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「悪いベル、毒消し譲ってくれないか?」
「いいですよー。何個必要です?」
「10個ほど。あるか?」
「ちゃーんと準備してますともー。はい、確認してくださいね♪」
「ひぃー、ふー、みー……ん、確かに。助かるよ」
極上のスマイルに右手を振り振り、青銀の髪を強力なワックスで固めたように垂直に逆立てた美中年が去っていく。
*.・*福眼だわー*.・*
ぼけーっとそれを見送る私。
名前をベルリナ・ラコットという、ごく普通の18歳。
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ごめんなさい。
嘘いいました。
容姿・性格はごくごく普通の女子なのですが……。
実は私、異世界からの転生者。記憶持ちでございます。
※福眼 (正しくは眼福)
読みの響きがいいのであえてそう表記しています。