフラが整った、世界有数の安全地帯となったのだ。




 企業には世の中を良くする為の社会的責任が発生する。この考えかたはアウトブレイク前のものだが、クロイヌ急便は、世界最大の企業としてその責務を全うしようと動いていた。


 具体的には有り余る物資を外部にいる人間に売りつけている。文字通り「なんでも揃う」物流センター。東に武器が欲しいという依頼があればスコップとクロスボウを届け、代金がわりにガソリンを奪い、北に水力発電装置が欲しいと依頼があれば、かわりに秋田美人を連れ帰った。


 彼等は絶対に無料で依頼を引き受けなかった。必ずそれ以上の対価を請求し、無ければ見捨てて、否、出張費として集落の蓄えを全て奪い去った。クロイヌ急便はボランティア企業ではない。正当な対価を貰って物資を届ける企業である。それゆえ、対価を払えない者は「お客様」ではない。



 これはクロイヌ運輸に所属し、商品をお届けするサービスマンである一人の男の物語である。


導入部分だけ。

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