23 ホームセンター
ホームセンター前歩道橋
俺達は歩道橋の階段の踊り場で上にいるゾンビを監視している。
俺はゾンビがイレギュラーどうか確認しに階段を上って行った。
確認の仕方は簡単、ゾンビの足元に向けて小石を投げてゾンビに聞こえる位の音を立てて反応するかしないか見る。
反応したら普通のゾンビだ…イレギュラーはまだ出くわしてないからまだわからない。
…取り敢えず普通のゾンビだと確認出来れば後は簡単だ先を急ぎたい時は転ばせて、そこに留まる時は頭を潰す。
俺は先ほど拾った石を投げた。
ゾンビの足元で音が鳴った。
『アアア』
反応した、俺は菜摘の居る踊り場に戻った。
「確認したがイレギュラーでもない普通のゾンビだった、気をつければなんとかなる相手だ」
「黒鉄さん、考えがあります。ゾンビをこっちに誘き寄せて下さい」
菜摘は作戦があるのか、俺に提案してきた。
「わかった、どのあたり迄で誘き寄せる?」
「階段の一番上迄でお願いします。」
菜摘の顔はとても自信に満ちて居た。
俺は言われた通りゾンビを誘き寄せる。
方法は先ほどと同じく小石で音を立て誘き寄せる道路にもゾンビはいるのであまり大きな音は出せない、こんな所で囲まれたら終わりだ。
コツ、コロコロ
『アアア』
コツ、コロコロ
『アアアア』
少しづつ指定の場所に近づく。
『アアアアア』
着いた。
菜摘は踊り場から駆け足で階段を上って来た。
『ヴァアアア!』
ゾンビが音に反応して階段を下り出した。
ゾンビは何故か階段を下りる時は動きが鈍くなる、菜摘はそこを狙い、箒の柄でゾンビの浮いて無い足を払った。
『アアア!』
ゾンビは足を払われて階段を転がり落ちた。
ゴロゴロと転がり階段の一番下まで落ち頭を打ったのか動かなくなった。
「上手く行きましたね、黒鉄さん」
菜摘は俺に笑顔を向けて来た。
「あ、あぁ…そうだな…」
俺は菜摘の事が少し怖く感じた。
(あんな方法…思いつかなかった)
こうして俺達は歩道橋を確保する事に成功した。
「黒鉄さん…どうしますか?」
菜摘はホームセンター前の駐車場を見て呟く。
「さて、どうするかなぁ〜」
(あ〜帰りてぇ…家の中でTV見てたい。)
「黒鉄さん…現実逃避してないで真面目に考えて下さい。」
菜摘に叱られた…だが、俺達の目の前には現実逃避位したくなる様な数のゾンビがひしめく、ホームセンターの駐車場があった。
「ざっと数えて60〜70ってトコか…なんだってこんなに…」
「多分ですけど、店員か客のどちらかが感染して周りの人をどんどんゾンビにして行った、と言う感じじないですか?」
菜摘が推測を喋る。
分かってはいるが、改めて見ると気分が悪くなる。
「はぁ〜なんだって駐車場にたむろってんだよ…」
俺は駐車場を見てうな垂れた。
「黒鉄さん、しっかりして下さい。」
「…あれだけゾンビが集まってるってなんなんだよ…全く勘弁してくれ、なんでゾンビに対する武器を手に入れる為にゾンビのバーゲンセールに行かなきゃならんのだ…」
「確かにリスクが高いですね…」
「…この辺りに武器になりそうな物置いてありそうな場所無いもんかね〜」
「近くに交番があります」
「わかった。このホームセンターは流石に危険すぎるから、その交番に行こう。」
俺達はホームセンターを後にして交番に向かった。
この時、俺達は気づかなかった、そして知らなかった。駐車場のゾンビが決してホームセンターの中に入ろうとしていない事を…駐車場のゾンビが音に反応していない事を。
ホームセンターから離れ始めた俺達はまだその事を知らない。




