32 再びの…
マンション3F 自室
ガシャーン!!
「んがっ!」
6日目の朝、俺は轟音と共に目覚めた、俺は覚醒しきっていない頭のままベットから飛び起きる、いや…転がり落ちた。
ベットから転落した先にあったバールを手に持ちバタバタと慌てたせいでおぼつかない足取りでリビングに向かう、俺はリビングのテーブルの上に置いてあったトランシーバーの電源を入れて、菜摘と決めたチャンネルに合わせ、イヤホンを右耳に入れ、轟音のした方を見る為にベランダの鍵を開けベランダの窓を開けようとしたその時無線から声が聞こえて来た。
【黒鉄さん聞こえましたか?】
菜摘の慌てた声がイヤホンをとうして俺の右耳に届く
【ああ、聞こえた、今ベランダから確認する為に…】
パンッ!パンッ!
次は2回続けて鳴った!
1回目の時の音ではない…
【近いですね…】
【だな…】
2回目の音は明らかに銃声だった、という事は人間が近くで何かと戦っている事が想像出来る、十中八九ゾンビとだか…
俺はベランダの窓をギリギリ通れるぐらいに開け外に出た瞬間に窓を閉めた。
(まぁこれだけでバレる事はないと思うけど念には念を入れてっと)
他人にバレるリスクは極力避けたい。
マンションのベランダの柵には簾が掛けてあるので外からは見えない、本来なら此方からも見にくいが其処は隙間を作ってあるので大丈夫だ。
(人間はどこだ?……居た…)
俺はすぐに人間を見つける事に成功する、何故なら最初の音の原因であると思われる電柱に突っ込み停止している車の近くにゾンビが大量に群がっているからだ、車の屋根の上には猟銃を構える2人組の男が見えた…。
(まるで蝉の死骸に群がる蟻みたいだ…)
ワラワラ、ゾロゾロ、そんな表現がぴったりなゾンビ集団とそれに抗う人間…
(まだ…集まって来ている…あれは無理だ…)
恐らく事故の音と銃声でゾンビが集まって来ているのだろう…
圧倒的な物量差…遠くて顔までは見えないがあそこに居る2人の顔色は想像しなくてもわかる…
そんな時に俺はふと気付いた…
(屋根の上に何か居る?)
車が来ていた方角にある家の屋根にそれは居た…
(アレは…〈口裂け〉⁈)
車のある場所より更に遠くに居たがすぐにわかった…
〈口裂け〉は屋根の上に堂々と立ち車の上の2人を見て居た…俺はすぐにトランシーバーのスイッチに手を伸ばした…
【菜摘!奴だ〈口裂け〉が居た!】
【本当ですか⁈黒鉄さん!】
【ああ、遠くても、彼奴だけは見間違えない!】
【どうしますか?】
【どうしようも無い…取り敢えず近くにあいつがいる事がわかったからな…少なくとも〈口裂け〉がどうするかを確認しよう】
【わかりました監視お願いします私は一応何時でも出られる準備をしておきます。】
菜摘のベランダには簾が無いので監視は出来ないのだ。
なので菜摘は部屋で脱出の準備を開始しようとしたのだろう…最悪の事態に備えて…




