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勇者の嫁になりたくて ( ̄∇ ̄*)ゞ  作者: 千海
1 失意の森
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1−5



 白い兎耳の毛を風に揺らしながら、魔法使いクローリクは巨大な炎剣が現れた方へ体を飛ばしていた。足下には魔法陣があり、空飛ぶ絨毯のようにその方陣は老人を風に乗せて運んで行く。


「走るのは老体にこたえるでござる」


 とぼやいていると、非難がましい視線が地上から向けられる。


「ずるい…」


 金色のしっぽを揺らしながらシュシュが呟く。


「黙って走ったほうがいいと思うな」


 森において身体能力が向上するシルウェストリスは、苦い表情の少女をどこか馬鹿にするように言った。一人だけだいぶ余裕がありそうに見えるのだが、先に行くと言わないあたりが彼らしい。


「ソロル、余裕があるなら強化魔法をかけてくれないか」


 槍で道を開きながら先頭を走るライスが少年を伺う。


「しょうがないなぁ。これだから人間は…」


 少年は一言も二言も余計に呟きながら、地上を走る人間二人の足に術を施した。


「間に合うといいでござるが……」


 老人がポツリと漏らした言葉に、全員が無言で応える。

 走り続けて数分後。

 木々の密度が低くなり、淡い光が奥から漏れ始めた。

 ようやく森を抜ける!と4人が思った時だった。



 青い空に星が瞬く。



 失速し立ち尽くす彼らが目にしたのは、空から飛来した隕石の雨と、その先にいた黒くて不気味な4体のモンスターが次々とその雨に打たれ断末魔をあげる光景だった。

 もうもうと立ちこめる煙の中に人影のようなものが見える。

 前代未聞の隕石の雨をうけて尚、そこに立っていたのは一組のカップル。

 勇者クライス・レイ・グレイシスと弱小冒険者ベルリナ・ラコットは、唇を重ねたままそこに居た。

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