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第七話 老婆の肖像その九

「同じだね」

「そしてその中にはです」

「麻薬もある」

「それも同じですね」

「犯罪組織というものはお金を手に入れる為には手段を選ばない」 

 十字は実によく知っていた。このことを。

「売春に密売、暗殺に賭博」

「そして麻薬ですね」

「その麻薬に関わっている」

「あの理事長と関わっている暴力団組織が」

「一体どの組織なのか」

 十字はこのことについて考えだした。

「神戸でめぼしい暴力団組織はあるかな」

「全国区の組織もあります」

 神戸を拠点としただ。そうした組織が実際にあるのだ。

「そしてです」

「その他にだね」

「その全国区の組織とは別系列のまた全国区の組織がありまして」

「その組織の名前は?」

「藤会です」

 それがその組織の名前だというのだ。

「そのもう一つの全国区の組織より遥かに悪質な組織でして」

「麻薬の密売を大々的に行っているんだね」

「そうです。構成員もかなりのものです」

「その組織と理事長は関わっているのかな」

「おそらく。もう一つの組織は八条町には一切手を出してきていませんし」

「それは何故かな」

「そも藤会との無闇な衝突を避けているのです」

 ヤクザにはシマというものがある。所謂縄張りだ。その関係で、であった。

「だからです」

「その組織はこの八条町にはいない」

「しかし藤会はいます」

「わかったよ。ではね」

「はい、それでは」

「藤会を調べよう」

 十字はその藤会からも述べたのだった。

「あの暴力団組織をね」

「わかりました。ではご協力させて頂きます」

「頼むよ。しかし学習塾と暴力団だね」

「それは結びつきませんか」

「一見ね。学問とマフィアは別の世界だからね」

 しかしそれと共にだったのだ。十字はこうも言うことができた。

「けれど。それは人によるから」

「マフィアの人間でも大学には通っていますね」

「普通にね。そうしているよ」

「そして中にはファミリーの一員でもありながら」

「学者になる場合もあるよ。人それぞれだよ」

「人それぞれだからですね」

「そう。だから」

 それ故にだった。塾と暴力団もだった。

「そうした組織と接触する手段を知っていれば」

「そして接触できる場所があれば」

「そこに行けるね。そしてそうした手段や場所は」

 どういったものか。これもまた十字の非常によく知っているものだった。

「人目にはつかない」

「そしてそれでいて」

「そう。確かに接触できる場所」

「夜の世界ですね」

「おそらくそこだね」

 十字は彼の知っている世界から述べることができた。

「夜の。そう」

「酒場等ですか」

「今度はそこに行くよ」

 そしてそうした場所でだというのだ。

「そうしたお店の中でね」

「藤会と関わりのある組織ですね」

「そうしたお店を調べてくれるかな。僕はまだ未成年だから」

「バー等には入られないですからね」

「八条町は飲酒についてはかなり寛容な町だけれどね」

 この町の特色だ。未成年の飲酒に寛容なのは。

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