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20 イレギュラー

コンビニ


俺達はの視界に現れたそいつは身長170cm位で灰色のパーカーを着ている男のゾンビだ。


頬を喰い千切られたのか口が裂けて奥歯まで見えているがその程度の損傷はゾンビなら当たり前だ。


しかしそいつは他のゾンビとは明らかに違う所があった…普通のゾンビは目が何処か虚ろな感じがするが、そいつは違った…目はギラギラと妖しい輝きを放ち、獲物を見る猛禽類のそれだ。


歩き方もフラフラ彷徨う感じでは無くしっかりと大地を踏みしめ歩いて来る。


『ゔゥあァぁ』


そいつは恐ろしい声を出した。


聞くだけで相手を萎縮させる様な声…。

本当に人間の発声器官でこんな声を出せるのか?と思うほどだっだ。


(なんだ⁉︎コイツ⁈ヤバイなんてもんじゃない…見つかったら確実に殺られる。)


俺はすぐに逃げ出したい衝動に駆られたが、なんとか抑える…


それほどアイツはヤバイ。


見るとそいつは先程のバイクに乗っていた人間の頭の近くに立ち、獲物を見下ろした。


『あァぁァ』




ニタリ…





そんな擬音がふさわしいと俺は思った、そしてそいつはゆっくりとしゃがみ、獲物となった人間のヘルメットを取った…


「ああぁあああぁ!やめろ!やめろ!殺さないでくれぇ!」


バイクに乗っていたのは先程迄顔が見えず判別がつかなかったが男だったらしい…

叫ぶ男を見て更に嗤う口裂けゾンビ…俺は全く似ていないのに子供が虫を殺して遊ぶシーンを思い出していた。


『ゔアあァあアあ…』


口裂けゾンビが大きく口を開ける、口が裂けている事もあり、かなりの大口に見える。


「やめろ!やめろ!やめてくれ!やめ」


ガリュッ‼︎ゴリッ!ゴリッ!


口裂けは男の命乞いを最後迄聞かずに男の喉に喰いつき…


ブチッ‼︎


喰いちぎった…

男は捕食されながらも動こうとするが周りのゾンビに押さえ付けられモゾモゾと蠢めくだけに終わり…次第に動かなくなっていった。




口裂けが捕食に飽きたのかムクリと立ち上がった。


『あァゔ』


一言、口裂けが呟くと…


『ヴゥァァァァァ!』


『アァァアァアァ!』


『ヴゥァアァァア!』


今まで押さえ付けていた3体のゾンビが動かなくなってしまった男を喰い尽すさんと捕食を始める…肉を千切る音と骨と骨が擦れる音が辺りに響く。


口裂けは、もう興味がないのかクルリと振り返り、来た道を歩いていった…その眼にはもうギラギラした光はなかったが、まだ何を考えているかわからない様な妖しい眼をしていた。

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