16 目覚めと現実
会話できるって素晴らしい。
「・・・・誰?」
これが彼女が目を覚まして最初に言った言葉だった。
「2つ隣の部屋に住んでる、黒鉄だよ…鍵開いてたから勝手に入らせて貰った。」
「・・・・・黒鉄さん?」
彼女は警戒を緩めようとはしない。
(当然だな…自分の家にほぼ知らない男がいるんだから…)
警戒して当たり前の状況だった。
「…えーと…」
「菜摘です菜摘 絢」
俺が口ごもると自己紹介してくれた…
「菜摘、お前、なんで倒れてたんだ?」
一応この娘の状況を確認しようとした。
「・・・・」
返事は帰って来ない。
「とりあえず安心してくれ、俺は君に何かしようとはしていない。」
俺は両手を挙げて少し菜摘から離れた。
「…じゃあなんで私の部屋にいるの?」
正直痛い所をつかれた。
「こんな状況だから…使えるものはなんでも利用しないといけないからな…」
(理由になっていないがまぁいいや)
「こんな状況?」
菜摘は意味がよくわかっていないみたいだった。
「ゾンビの事を知らないのか?」
もしや、と思い聞いてみると…
「ゾンビ?ふざけてるの?」
馬鹿にした目で俺を見てきた。
(とりあえずその明らかにおかしい奴を見る目を止めろ!)
俺は菜摘にゾンビの事を話した。
数十分後…
「嘘…でしょ…」
俺達はこの部屋のリビングに移動してTVを見ていた…昨日よりニュースなどをやっているチャンネルが少なくなっていた、しかもニュースキャスターの顔からも疲労の色が見えた。
やっぱり状況は良くないみたいだ…
菜摘は信じられないと言った態度だった、菜摘はニュースをひとしきり見る終わると、自分のスマホを見たり、ベランダの下を見たりパソコンを見たりして現状把握をしていった…菜摘は目に見えて動揺していた。
(まぁ普通はこんなんだよな…俺も最初はあたふたしてたし。)
俺は残酷な現実を彼女が理解するまでリビングで待ち続けた。




