表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/266

第二話 吸血鬼その十一

 十字は実に無表情にだ。また彼等に返したのだった。

「事実を言ってるだけだから」

「やっぱり手前死ねよ」

「もう容赦しねえからな」

 彼等は画廊の中でそれぞれだった。その手にだ。

 ナイフやら棒やらを出してきた。それを手にすぐに構える。

 しかし今もだった。十字はだ。

 その彼等、得物を出したその彼等にもだ。平然としてだ。

 そのうえでだ。こう言って来たのだった。

「それでどうしたのかな」

「何っ。手前これ見えないのかよ」

「本当に殺されたいのかよ」

「殺す、ね」

 その言葉を聞いてだ。急にだ。

 十字の気配が変わった。これまでの淡々としたものにだ。

 酷薄な、そうしたものを宿らせてだ。そのうえで彼等に応えたのだった。

「殺すのならやり方はあるよ」

「だから今からそうしてやろうか?」

「どうなんだよ、おい」

「だから。殺されたいのかな」

 次第にだ。その黒い目にもだった。

 酷薄な、その気配が光となってだ。そしてだった。

 四人を見据えてきた。その目の光を受けるとだ。

 四人は急にだ。威勢を止めてだ。急に大人しくなった。

 それはまさに蛇に睨まれた蛙だった。その動かなくなった彼等にだ。十字は言うのだった。

「君達には帰ってもらうよ」

「くっ、帰れってのかよ」

「そう言うのかよ」

「そう。帰ってもらうよ」

 こう告げたのである。

「それじゃあいいね」

「おい、馬鹿言うなよ」

「何言ってんだよ」

「いいね」

 しかしだった。十字の言葉はだ。

 その酷薄なものがさらに強くなりだ。そうして言ってきたのだった。

「帰ってもらうよ」

「・・・・・・ふん、そうかよ」

「それじゃあ帰ってやるよ」

「そうしてやるよ」

 こう言ってだ。四人はだ。

 何とか虚勢だけを見せようと努力しながらだ。そのうえでだ。

 帰っていく。その彼等にも剣の眼差しを向けていた。しかしその表情は変わらない。

 この日はこれで終わった。だが十字は次の日だ。

 以前絡んできた三年の先輩達、その彼等のところに来て四人のことを話した。そのうえで彼等に対して四人がどういった連中か尋ねたのである。

 先輩達は彼等の溜まり場、校舎の屋上で雑誌を読んだりして昼休みの休息の時を過ごしていた。彼等は十字を見てだ。まずはこう言ったのだった。

「あれっ、佐藤かよ」

「何でここに来たんだよ」

「はい、御聞きしたいことがありまして」

 それでだとだ。屋上の端の方で敷きものを敷いてそこに座ってだべっている彼等に答えたのだった。

 そしてそのうえでだ。先輩達に四人のことを話した。

 その彼等の話を聞くとだ。先輩達は。

 その顔を曇らせてだ。そしてこう十字に言ってきた。

「ああ、二年のあいつ等か」

「あの連中か」

「知ってるぜ」

「御存知だったのですか」

 その話を聞いてだ。十字はだ。

 やはり淡々とした口調でだ。先輩達に問い返したのだった。

「彼等のことを」

「すげえ評判悪いからな」

「学校の中でダントツの屑連中だからな」

 それで知っているというのだ。

「カツアゲに弱い者いじめにな」

「あと強姦もしてたか?」

「してるだろ」

 このことは彼等の中で話す。しかしだ。

 十字はそうしたことを聞いてだ。そのうえで目を顰めさせてだ。先輩達に言うのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ