04 感染
屋上
目の前にゾンビが居る…
ゾンビは身体中食い千切ら血塗れだ、服も所々破れている、いや、引き裂かれのであろう。
ゾンビの右腕を見るとゾンビの右腕はおかしな方向に曲がっていた、フラフラとゆっくりこちらに向かってくる。
『ヴヴゥ!ヴヴゥヴヴ!』
地の底から聞こえるような唸り声…
ピチャッピチャッとゾンビの右腕から落ちる血。
(気持ち悪い、想像していたよりも更に怖い…)
これが俺のゾンビを初めて見た時の正直な感想だった。
「い、や、嫌ァァァ!」
先程屋上に来た2人組の内の女が叫びながらゾンビの右方向に走り出していた。
『ヴァァァァァァッ!』
今までフラフラしていたゾンビが女の方へものすごい速さで走り出した!
「はっ?」
今、俺は途轍もなく間抜けな声を出したと思う。
(ゾンビって遅いんじゃねぇのかよ!)
「絵里!」
拓也と呼ばれた男は女(絵里)へ呼びかけながらゾンビを追う。
(そう言えばまだ名前も聞いていなかったな、いや!それどころじゃ無い!)
2、3秒俺は反応に遅れた、ゾンビがこんなに速く動くとは思わなかった…
「くそったれ!」
俺も同じくゾンビを追う、しかし俺は間に合いそうになかった、当たり前だ、なにせゾンビは俺と同じ位の速さで走っているのだから。
『アァアアア!』
「嫌!嫌!来ないでよぉぉ!」
絵里は既に屋上の隅に追い込まれていた、
「絵里ぃぃ!」
拓也も走っているがゾンビはもう絵里に飛びかかっていた・・・
『ヴァオアァアアア!』
ガシャンッ!ガシャンッ!
ゾンビが絵里に飛びかかってフェンスにぶつかった、音が聞こえ…
グジュリッ!ブチブチッ
「痛い!痛い!痛い!痛い!やめてぇぇぇ!」
血飛沫が舞い、更に肉が千切れる音がした。
「この野郎!絵里を離せ!」
拓也が追いつきゾンビを殴る、しかしゾンビは拓也に見向きもしない。
「あがっ…だずげ・・・で・・・」
絵里は首筋を噛まれていた。
ガリッ!ゴリッ!
骨を咬む音が聞こえて来た…
「効かない!なんで?くそっ!離せ!」
拓也はゾンビの首に腕を回しゾンビを引き剥がそうとする。
「・・・っこいつ!なんて力だ!おい!あんた!手伝ってくれ!」
俺はその言葉にハッとする。
「あ、あぁ!」
俺は助けに入ろうとした、しかし俺は大事な事を忘れていた。
ー噛まれた人間は助からないと言う事実をー
2人掛かりでゾンビを引き剥がそうと俺が近づこうとした時また、あの嫌な音が聞こえた。
ブシュッ!…ブチッ!
「ぎゃあああぁぁぁ!」
拓也の叫び声が屋上に響いた、見るとなんと先程まで助けを求めていた絵里に、拓也は腕を噛まれていた、そうゾンビを引き剥がす為に回していた腕を…。
また血が吹き出る、そしつ先程の絵里の血と共に屋上のコンクリートに新しい血溜まりが出来る。
(そうだ…噛まれたら助からないって!)
拓也は痛みのあまり腕を離した、すると次は拘束していた男ゾンビも拓也に身体を向けた…
『アァアアア!アァアアア!』
「絵・・里・・・なん・・」
ガブリッ!グシャリッ!
男ゾンビと絵里双方に噛みつかれ、拓也は言葉を最後まで紡ぐ事が出来なかった。
(逃げなきゃ!次は俺の番だ!)
俺は、ゆっくりゆっくり音を立て無い様に、ドアに近いた。
(刺激するな!バレ無いでくれっ!)
ゾンビが拓也に興味のある内に、ドアまで近いた、幸いドアはゾンビが壊したので開きっぱなしだ。
(後何メートルだ?近いはずなのに遠くに感じる!)
ドクン!ドクン!ドクン!
鼓動が警鐘を鳴らしているみたいだった。
(怖い!死ぬ!殺される!喰われる!)
俺はやっとの思いでドアに辿り着いた。
(良し!ドアに辿り着いたぞ!)
ガシャーーーン!
ドアに辿り着いた瞬間、下の階からかなり大きな音が響いた。