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35話 学校

「ハァ…ハァ…ハァ…」


肺が酸素を求めている…息が切れて呼吸が荒いのに…今も息を吸ってるのに全然ダメだ…


「ハァ…ハァ…ハァ…」


腕や足がパンパンに張っている…動くのも辛い、しかし敵は待ってはくれない。


『アアアアアアアアアア』


『ォォォオオオオオォォ』


ゾンビの声が聞こえて、慌てて息を抑える。


(チッ…追いつかれたか…)


部屋の周りには複数体のゾンビ…自分の身体は疲労困憊…そして横には気絶して居る菜摘が居た…

今は部屋の中にゾンビは居ないが今にもゾンビが部屋に入って来そうだ…


(ヤバイ!ヤバイ!考えろ!考えろ!)


心臓が早鐘を打つ、ゾンビに聞こえてしまうのではないか…そんな不安も感じる程だった。


……何故…こうなってしまったのか…それは、数時間前に遡る…




小学校校門前


あれから話し合い、食料を探しつつ、生存者を探し仲間に入れて戦力を増やそうという事になった…そこで先ずは避難所になっている小学校に行く事にした。




校門は申し分程度にしまっている…時折風に吹かれてキィ…キィ…と乾いた音を辺りに響かせている…


「…ここだな、入るぞ?」


「はい、慎重にいきましょう…」


「……ふぅ……」


ひとつ小さく息をして、乾いた音を鳴らし続けている門を開ける…


キィィ…


立派な校門だと思う…今時珍しい形をしている門だ、確かこの辺りでは有名な私立の小学校だった気がする。

(…まぁ校門が開くって事は…ゾンビが出たって事だよな…)


校門をくぐりグラウンドを見ると、ふらふら…うろうろする人型が居る…しかも気分が悪い事にうろつくモノの殆どは小さかった…


「………チッ!」


嫌なものを見て思わず舌打ちをしてしまった…


(…今迄だって見かけないわけじゃなかった…だけど、だけど…こんなに…)


今、目に映る彷徨う影は大体20〜30、その殆どが子どもだった…


「…酷い…」


背後から聞こえるか細い声…菜摘は口元に手を当て目を滲ませていた…


(クソッ!覚悟して来た筈だろうが!大人がゾンビから逃げ切れなくてゾンビになってんだ…子どもだったら、考えるまでもないだろう!)


ましてや、ここは小学校だ…わかっている…わかっていた…そう頭の中で繰り返す…だが、実際に見ると…見てしまうと…耐え切れない何かが湧き上がる…


「菜摘…行こう…ここで立ち止まるのは、危ない…」


菜摘に促しながら校舎に目を向ける…其処には窓ガラスが幾つも割れた学校がある。


(…期待をするのは止めておこう…)


避難所になっているのにこの様子なのだ、生存者がいるのは絶望的だ…


「わかりました…校舎の中に人がいると良いですね…

1人でも居れば…」


「そうだな…」


2人は足を校舎へと向けた…





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