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第四話 インノケンティウス十世像その五

「僕は神に見せて頂く。そしてその悪を」

「裁く」

「全てはそれからだね。それでだけれど」

「はい、今日は清原塾に行かれたのでしたね」

「悪はそこにあるよ」

 十字は淡々と。無表情で神父に述べた。

「だからそこに入るよ」

「わかりました。では塾の費用はです」

「あるね」

「全てはバチカンが用意してくれています」

 あのカトリックの総本山からだ。それは出ているというのだ。

「ですから御安心下さい」

「うん。それじゃあ」

 十字は神父のその言葉に頷いた。そうしてだ。

 そのうえでだ。こうも述べるのだった。

「では少しずつ調べるからね」

「畏まりました」

「時間はかかるけれど」

「それでも確かにですね」

「調べて。悪を突き止めて」

 そしてからだった。彼の為すことは。

「その悪を裁くよ」

「いつも通りですね」

「そういうことだから。それじゃあ」

 ここまで話してだった。神父からだった。

 十字に対してだ。こう言ってきたのだった。

「これからですが」

「夕食だったね」

「はい、今宵は卵です」

 それを使った料理だというのだ。

「オムレツを作らせてもらいます」

「いいね。僕の好みだよ」

 十字はオムレツと聞いてだ。神父に答えた。

「それをわかってくれてなんだ」

「そう思いまして。オムレツにさせてもらいました」

「他には何かな」

「薩摩芋のサラダです」

 他のメニューもあった。それはこれだった。

「それで如何でしょうか」

「そしてパンだね」

「左様です」

「じゃあそれを食べてね」

「はい、それでは」

 こう話してだった。彼等はだ。

 礼拝堂を後にしてだ。そのうえでだ。

 彼等はその夕食を摂った。オムレツと薩摩芋のサラダ、それにパンをだ。

 それを食べた次の日はだ。どうしたかというと。

 放課後にその清原塾に赴きだ。そのうえでだ。

 昨日の警備員にだ。こう話したのである。

「決めました」

「御家族とお話してきたんだね」

「はい」

 家族と呼べるかどうかはあえて言わずに答えた十字だった。

「そうさせてもらいました」

「そう。じゃあどうするのかな」

「入塾のテストがありますね」

 具体的にだ。それがあるかどうかと尋ねたのだ。

「それを受けていいでしょうか」

「ああ、それじゃあ」

「入塾のそのテストを受けさせてもらえるでしょうか」

「うん、いいよ」

 明るい笑顔でだ。警備員は十字のその申し出に応えた。

 そしてそのうえでだ。警備員は十字にこうも言った。

「それじゃあ手続きはね」

「それは何処で」

「二階に事務室があったじゃない」

 この塾の。そこのだった。

「そこに行ってね」

「それで、ですか」

「そう。手続きをしてね」

「そうしてテストを受けてですか」

「時間あるかな。あればすぐに受けられるよ」

 入塾テスト、それをだというのだ。

「だからそこに行ってね」

「わかりました。それでは」

 こうしてだった。彼は警備員に言われるままだ。

 二階に行きそこの事務室でだ。制服の事務員の若い美人に対して言った。制服は黒い膝までのタイトにストッキング、黒のベストに青いネクタイ、それに白いブラウスという隙のないものである。

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