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第十一話 ノヴォデヴィチ女子修道院のソフィアその六

 彼等は結局だ。これを結論とした。

「だよな。絶対に人間じゃねえな」

「この世にいる奴の仕業じゃねえ」

「その証拠に手掛かりは一つも見つかってないしな」 

 そもそもだ。そうしたものを残す下手なこともしなかった。その彼はだ。

「じゃあやっぱりな」

「悪霊が人殺してるんだな」

「それか悪魔か」

「碌でもない奴だろうな」

 彼等はこんな話をしていた。そしてだ。

 その彼等のところに十字が来た。彼の姿を見てだ。

 彼等は彼に対してだ。落ち着いた声でこう言ってきた。

「ああ、佐藤か」

「佐藤も知ってるよな」

「昨日の事件のことな」

「知ってるよな」

「暴力団でしたね。確か」

 このポイントから話す十字だった。

「そうでしたね」

「ああ、何かキチガイか何かが出て来てな」

「ヤクザ屋さんの事務所で暴れたらしくてな」

「二十人程殺されたんだよ」

「その殺し方が滅茶苦茶だったんだよ」

「ニュースで観ました」

 十字はあくまで一般市民を装っていた。

「この国のマフィアがですね」

「そうそう、イタリアじゃマフィアだったよな」

「こっちじゃヤクザ屋さん、暴力団っていうんだよ」

「そうした連中なんだよ」

「そしてその暴力団がですね

 先輩達のところに来て答える十字だった。

「壊滅しましたか」

「扉から逃げようと思った者もいたがな」

「しかし絶対にな」

「ああしてだよ」

「殺されたんだよ」

 この事実をだ。先輩達は十字に話すのだった。

「本当にこの世の中怖い話が多いよな」

「今回は特に実際にこの町で起こったかな」

「ああ、そうだよな」

「おかしいよな」

「僕もそう思います」

 十字は仮面を被り先輩達に答える。

 だが嘘は言わなかった。彼は彼等にこう答えたのである。

「悪人があれ程まで多いことは」

「まあヤクザだからな」

「碌な奴等じゃないのは間違いないしな」

 そしてだ。先輩達も十字の今の言葉の中身、含まれているものには気付かずにだ。彼の言葉の表面だけを見てそのうえでこう返したのである。

「因果応報だけれどな」

「悪人が裁かれるっていうのはな」

「そうです。悪人はこの世で裁かれ」

 そしてだと。十字は言っていく。

「地獄に落ちるのです。それも永遠に」

「ああ、地獄な」

「悪人はそっちに落ちるんだな」

「そうです。悪人は神に裁かれ地獄に落ちるのです」

 死んだ、殺された者達への情は微塵もなかった。

「そうなるのですから」

「だよな。まあそれだけか」

「悪い奴等が殺されただけか」

「どうせヤクザだしな」

「そうなっても別に困らないけれどな」

 むしろ一般市民にとってはいいことだった。ヤクザ者がいなくなることは。

 だがその前提があってもだった。このことは先輩達にとってはどうしても気になることだった。

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