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第五話 愛の寓意その二

「それに先生達も真面目みたいね」

「そうだよ。八条学園の先生も沢山来てるよ」

「そうだったの」

「そうだよ。だから基本はね」

「学校にいる時と一緒の感覚でもいられるのね」

「だから余計にいいんだよ」

 こう話すのだった。

「あの塾はね」

「そうなのね。それでだけれど」

「それで?」

「皆真面目に勉強してる塾なのね」

「環境がいいからね」

「塾の環境がなの」

「そう。奇麗だしクラス割とかもしっかりしてるから」

 そうしたことがだ。慎重に考慮されて塾が形勢されているからだというのだ。

 このことを話してからだ。猛は雅に微笑んで話す。

「いい塾なんだ」

「それで十階は」

「ああ、あそこね」

「十階ってどうなってるの?」

「あそこの話も聞いたよね」

「理事長さんの専用の階だったわね」

「そう、だからね」

 その十階の話になった。そのことはだ。

 猛はこう雅に話したのだった。

「あそこは学校の誰も知らないんだ」

「理事長さん以外は」

「勿論僕もね」

「そういえば警備員さんも」

「そうでしょ。警備員さんも知らないっていう位だからね」

「考えてみればおかしな話よね」

 雅は首を捻りながら猛に話す。

「警備員さんさえ入られないって」

「清掃も何か塾で雇ってる人じゃないみたいだから」

「お掃除もなの」

「そうだよ。理事長さんに特別に呼ばれた人以外はね」

「入られないのね」

「副理事長さんもそうなんだ」

「副理事長さんって確か」

 彼の話もだ。雅は警備員から聞いていた。それで言うのだった。

「この学校をかなり仕切ってる人よね」

「そうだよ。言うならこの学校の総理大臣だね」

「それで理事長さんの弟さんで」

「その人もなんだ」

 十階には入られないというのだ。決して。

「そうした階だから」

「私達は普通は入られないのね」

「そうだよ。それで雅やっぱり塾には」

「お父さんとお母さんに相談してからだけれど」

 そうしてからだがだ。それでもだというのだ。

「試験受けてみるわ」

「入塾のね」

「ええ、受けるわ」

 そしてだった。

「どのクラスになるかはわからないし。受かるのも」

「大丈夫だよ。あのテストで落ちた人はいないから」

「いないの」

「クラス分けのテストだからね」

 入塾とはいってもだ。その為のものだというのだ。その目的は。

「だから入ることはね」

「大丈夫なのね」

「ただ。問題はね」

「どのクラスになるか」

「そう、それ」

 そこが問題だというのだ。

「どのクラスになるかなんだ」

「それが不安になるわ」

 入られることが問題にならないとだ。今度はそのことだった。

「いいクラスになればいいけれど」

「いいクラス?」

「ええ」

 ちらりとだ。猛を見て言う雅だった。

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