表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/9

台所にて



段落のようにぽっかりと空いた空間に、私は崩れるように座り込んだ。


虚ろな目は、さっきまで彼に向けていたものとはかけ離れ、威勢の欠片もなかった。


冷蔵庫から、ビールを取り出し、扉も閉めぬまま、乾いた音を響かせる。


彼の残していった、吸ったこともない煙草に火をつける。



咽せる。

涙ぐむ。


そして笑う。


情けなく、みっともない自分に。



でも、漂う煙は、彼の匂いを私に届けた。



私は、あなたの匂いを追って、目を泳がせる。




雲のように掴み所のない彼に、想いを募らせる。




冷たい風が、彼の匂いを揺らす。




風の先に立つ影に手を伸ばす。




『ごめん……』




私は、彼に抱きつき、愛しい匂いに体を擦り寄せた。



段落は……新しい章を綴り始める。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ