03 ゾンビ
短いな・・・
屋上
「なんだよ・・・これ」
俺は画面を見ながらそう呟いた、スマホに映し出された情報はこうだった。
世界各地で同時多発テロの様な暴動が起きていると言う事、狂犬病の様になり人が理性を失い襲い掛かると言う事、新型のウィルスの可能性があるなど、他にも避難勧告が出されいた…
(世界各地でこんなことが?テロ?狂犬病?新型ウィルス?理性を失う?襲い掛かる?ほんの数分前まで普段どうりだったのに…)
なんだか悪い冗談の様な情報だった、ニュースの方はどうかと見てみようと思ったが回線が混み合っているのか接続出来なかった…
(くそっ!考える事は皆んな同じか…)
ドゴンッ!ギィィッガンッ!
考えていると、後ろのドアが勢いよく開きぶつかる音がした。
(しまった!ドアを開かないようにしてなかった!)
俺は内心焦りながら振り返り見るとそこには走って来たと思われる男女2人組がいた、2人は俺を見つけると少し驚きながらも口を開いた。
「あんたは…平気か?俺らは噛まれてない!」
「拓也!後ろから来てるわよ!」
かなり焦っている様子だった、しかもあいつらに追い掛けられて逃げて来た様だった…
バタン!ガチャ!
男の方がドアを閉めて鍵を掛けた。
息を切らしながらドアから離れる2人…
(追い掛けられているのか?それに平気か?ってなんだよ、さっき噛まれてないとか言ってたな…)
「なぁ、あんた、さっきのどういう事だ?」
俺は拓也と呼ばれた男に話しかける、すると警戒しながら口を開き…
「その前に教えろ、お前噛まれたか?」
そう聞いてきた…
「いや、噛まれてない、噛まれるとなんなんだ?なんかあるのか?」
聞いてくるのだから何かはあるのだろうと思いながら聞き返した…
俺が噛まれてないと知ると少し警戒を緩め近づきながら、話してきた、話しを纏めると、あいつらに噛まれてしまうと、噛まれた人はあいつらと同じ様に他の人に襲い掛かる様になってしまうらしい、しかも噛みつかれ死んだはずの人間が生きかえって襲って来るらしい、2人はあいつらに追い込まれ屋上まで逃げて来た、と言う事だった。
「狂犬病っていうよりゾンビだな…」
俺は素直にそう思った。
「そうだ!ゾンビだ!俺らの仲間も3人噛まれた、それで…」
「皆んな死んじゃった、なのに生きてる!」
意味がわからない、2人共そんな感じだったもちろん意味がわからないのは俺も同じだった。
(これからどうする?下の階はゾンビだらけ移動するにしても、今はリスクが大きい少し混乱が収まるまで待つのが一番いいな)
ガンッ!ガンッ!
先程閉めたドアにぶつかるような音がした、俺達は警戒を強くした。
ーーガンッ!ガンッ!ガンッ!
「人間か?それともゾンビか?」
俺は棒を構えながら呟く…
ーーガンッ!ガンッ!ガンッ!
明らかに人では無い、まるでドアを壊そうとして居るような音だ…
ーーガンッ!ガンッ!ガンッ!ガンッ!
更にドアからの音が激しくなった、俺は今まで感じた事のない恐怖を感じている。
ーードクン!ードクン!ードクン!ードクン!
心臓がものすごい速さで動いている…
俺たちはドアから距離を取った。
ーーズガンッ!
遂にドアが限界を迎えたらしい…
(来た!)
破れたドアの先にいたのは身体中食い千切らた血塗れの男だった。
「これがゾンビ!」
俺はこの時初めて近くでゾンビを見た。




