08 武器と疑惑
時間が空いてすみませんでした。
2F階段
俺が考え付いた方法はいたって単純だ…ゾンビをほかの場所に移動させる、ただそれだけだ…
現在ゾンビは一階と二階の間にある踊り場で捕食を行っている、バットはその捕食対象のそばに転がっている状態なのだ、なのでそのゾンビが居なくなりさえすれば安全にバットを入手できる。
(ゾンビは音に反応する。その習性を利用して、ゾンビを移動させる。)
いくら武器が欲しいからといってゾンビ三体に向かってこの箒の柄一本で戦う気にはなれない…身を守るための武器を手に入れるために身を危険にさらし、しかも死んでしまったら本末転倒もいいところだ。
「ふぅ」
俺は少しため息をつき考えを実行するべく行動を開始した。
カーーーーーン!!!
乾いた音が下の階に響く、俺が先ほどの教室の中で拝借してきたリュックサックの中から空き缶を取り出し下の階に向かって放り投げたからだ。
(音に反応するから役に立つと思って持ってきた甲斐があった、さて釣れるか?)
俺はゾンビの方を確認する。
『アアァァァァァァァァァァァァ』
捕食をやめて音の方向に3体が振り向きフラフラと歩いていく
「よし!」
俺は小さくガッツポーズをとった。
(こんなにうまくいくとは思わなかった・・・さて、バット、バット)
俺はバットを拾いに踊り場まで行った…
(うぉっ見ちまったよグロ!!)
捕食されていた人間は腹や首、至る所をを食い荒らされていた、近くに来ると血の臭いが漂ってくる。
(怪我したときに血のにおいは嗅いだことがあるけどこんなに大量に血の臭いがすると、吐きそうになる)
俺は顔をしかめながらバットを拾った、そのときだった。
『ヴヴヴゥゥゥ』
俺の横から聞こえてきた、その異音は間違いなくゾンビの声だった。
「ッーーーーー」
忘れていた、忘れてはいけないことを、忘れていた。
そう、ゾンビに噛まれた者は…
(ゾンビになる。)
先ほどまで捕食されていた死体がゾンビになっていた、
のそり…
そんな擬音がぴったりの不気味な起き方だった。
ボタタッ!ビチャッ!
ゾンビが起き上がり体の至る所から血が零れ落ちる…
1メートルもない距離にゾンビが居る。
(音を立てなければ平気なはず・・・)
「・・・・・・・・・・・・・」
『ガアアアアア!』
ゾンビが俺に向かって咆える。
「うあああああああああ!」
俺は反射的にバットを振る、ドンッという音とがバットから鳴る…咄嗟にバットを振るったので当たっても意味のない腕に当たった。
『ヴァアアアアア』
ゾンビはバットに殴られバランスを崩し、ゴロゴロという大きな音を立てながら階段から転げ落ちた、幸いなことにゾンビは頭を打ったのか動かなくなった。
「なんで、何でだ?音は立ててないぞ。」
ハァハァと息を荒げながらつい呟く、俺の中にあるゾンビの習性が間違っていたのか考える。
『アアアアアアアア』
(しまった大きな声を上げたしゾンビを階段から落として音が響いたからゾンビが来る、早くここから離れよう。)
俺は集まってくるゾンビが見える前に1階に急いだ…
1F広間
(階段にゾンビが結構集まってるおかげで広間にはゾンビが少ないな。)
さっきの件もあるし早く広間を出てしまおう、校門までは近いし自宅は学校から徒歩で10分のマンションだ、自宅まで行けば立てこもって対策を立てる時間が取れる…
俺はバットを構えながら静かに歩いた。
(このゾンビどもは本当に音にだけ反応するのか?いや、試すのは今度にしよう・・・今は家に帰ることが先決だ。)
今のところゾンビたちは俺に反応を示さないので、俺は広間を抜けて、外へ向かうのだった。